Project/Area Number |
23K00213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01070:Theory of art practice-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
岡野 真裕 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (90809956)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
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Keywords | 感覚運動同期 / 引き込み / 認知的負荷 / 管楽器 / 演奏 / リズム / パフォーマンスアート / 身体と環境の相互作用 |
Outline of Research at the Start |
演奏家やダンサーのリズム感の基礎研究には、指タッピング課題が多く用いられてきた。しかし近年の研究の進展から、パフォーマンス特有な動作や環境を考慮した研究も必要な可能性が明らかになってきた。 動作や環境の違いがパフォーマーの振る舞いにどう影響するかという、研究と現場をつなぐ研究は、まだ手薄なままになっている。本研究では楽器特性や運動器という身体的特性と、リズム刺激のグルーヴという外的環境が、リズム同期課題におけるタイミングのずれやそのばらつき、修正反応に与える影響について検討し、基礎研究をパフォーマーのためにカスタマイズする足がかりを得ることを試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、本課題の目的に照らして好適な実験系を見いだすための予備的な検討を行った。その中で、電子リコーダーを用いた感覚運動同期課題の実験において、一定の興味深い結果を得ることができた。 管楽器の演奏法には、スラーとタンギングがある。スラーは息を吹き続けることで滑らかに音をつなぐ奏法であるため、リズミカルな動きをする部位は指のみである。一方、タンギングは舌の動きを利用して息を一瞬途切れさせ、音の粒を立てる奏法であるため、リズミカルな動きをする部位は指と舌の2箇所である。 タンギングはスラーと比較して、2箇所の身体部位を動かさなくてはいけないという意味で、認知的負荷が高いと考えられる。認知的負荷が高い状況では、タッピング課題のタイミングのばらつきが大きくなることが知られている。その一方で、同一人物の中でリズミカルな動きを複数部位で同期しながら行う場合には、「相互引き込み」という効果が生じることで、タイミングがむしろ安定する場合があることも知られている。そこで、管楽器奏者と非管楽器奏者とで、認知的負荷の効果と相互引き込みの効果の出方に違いが生じるのではないかと考え、実験を行った。 実験では、3種類のテンポ×3種類の奏法(スラーでの音階、タンギングでの音階、タンギングでの同音連打)の9つの条件で、メトロノームに合わせながら演奏してもらった。その結果、メトロノームとの平均的なずれはどのテンポでも、またどちらの群でも、スラーが最も大きく、タンギングの音階で最も小さくなった。ずれのばらつきは、両群とも同音連打が最も小さかったが、管楽器奏者では、他の奏法との差は非管楽器奏者の場合より小さかった。 これらの知見は、管楽器演奏における発音タイミングの制御において起こっていることを理解する上での基礎的知見の1つになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋活動計やモーションキャプチャ装置の調達に時間がかかったことや、期限の迫った他の課題があったため、これらの装置をフルに使った本格的な実験の開始までは至らなかった。それでも単純化した実験系で一定の成果を得られたことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で述べた電子リコーダーの実験について、被験者数を増やす、被験者の属性に関する情報を増やす(例:音楽洗練度に関する質問紙に答えてもらう)、機材のバイアスの影響を検討するなどしてデータのクオリティを高められる本実験を行い、国際誌への投稿を目指す。また、本課題に興味を持つ大学院生が研究室に加わったため、連携して次なる実験を進めていく。
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