日本近代史学史の再構築―中国史研究の展開過程と在野の学会の活動を焦点に―
Project/Area Number |
23K00799
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03010:Historical studies in general-related
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
飯尾 秀幸 専修大学, 文学部, 教授 (10202805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嶋 茂稔 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20312720)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 近代日本の史学史 / 戦前の中国研究 / 戦後歴史学 / 歴史学研究会 / 志田不動麿 / 三島一 / 戦前の中国史研究 / 『歴史科学』 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、社会経済史の手法が取り入れられ始めた1920年代から、敗戦後にマルクス主義歴史研究が豊かな成果を蓄積した1980年代頃までを対象に、中国史研究を主要な対象とする新たな近代史学史を構築するものである。その際、プロレタリア科学研究所、歴史学研究会、『歴史科学』編集委員会、民主主義科学者協会歴史部会などに集った研究者の研究手法や研究成果から読み取れる思想性や歴史認識、各学会の機関誌の編集方針等、同時代の政治状況にあわせた様々な活動や運動のあり方などを明らかにする。それらを通して、同時期の中国史研究者の運動や活動のあり方を中心に、1920~80年代を対象とする史学史の叙述を完成させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、1920年度の我が国の中国史研究動向に焦点を当て、プロレタリア科学研究所・歴史学研究会・『歴史科学』編集委員会での中国史研究について、検討を行った。これらの研究団体は、構成員の出身校や所属組織等を横断して組織されており、従来の史学史の叙述においてあまり注目されてこなかった存在であったからである。特に、戦前、若手歴史研究者によって組織された歴史学研究会には、三島一・志田不動麿など、当時新進の中国史研究者が参画し、その機関誌『歴史学研究』にはマルクス主義歴史学の方法論に基づく中国史の論考も多く掲載されていたが、それらの論考や三島や志田らの著作の検討を一定程度進めることができた。 その一方で、本研究が対象とする時期の歴史学界の動向を直接目にした世代からの聞き取り調査を行った。戦後歴史学の潮流の中で中国古代史研究を進め、民主主義科学者協会歴史部会の継続組織ともみなしうる歴史科学協議会の代表委員を1990年代に務めた太田幸男東京学芸大学名誉教授から聞き取り調査を行うことが出来た。太田氏の聞き取り調査の内容は、2024年度中に『歴史評論』誌に掲載される予定である。 ただ戦後結成された国民的歴史学運動についての検討を進めるべく、その重要な担い手であった研究者からの聞き取り調査に着手したが、すでに相当のご高齢であり、御家族との協議を経て残念ながらその方からの聞き取りは断念することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
戦前期のマルクス歴史学陣営における中国史研究のあり方については、一定程度の資料収集を進めてきたが、想定したようには資料が集まっていない。収集した資料が現状での限界なのかどうか見極める必要が残されている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、引き続き、プロレタリア科学研究所、歴史学研究会、『歴史科学』で展開された中国史研究の状況の検討を進める。特に、歴史学研究会の活動を担った人々と、『歴史科学』の活動を担った人々との交流の有無や、中国の歴史や同時代の中国認識の差違等について検討を進めていく。なかでも『歴史科学』を主要な研究発表の場として独自の中国史認識を提示した秋沢修二についても基礎的な資料収集や作品の分析を行っていくこととしたい。 また、2025年度以降の研究を見据え、中村哲が提唱した小経営生産様式論について、1970年前後の我が国のアジア的生産様式論争との関係性も意識しつつ検討を行うほか、1950年代の国民的歴史学運動を担った民主主義科学者協会歴史部会の動向についての準備的な資料収集・分析も進めていくこととしたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)