タゴール仏教文学とその思想的背景―英語文学が繋ぐタゴールと近代日本仏教
Project/Area Number |
23K00371
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Otsuma Women's University Junior College Division |
Principal Investigator |
大平 栄子 大妻女子大学短期大学部, 英文科, 教授 (20160616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 弘夫 東北大学, 文学研究科, 名誉教授 (30125570)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 仏教文学 / タゴール / 英語文学 / 岡倉天心 / インド |
Outline of Research at the Start |
ラビンドラナート・タゴールは、詩人としてのみならず思想家としても高い評価を受けているが、その特色は大乗仏教についての深い理解にあった。だが、その背景と原因については、これまでほとんど論じられることがなかった。 本研究は、タゴールの独自の思想形成の背景にあったものが、岡倉天心をはじめとする日本の思想家たちとの親密な交流であり、彼らが著した膨大な英文の著作であり、そこに見られる大乗仏教の独自の解釈であったことを明らかにするとともに、19世紀後半から20世紀初期の時代において、国境を越えたアジアの思想交流に果たした英語文学の重要な役割に光を当てようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
ラビンドラナート・タゴールの宗教、中でもタゴールと仏教との関わりは研究の乏しい領域であり、彼の仏教観、およびその形成過程(特に多くの日本人仏教者たちとの知的交流)、彼のブラフマン信仰と仏陀への帰依の念との関係性についての研究は手薄のままである。今年度はタゴールの仏教観が形成される思想的背景として注目される世界宗教会議(1893年シカゴで開催)に焦点化し、日本人仏教者たちが日本仏教・大乗仏教についてどのような発信を行ったかについて考察し、国際アメリカ学会で研究発表を行った。(発表タイトル:"The 1893 World's Parliament of Religions as a Contact Zone:Japanese Buddhists' Challenge to Cultural Imperialism”)日本人仏教者たちが宗派を超えた連携のもと、当時の宗教的リベラリズムにもとづく会議の趣旨(宗教の融和・対話)に沿いながら、日本仏教が目指す近代化された仏教としての読み替え・再構成された仏教(キリスト教に代わる普遍性をもつ、合理的、倫理的で、科学との融和性に富む宗教)を発信したことを確認した。 さらに、タゴールの仏教文学を世界の仏教文学に位置づける作業の第一歩として、タゴールの代表的仏教劇“Chandalika”を主として日本の代表的仏教文学である能作品「卒塔婆小町」との比較検討を行い、国際学会(IAFOR International Conference on Arts and Humanities)で研究発表を行った。両者とも主体性をもつ女性が菩提観を主張し、出家僧に対抗する言説がみられるという点で、きわめて独創的な仏教文学といえることを具体的に論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タゴールの仏教文学の代表的作品としてChandalikaがあるが、その傑出した内容にも関わらずインド本国で注目を集めることはなく、西欧の視点で選抜された古典の名作で構成される世界文学研究でもその視野に入ることはなかったが、今年度は日本の代表的仏教文学である能作品と比較研究することによって、世界の仏教文学を書き換える必要があるほどの優れた仏教文学であることを論じ国際学会で発信することができた。 アジア協会本部(カルカッタ)および大菩提会において、タゴールの仏教に関する資料を収集し、かつ代表者との意見交換を行うことができた。 タゴールの仏教文学を検討するするうえで、ジャータカ物語が重要であることを再確認し、ジャータカに関する資料を網羅的に収集することができた。膨大な物語を読解する中で、代表的仏教文学であるジャータカが出家僧に女性との関係を断念させるための物語が多いことが確認できたが、その一つの物語に依拠するタゴールの“Chandalika”が種本から大きく変貌し、独自の文学になっていることが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
I.2023年度において、タゴール国際大学所蔵の文献およびカルカッタの大菩提会所蔵の未発表原稿を発掘し、収集したものにもとづいた、タゴールの仏教観の変遷の解明を進める【2024 年度】。 Ⅱ、タゴールの5回にわたる日本訪問時の講演の反響、および交流に関する資料を網羅的に収集・分析し、英語文献を通じたタゴールと日本の知識人との交流を明らかにする。また、タゴールの仏教観および仏教文学に関する最新の研究書を集め研究史の整理を行う【24 年度】。 Ⅲ、 研究分担者・研究協力者とパネルを組んで、国内および国際学会において本研究の成果を発表する。2024年に近代日本仏教史研究会、25年にはAmerican Academy of Religion での発表を予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)