「非修験」から「修験道」を逆照射する-近代日本と東アジア山岳宗教の視座から-
Project/Area Number |
23K00082
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01030:Religious studies-related
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
須永 敬 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (90390004)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 山岳宗教 / 修験道 / 近代 / 東アジア / 国際比較研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、①東アジアの山岳宗教 ②近代日本の山岳宗教 という「非修験」――ここでいう「非修験」とは、ひとまず、修験道でもなく、山伏が担うわけでもない、山を舞台とした宗教のことを指す用語、としておきたい――と、「修験」および「修験道」との比較研究を行なうことを通じて、「修験道」を「日本古来」の「固有信仰」という枠組みから解放し、世界の山岳宗教と比較可能な地平に位置付けたい。本研究の試みは、恐らく世界でも最も進んでいると考えられる日本の山岳宗教研究が、世界の山岳宗教研究をリードするプラットフォームホルダーとなるための前提を築くことに通じると考える。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、これまで「日本古来」の「固有信仰」と捉えられがちであった「修験道」について、①東アジアの山岳宗教、②近代日本の山岳宗教、という「非修験」(すなわち修験ならざる山の宗教)」との比較研究を行ない、「修験道」が内包する汎宗教的特徴および宗教的特性を逆照射することによって、「修験道」を世界の山岳宗教と比較可能な地平に位置付けることを目標としている。 「修験道」の特徴を明らかにするうえで「修験道」それ自体を分析対象にするのでなく、「非修験」との比較分析を通じて「修験道」の外縁やその特質を逆照射しようという方法は、他に例を見ない独創的な研究方法といえる。本研究の試みは、恐らく世界でも最も進んでいると考えられる日本の山岳宗教研究が、世界の山岳宗教研究をリードするプラットフォームホルダーとなるための前提を築くことに通じると考える。 上記の目的を達成するため、初年度となる本年度は、「英彦山と英彦山六峰の『非修験』(近代山岳宗教)の諸相」を研究テーマとして位置づけ、英彦山および英彦山六峰関連文書の調査分析、近代山岳宗教にかかわる宗教者たちの宗教実践に関する現地調査、中世英彦山の宗教的多様性についての文献研究を実施した。具体的には、英彦山をはじめ、求菩提山・蔵持山・福智山・普智山・檜原山・松尾山といった英彦山六峰における幕末から近代への宗教組織の変化、および現在の祭礼についての調査・分析を行うことにより、非修験による近代山岳宗教の諸相を明らかにするとともに、修験道との比較考察を行うことによって、両者の差異と相似についての検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度となる本年度は、英彦山および英彦山六峰に関する文献調査、および現地調査を実施し、主に近代山岳宗教を対象としつつその実態を分析した。また、現地の研究機関・文化財関係機関との連携関係の構築を行いつつ研究課題を推進させた。 具体的には、英彦山神宮・豊前坊院天宮寺・等覚寺地区・正平寺・苅田町教育委員会・みやこ町歴史民俗資料館などにおける現地調査・資料調査・研究情報交換を行い、本研究課題遂行にかかる資料収集と分析に努めた。 また、本研究に関連する諸学会に参加し、研究情報の収集・交換に努めた。富士山世界遺産登録10周年記念国際シンポジウムでは指定質問者としてコメントするとともに、西日本宗教学会では口頭発表を行い、日頃の研究成果を公開した。さらに、研究成果の一部を共著としてまとめ、現在発刊を待つ状態である。 以上の研究内容とその成果から、本年度の推進状況の評価は「おおむね順調に進展している」という判断が妥当と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、研究テーマとして「近代英彦山と出羽三山の「非修験化」(神道化)の比較研究」を掲げ、長年行ってきた英彦山の近代化に関する研究を相対化し、「修験道」を複眼的に分析する視座を得るため、出羽三山との比較研究を開始する。 具体的には、近現代出羽三山の宗教状況を把握するため出羽三山神社・荒沢寺・手向町宿坊等の現地調査を行うとともに、出羽三山神社初代宮司西川須賀雄の関連資料の調査・分析を通じて神仏分離政策の実態を明らかにし、英彦山との比較を通じて、近代における両山の差異(山岳宗教が継続した出羽三山と壊滅した英彦山)とその背景を明らかにしたい。 また、国際学会での発表計画もあるため、令和7年度に予定していた中国の山岳聖地や道教との比較研究について、一部前倒しして実施する可能性もある。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)