Comprehensive Study of the 21st Century Biofiction
Project/Area Number |
23K00392
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
岩崎 雅之 福岡大学, 人文学部, 准教授 (00706640)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | モダニズム / E. M. Forster / Virginia Woolf / ポストモダニズム / バイオフィクション / E. M. フォースター / ヴァージニア・ウルフ / 伝記 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、従来までのモダニズム研究の拡張主義とメタモダニズムの基本概念では射程に収めることのできなかったバイオフィクションの実態解明を行い、この現象が翻訳を前提とした作品群(Rebecca L. Walkowitzの言うところの「生まれつき翻訳」(born translated))の隆盛と無関係ではないことを証明することにある。最終的に、非―国民文学のグローバル化として考えられるものが、ある側面においてはアメリカ化なのではないかという核心的な問いを、現行のモダニズム研究に突きつけることを目標とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
英語圏文学において、モダニズム作品の翻案(アダプテーション)が一つの潮流となっているが、この流れの中で、同時代を代表する作家であるE. M. Forsterが大きな役割を果たしていることを、日本英文学会九州支部第76回大会のシンポジウム「西洋文学における愛とタブ―イギリス・ロマン派とポストモダンを中心に」において、「現代英語圏文学におけるバイオフィクション―E. M. Forster とその作品を中心として」と題して報告した。Forsterの場合、1990年代までに彼の長編小説のほとんどが「ヘリテージ映画」と呼ばれる映像作品にアダプテーションされており、2000年以降にはHowards End(1910)やMaurice(1971)を基調とした、新たな長編小説や劇がいくつも創作されている。これらのめざましい事象からは、グローバリズムの時代において、モダニストの作品と生涯がポピュラーカルチャーによって、従来までとは異なる新たな価値を与えられていることが指摘できる。また、モダニズム復興作品における重要な特徴として、作者本人はあくまで主人公の一人、あるいは副次的人物として登場し、同性愛者の主要登場人物の自己形成を促す役割を果たしているという点が挙げられる。この点をさらに深く考察するために、「モダニズム対ポストモダニズム」という図式に代わる、新たな見取り図が必要となることまでを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、E. M. Forsterの実人生と作品を主題としたバイオフィクションを研究対象とすることを計画していたので、おおむね予定通りに研究を遂行することができたと言える。ForsterのHowards Endを基にした、Matthew Lopezの劇作品The Inheritanceと、Mauriceを下敷きにしたWillam di CanzioのAlecを合わせて論じることで、どのようにしてForsterの作品がアメリカナイズされているのかが検証可能になった。バイオフィクションには教養小説に通ずる側面があり、それは旧来の家族像を問い直し、同性間のパートナーシップに象徴される、新たな人間関係の構築を図るものである可能性を探り当てた。その意味では、21世紀型バイオフィクションは、モダニズム期における教養小説の残滓を再利用しているのかもしれないところまでを、調査によって明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、初年度に行った研究を通じて得た成果をもとにし、Woolfのバイオフィクション研究に応用することにする。彼女のMrs DallowayとIan McEwanのSaturday(2005)、またモダニストのバイオフィクション化の嚆矢とも言える、CunninghamのThe HoursにおけるMrs Dallowayの表象を比較することで、これまで論じられてこなかったバイオフィクションの特徴を発見し、そこにアメリカのポップカルチャーや家族観の変化の影響がないかを精査することとしたい。その後は、ブルームズベリー・グループとHenry Jamesのバイオフィクションを研究対象として選定し、研究を発展させる。Jamesの半生は、David LodgeとColm Toibinによって作品化されている。最終年度には得られた研究成果を総括して、モダニズム研究および現代文学における新たな知見の確立を行うことを目標とする。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)