Various Aspects of the Mechanistic Views of Nature in the Late 19th Century
Project/Area Number |
23K00265
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 01080:Sociology of science, history of science and technology-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
稲葉 肇 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (00793093)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 科学史 / 力学 / カノン形成 / アウレル・フォス / 力学的自然観 / ヘルムホルツ / ボルツマン / マクスウェル / ウィリアム・トムソン |
Outline of Research at the Start |
19世紀後半の物理学界では力学的自然観が有力であった.それは素朴には「すべての物質とその性質は,物質を構成する微小な粒子の運動とそれらのあいだにはたらく力から理解できる」という主張である.しかし詳しく調べると,力学的自然観の内部は一枚岩ではなく,むしろさまざまな見解が含まれていた.本研究ではそれらを,存在論(自然界が何からできているか),認識論(自然界を力学的に理解するとはどういうことか),学問論(力学は諸科学の中でどのような地位を占めるか)という三つの視点から整理し,力学的自然観の多様性を明らかにすることを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,19世紀後半ドイツ語圏における力学論を検討した.まず,ボルツマンの力学論を検討し,日本科学史学会において「ボルツマンの「古典」力学」という題で報告した.19世紀末に「古典」という形容詞が物理学文献に入ってきたことは先行研究ですでに指摘されているが,本研究では,ボルツマンによる「古典的」ならびに「古典力学」という用語の用法を分析し,彼が力学に対して文学作品の古典と同様の意義を認めていることを明らかにした.また,ベルリン=ブランデンブルク科学アカデミー文書館で,ヘルムホルツ遺稿およびオストヴァルト遺稿に収められた手稿・書簡を対象に資料調査を実施した.とくにボルツマンがはじめて「古典的」という形容詞を用いたヘルムホルツ宛書簡(1884年12月27日付)を確認した.
力学はその歴史上,しばしば数学にカテゴライズされたため,物理学者のみならず,数学者による力学論を検討することも重要である.たとえば先行研究では,かつて自然界に関する合理的「証明」を与えるとみなされていた力学に対して,数学者ヤコビは,力学的原理の規約的性格を強調したことが指摘されている.これを踏まえて,非ユークリッド幾何学の研究から出発した数学者であるフォスの力学論について,以下のことを明らかにした.1901年から1908年までのフォスの論考によれば,数学には内在的側面と外在的側面があり,力学は(幾何学とともに)外在的側面を代表する応用数学である.これは,力学の原理の正しさが,幾何学の原理の正しさと同様,経験的に検証されるものであることを意味する.そして力学は,数学的法則とそれに従う数値により自然界を考察する科学という意味での物理科学の基礎である.1913年以降になるとフォスは「新しい力学」すなわち相対性理論の重要性を強調するが,同時に力学がその光速度無限大の極限として位置づけられることも指摘した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況としては,ボルツマンについては「古典力学」という用語に着目した検討を一定程度進め学会発表は行ったものの,論文化には到っていない.また,当初予定していたヘルムホルツの力学論を読み直す作業はそれほど捗っていない.これは第一に,資料調査で得た彼らの手稿の解読に想定以上の時間を要しているためである.また「研究実績の概要」でも述べたように,当時の力学論を十分に理解するためには,物理学者によるものだけではなく,数学者によるものを検討しなければならなかったことにもよる.だが結果として,従来よく知られていなかった人物であるフォスの論考を検討し,数学の側からの力学論に関する学会発表および論文を準備するに到ったことは評価できる.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,当初予定していたヘルムホルツとボルツマンの力学論を検討する.とくに19世紀末の状況に焦点を当て,ヘルムホルツについては『理論物理学講義』全4巻(Vorlesungen ueber theoretische Physik, Leipzig: Barth, 1897-1907)や『講演と演説』全2巻所収の哲学的論考,ボルツマンについては『力学原理講義』(Vorlesungen ueber die Principien der Mechanik, Leipzig: Barth, 1897-1920),『通俗著作集』(Populaere Schriften, Leipzig: Barth, 1905)所収の諸論考の読解を進める.また,今年度は論文投稿には到らなかったボルツマンの「古典力学」概念に関する結果とフォスの力学論に関する結果を論文化する.後者については,日本科学史学会(5月)および欧州科学史学会(9月)で発表し,コメントを受けた上でその作業を進める.
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)