Project/Area Number |
23K00022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
佐野 泰之 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 講師 (70808857)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 現象学 / 実存主義 / フランス哲学 / フェミニズム / メルロ=ポンティ / サルトル / ボーヴォワール |
Outline of Research at the Start |
本研究では、20世紀前半にフランスで展開された「実存主義」運動を導く基本的原理を、サルトル、メルロ=ポンティ、ボーヴォワールといったこの運動の主要なアクターに注目して明らかにする。まず、1980年代から刊行されつつある彼らの未公刊資料や、それらについての近年の研究を踏まえて当時の論争状況を再構成し、実存主義の原理を「哲学者のアンガジュマン(参加)」という観点から明らかにする。そのうえで、現代のフェミニズムや分析哲学における実存主義と深い関わりをもつ諸動向を検討し、今日の哲学および社会にとっての実存主義のアクチュアリティを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は大きく分けて以下の三つの研究に取り組み、成果を上げた。 1)メルロ=ポンティサークル第29回研究大会のシンポジウムにおいて、メルロ=ポンティの講演「哲学をたたえて」におけるソクラテス解釈を検討し、哲学者のアンガジュマンという問題に対するメルロ=ポンティの独自の見解を明らかにした。とりわけ、ソクラテスの「イロニー」に着目し、その言語表現上の特徴をG. ヴラストスの議論などを手がかりに明らかにしたうえで、メルロ=ポンティが「語る言葉」と呼ぶ創造的言語活動とイロニーの間の共通点を指摘し、哲学者のアンガジュマンを支える独特の言語表現とその意義について考察した。 2)『メルロ=ポンティ研究』掲載の論文で、メルロ=ポンティがサルトルのブリス・パラン論「行きと帰り」をめぐって残した読書ノートを検討し、そこで彼が言語的に構築された経験と構築以前の経験をめぐるパランとサルトルの論争を調停するような独自の問題を提示していることを示した。それによって、哲学者のアンガジュマンという問題において「沈黙」と向き合うという契機の重要性を明らかにした。 3)『現象学年報』掲載の論文及び論集『フェミニスト現象学 経験が響きあう場所へ』に寄稿した論考において、今日のフェミニスト現象学に対するポスト構造主義的観点からの批判を取り上げ、経験を言語化するという営みが有する意義について考察した。そのうえで、経験と言語の関係を因果論的にではなく弁証法的に捉えるというメルロ=ポンティの見解の重要性を指摘し、今日のフェミニスト現象学にこうした理論的観点を導入する必要性を論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って、実存主義における「アンガジュマン」の内実、実存主義と今日のフェミニズムの関係などについての知見を順調に蓄積することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究計画に沿って研究を進めていく。2024年度は研究対象を広げ、サルトルやボーヴォワールについても考察していく予定である。
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