上古中国語アスペクト研究――有標形式と無標形式が表現する文法的意味
Project/Area Number |
23K00495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大西 克也 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (10272452)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 言語学 / 中国語 / 歴史言語学 / アスペクト / 文末助詞「矣」 |
Outline of Research at the Start |
アスペクトは、完了・持続・進行等、動詞が表す事態の内部の時間構造の捉え方を指す。動詞接辞や屈折など形態的手段で表示されることも多い。しかし典型的孤立語である上古中国語は、形態変化等の文法的資源に乏しい言語である。本研究はこのような上古中国語のアスペクトの実相を解明することにより、二千数百年の歴史を辿り得る中国語のアスペクト史の基点を解明し、アスペクト一般に関する知見を深めようとするものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
上古中国語において高頻度で使用される文末助詞「矣」は、完了相(perfect aspect)を表すアスペクト助詞であるとの理解が近年定着しつつある。これに対し本研究では、「矣」の文法的機能をアスペクト及びモダリティの観点から再検討した結果、近年の通説に反して完了相助詞であるとの説は成り立たないこと、その本質的機能は特定の時空間において事態が確実に存在することを主張するモダリティ助詞であることを明らかにした。 従来の研究では、「矣」と現代中国語の文末完了相助詞「了」との類似性についての『馬氏文通』以来の認識に基づき、「了」のアスペクト機能を「矣」に投影する形で議論が行われてきた。本研究は、「矣」を付加した状態動詞が実現済みの変化を表わさない等、基本的な機能において「了」と異なること、完了相的時間認識の表出において「矣」は決定的な役割を果たしていないこと等、従来の完了相説が見逃していた重要な事実を明らかにした上で、近年の研究においてはあまり重視されてこなかったモダリティ機能をむしろその本質と見るべきことを指摘した。発話時における確実性主張の対象となる出来事は、発話時に先立って確実に当該時空間に存在する。このような点が、従来の研究において「矣」が完了相を表すと誤認されることになった原因である。 「矣」は上古中国語のアスペクト研究において、「既」「已」等とともに中心的なマーカーであると見なされてきた。「矣」の文法機能の本質がアスペクトでないことを明らかにした本研究成果は、上古中国語のアスペクト研究について、ある意味振出しに戻って検討する必要があることを示し得たものと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上古中国語のアスペクト研究において最も関心を集めてきた助詞「矣」の基本的な性質を明らかにし得たことは大きな成果である。また、「矣」の基本的な機能が完了相マーカーでなかったという本研究が正しいとすれば、上古中国語において完了相というアスペクトが範疇化されていたのか否か自体が検討の俎上にのぼる。これは上古中国語においてどのようなアスペクトが文法範疇として機能していたのかという点を研究課題の一つとしていた本研究の問題意識に沿った成果であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
推進方針について特に変更はない。「未」「既」「已」「也」等上古中国語においてアスペクト機能を持つとされる関連諸語について順次調査を進め、アスペクト機能を解明する予定である。また、上古中国語の動詞の語彙的アスペクト(アクチオンスアルト)の特徴についても、何らかの形で明示的に言及したいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)