Project/Area Number |
23K00578
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02080:English linguistics-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大橋 浩 九州大学, 基幹教育院, 教授 (40169040)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 対人的機能 / 機能拡張 / 譲歩 / 逆接 / トピックシフト / 談話標識 / 対人的機能の発達 / 間主観性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は間主観的な意味を持つ言語表現が対人的意味機能を発達させる実情を記述、分析するとともに、認知言語学的な動機づけを解明することを目的とする。具体的には、①譲歩や逆接などの間主観的な意味からトピックの展開や転換を合図する談話標識的な機能を新たに発達させた表現の使用状況を記述し、②その意味機能の拡張がどのような要因に動機づけられているかを分析し、③間主観的意味から対人的機能への変化を Traugott の主張する「客観的>主観的>間主観的」という意味変化の方向性の枠組みでどのように捉えるべきかを検討する。以上の課題を日英語に加えて、中国語、韓国語、ポーランド語へと考察の対象を広げて行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
使用基盤的構文理論の立場から、日英語に加え、他言語においても譲歩や逆接の意味を持つ表現が対人機能を発達させている例があるか、先行研究の文献やコーパスの用例を調査そした。 英語と日本語に関しては、 but や however、「しかし」や「でも」などの譲歩や逆接の接続詞がトピックシフトの機能を持つことが広く見られることを確認した(Aneider Iza Erviti (2021) Discourse Constructions in English: Meaning, Form, and Hierarchies. Springer. などを参照)。 個別の事例研究としては、現代英語の But I digress. (「話が逸れた。」「話を戻そう」)という慣用表現の共時的、通時的分析を行った。2024年4月13日開催の英語史研究会第33回英語史研究会(於福岡女子大学)で発表予定のこの研究で、確認された初期(1590年代から1600年代初め)の用例の使用文脈の分析により、but が強い対立という逆接の意味というよりも、トピックを元に戻すことを示唆する機能を持っていることが確認された。 日英語以外の言語における同様の拡張については、申請書に書いたとおり、王安氏(法政大学・中国語)、バルトシュ・ウオレンスキー氏(九州大学・ポーランド語)、ユ・ジュヨン氏(九州大学博士課程・韓国語)からの協力に加え、王琪氏(杭州師範大学・日本語学)、原田佳祐氏(日本語学)からの協力も得て、中国語と韓国語にも逆接の意味を持つ表現がトピックシフト機能を発達させている例があることが確認された。具体的には中国語の“但是”、や韓国語の「クロンデ」などにトピックシフトの機能があることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 本研究課題初年度の研究計画は、日英語の譲歩、逆接構文から対人機能が拡張している例をCOCAなどの英語共時的コーパスやCOHA、CLMET、EEBOなどの英語通時的コーパス、現代日本語書き言葉均衡コーパスなどの日本語 コーパスからの例により記述、分析し、合わせて、中国語、韓国語、ポーランド語の用例を収集することにあった。 日英語に関しては上の「研究実績の概要」で述べたように、but のトピックシフト機能について文献調査と事例研究を行い、その成果を研究会で発表する予定である。日本語については先行研究の文献調査を行い、その中で日本語の「ところで」が表すトピックシフト機能が譲歩の意味(「私が何を言ったところで何も変わらない」)から発達した可能性について上記の研究会で触れ、参加者から関連する内容の文献に関する情報などのフィードバックを得た。 日英語以外の言語についても上の「研究実績の概要」で述べたように中国語と韓国語で同様の機能拡張現象を起こしている表現があることを確認した(ポーランド語の用例については未確認)。 このように現在のところ、ほぼ計画書の予定に沿って順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題2年目の研究計画は、対人機能がソースの構文の意味的・統語的特徴からどのように動機づけられているかを考察することにあるので、この方向に沿って、日英語の構文における対人機能の拡張、発達と、そのソースとなる構文の特徴による動機付けという観点から、考察、分析を行い、研究会や学会で成果を発表してフィードバックを得る。 具体的には、英語のbut 持つトピックシフトという機能が、Excuse me/I'm sorry but などの定型的表現で使われる butの用法とどのように関連しているかを考察する。また、however や in any case などの表現がトピックシフトとして用いられる場合についての分析を共時的、通時的に進める。さらに、日本語の「ところで」のトピックシフトの機能の発達を調査するために文献調査を行う。また、中国語と韓国語の例については、上記概要で述べた“但是”や「クロンデ」について逆接、譲歩の意味との関係について、研究協力者の協力を得ながら共時的、通時的考察を進めていく予定である。
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