外国人留学生の異文化適応に関する日韓比較と社会情動的学習(SEL)との関係性の検証
Project/Area Number |
23K00701
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
永岡 悦子 流通経済大学, 流通情報学部, 教授 (40339734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 惠先 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (40369856)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 外国人留学生 / SEL / 日韓比較 / 異文化間能力 / 日本語教育 / 大学教育 / 留学生政策 / 多様性 / 社会性と情動の学習(SEL) / 異文化適応 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本と韓国における外国人留学生の異文化適応を比較し、両国の外国人留学生の異文化間能力育成に、対人関係能力と自尊感情を育成するための「社会性と情動の学習(SEL)」が応用できないか、その可能性を検討するものである。 日本と韓国の高等教育の環境は、公用語が英語ではないことや、私学の割合が高く、外国人留学生の積極的な受け入れる一方、外国人留学生の急増によって、受け入れの質の低下が問題であることも共通している。特に、外国人留学生の対人関係による心理的ストレスは異文化不適応の大きな要因となっている。本研究では、日韓の外国人留学生を対象に、異文化における社会性の向上にSELが応用可能か検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本と韓国における外国人留学生の異文化適応を比較・考察したうえで、両国の外国人留学生の異文化間能力育成に、対人関係能力と自尊感情を育成するための「社会性と情動の学習(SEL)」が応用できないか、その可能性を検討するものである。 日本と韓国の高等教育を取りまく環境は、公用語が英語ではないことや、私学の割合が高く、少子化と供給過剰の問題が起きていることなど共通点が多い。両国とも、高等教育の国際化と優秀な人材の確保を目的に外国人留学生を積極的に受け入れてきた。一方、外国人留学生の急増によって、受け入れの質の低下が問題になっている点でも共通している。特に、外国人留学生の対人関係をめぐる心理的ストレスは異文化不適応の大きな要因となっている。対人関係能力を高める教育方法として、アメリカを中心に今、SELが注目されている。本研究では、学習環境の共通性が高い日韓の外国人留学生を対象に、異文化適応を調査し比較したうえで、対人関係を築き、異文化における社会性の向上にSELが応用可能か検討を行う。日韓両国の異文化適応を比較し、その教育方法を検討することは、両国の留学生教育の改善と発展に役立つものであると考える。 また、本研究では、今までの研究成果をSELスキルと関連づけて新たに分析・整理し、高等教育における留学生教育へのSEL活用の有効性について実際的な検証を試み、最終的にSELを活用した「留学生版レジリエンス尺度」の韓国版、日本版の開発を目標としている。尺度の活用によって、留学生の心身の状態について留学生自身が気づき、その結果に応じて教育内容や生活環境を調整することを通じて、留学生活の改善につなげていけることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、日本と韓国の外国人留学生の異文化間能力育成に、「社会性と情動の学習(SEL)」が応用できないか、検討するものである。両国におけるSELの導入の背景と経緯について比較考察し、SELの実践と評価に活用する「留学生版レジリエンス尺度」の作成を目指している。令和5年度までにSELの理論的背景を先行研究で確認するとともに、文献調査を通じて日本と韓国でSELが導入される背景と経緯、現在までの教育実践や調査の事例の比較を行った。SELが韓国と日本で普及、発展していく過程で見られる共通点と相違点について、調査結果を韓國日本語學會で発表した。その後、論文を執筆し、韓國日本語學會の学会誌『日本語學研究』に掲載された(鄭・永岡2024)。研究の1年目に日韓両国の高等教育における留学生政策と異文化適応に関する先行研究を整理し、両国の外国人留学生の受け入れ環境と課題について明らかにすることは、おおむね順調に進展した。1年目の後半に、2年目の研究の準備として「留学生版レジリエンス尺度」の項目の作成まで進める予定であったが、文献調査を通じた尺度の検討までは進んだものの、具体的な項目作成までには至らなかった。今後の研究計画を改めて検討し、尺度の項目の作成と尺度を用いたパイロット調査を日韓両国で今年度中に実施できるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度までの日本と韓国のSELの導入と発展に関する文献調査の結果と、鄭・永岡(2022)、永岡・鄭(2022)で行った日本の大学で学ぶ外国人留学生の異文化間能力に関する調査結果をふまえ、日本と韓国の大学で学ぶ外国人留学生を対象に、SELを活用した「レジリエンス自己評定尺度」の研究と開発を行う予定である。 SELを活用した「レジリエンス自己評定尺度」の開発にあたり、まず日本人大学生と外国人留学生を対象に開発されたレジリエンス尺度に関する先行研究を比較検討する。先行研究のレジリエンス尺度と、本研究で育成をめざすSELのコアスキルである「自己への気づき」「自己のコントロール」「他者への気づき」「対人関係」「責任ある意思決定」の5つを照らし合わせ、それぞれのスキルと留学生が必要とする能力との関連性、優先順位を明らかにする。その上で、レジリエンス自己評定尺度の開発に向けての検討材料として活用する。レジリエンス自己評定尺度の検討については、2024年8月に、アメリカ・ウィスコンシン大学マディソン校で行われる日本語教育国際研究大会 (ICJLE)で発表する予定である。 その後、2024年秋までに試用版の尺度を調え、2024年秋~2025年春にかけて、尺度の有効性を検証するために、日本の大学で学ぶ外国人留学生、韓国の大学で学ぶ外国人留学生を対象にパイロット調査を行う。日本の大学と韓国の大学で各20~30名程度を対象に調査を行い、因子分析を用いて因子の構造について検討する。そして、最終年度に行う本調査につなげていきたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)