Representation of Human Figures / Faces in the works of D. G. Rossetti and Other Writers: Transforming Views of Nature in 19th Century Britain
Project/Area Number |
23K00375
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
加藤 千晶 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (00833625)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2027: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | D. G. ロセッティ / ラファエル前派 / 人物 / 顔 / 自然観 / ヴィクトリア朝 / 文学と絵画 / 19世紀 / 表情 / 文学・絵画における人物/顔の表象 / 顕現と隠蔽 / 19世紀の自然観の変遷 |
Outline of Research at the Start |
本研究においては、ロセッティを中心とするラファエル前派や周辺の作家達の文学・絵画作品に頻出する、表情を欠き、周囲の環境(自然)に没したような人物/顔の表象を分析する。後世にも影響が残るこのような人物像(顔)が、19世紀後半に頻出した理由や、この表現を生み出した時代の世界観・自然観の変化、文学・美術史上の意義を、従来のフェミニズムや精神分析批評の言説にはとらわれず、言語表現にも焦点を当てて、同時代や歴史の流れに現れる類例を比較検討することで解明し、ロマン派からモダニズムの過渡期の文芸の潮流に新たな光を当てる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、D. G. ロセッティ及び周辺の作家達の作品にあらわれる虚ろな顔の表象に着目し、この「顔」の重要性・特異性・影響力を、共時的、通時的に調査・分析し、解明することを目的とする。初年度である2023年度は、研究計画に基づき、当時の新聞・雑誌に掲載されたロセッティ及びラファエル前派の作品の展覧会評から、本課題の問題となる「顔」の定義づけを行うことに努めた。ラファエル前派兄弟団結成(1848年)後、P.R.B.(Pre-Raphaelite Brotherhood)のイニシャルの意味が明らかになる前後のジャーナリズムの言葉を具体的に検証した結果、彼らのスローガン「自然に忠実」が、当初の彼らの意図に反して、殆ど戦略的に、不自然で人工的な身体の表象を生み出していることが観察できた。ディケンズの痛烈な批判、ラスキンの擁護、ジョシュア・レノルズの提唱、また当時流行した骨相学・観相学などの当時の著名な言説を参照しつつ、これらの陰で注視されなかった批評の言葉を拾いあげることで、アカデミーの「理想」に対抗してルネサンス以前の「自然」―簡素で技巧を欠きながらも「個」や「細部」にこだわる写実性―に回帰したはずの彼らの作風が、結果として人工的で表情を欠く人体表現を生み出した過程が、客観的に言語化されていることを確認した。 上記の研究の具体的な成果として、研究発表「初期ラファエル前派における顔の生成――『自然に忠実』 vs人工」を行い、美術の創作活動に関わる方も含め、文学・美術両面において、会場の方々と活発な意見を交換することができた。また、この発表に基づき、論文をまとめて刊行した。さらに、当研究と関連する分野の書籍の書評の依頼を受けて寄稿したほか、当研究のテーマがあらわれるロマン派の詩について、一般向けの公開授業を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、本研究の中心となる「顔」の表象の定義づけを行い、研究計画の土台を固めることに主眼を置いた。ロセッティ及びラファエル前派の作品の展覧会評を分析することで、本研究の要となる部分を言語化し、口頭発表、論文という形にすることができた。また本研究と関連する分野において書評を刊行し、一般向け公開授業を行った。以上のことから、「おおむね順調に進展している」と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降は、2023年度に継続して、ロセッティの絵画だけでなく詩作品における顔の表象の考察を進めるとともに、ラファエル前派以外の同時代の周辺の作家にも視野を広げ、ウォルター・ペイター等の作品における男性の顔の例も考察の対象としながら、文学・絵画の両面から特徴を比較・検討してゆきたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)