Comparative history and reassessment of the 'rediscovery' and restoration of Gothic cathedrals in modern and contemporary Europe
Project/Area Number |
23K00890
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松嶌 明男 北海道大学, 文学研究院, 教授 (20306210)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2027: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2026: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 計画の遅延 / 準備段階 / フラグメント化した歴史 / 全体像の復元 / ゴシック様式大聖堂 / 西洋近現代史 / 文化史 / 戦災による損傷と修復 / 宗教社会史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ヨーロッパ近現代社会でゴシック様式大聖堂が占める位置と機能とについて、単に宗教建築として評価するのではなく、社会史・文化史による研究蓄積を生かして、大聖堂が近現代社会によってどのように受容されてきたかを再評価することを試みるものである。 その際に注目するのが、戦火による被災と修復である。その局面において交わされた議論には、大聖堂とは国家にとって何であるのか、国民にとっていかなる存在であるのか、あるいは教会にとっていかなるものであるのか、様々な視点と利害から生まれた主張と評価と対立が、はっきりと表面に浮かび上がってくる。本研究では、そこに析出される諸問題を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
現状で研究計画の一年目が過ぎたが、顕著な業績を公表するには至っていない。本年度は、関西フランス史研究会が主催したピーター・マクフィー著『フランス革命史:自由か死か』の合評会に、コメンテーターとして招待され、そこでこれまでの研究成果を反映させたコメントを示すに留まった。私を含むコメンテーター3名に加えて、学際的な視点から同書を翻訳した、歴史学者ではない2名の翻訳者を交えて、議論を行った。本研究計画の根幹をなす「記念碑的な過去」や「その時代に生きた人々」の視点から、真摯に意見交換を行ったつもりである。しかしその中で、マクフィーによる「フラグメント化された歴史の集積」は、さながら崩壊した大聖堂の積み重なったがれきのように、過去の総体を理解するうえで役に立たないという点を強調したところ、訳者および平場にいた歴史学以外の分野の参加者によって「何を言っているか分からない」という趣旨の反論を受け、まったく共通理解を形成できずに終わった。 その痛手は大きく、研究計画を再開すると、直近には欧米・日本を問わずに関連する目立った業績もなかったことの影響もあり、研究は停滞した。先駆的かつ基礎的であるT.W. Gaehtgens, Reims on fire, 2018.の出現による衝撃と波紋は、それに続くべき基礎的研究を生み出していなかった。幸い、イギリスについては、第二次世界大戦の空襲による被害を中心とした戦災に関する文献、第一次世界大戦のプロパガンダに関する文献を中心に、基礎的な史料を入手し、分析を進めている。 それと並行して、過去に入手したフランスとイギリスの大聖堂に関する文献を読み進めることも行っている。様々な事情により、初年度は予定した実地調査のための海外渡航期間を確保することができず、次年度以降に延期せざるをえなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上述したゲートゲンスの業績が出た直後は、それに刺激を受けた議論が沸き上がるのが認められたが、数年が過ぎた現在では、そこから生まれた業績は本研究計画の推進の土台となるには不十分なものでしかない状況にある。ウクライナとパレスチナでリアルかつ世界戦争に拡大しかねない戦いが起きていることが、ヨーロッパ社会においては現実の危機としてとらえられ、過去の戦災を振り返る営みに負の影響を及ぼしたと思われる。また、夏以降、本研究計画のエフォート率を下げざるをえない事態が公務および日常生活において複数発生し、その対応に追われて十分な研究な研究時間を確保できなかったことには忸怩たる思いでいる。 今回、前者については、研究の方向性を見直すことで対応する予定である。具体的には、日本でも研究が多く出ている「都市景観」の研究蓄積を利用することを検討する。後者については、一年をかけておおむね事態を収拾する手を打つことができたため、2024年度については、昨年度のような挫折と長期的な混乱が再現することはないものと考えている。またそれにより、研究時間の確保もできる見込みが立てられた。
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Strategy for Future Research Activity |
2025年3月に、本務校の業務の制約から2週間ではあるが、実地調査の期間とそれに要する航空券の手配ができた。それを前提とした研究計画の組み直しを行う。今回の研究計画では、航空券と宿泊代が世界的に値上がりしたため、支給された額では実地調査の経費全てを賄うことはできない。そのため、過去に貯めた航空会社のマイルで特典航空券を購入し、費用の大幅削減を達成したが、コロナ禍の影響で特典航空券の確保が困難で、買えた航空券の内容に則して実地調査先を計画から変更することになった。 往路便がフランクフルト行きであるため、今回はベルリンとケルン、可能であればドレスデンを主たる実地調査先とするが、復路便がロンドン発であるので、カンタベリーないしコヴェントリーの調査も行えるかどうかは、今後の検討課題とする。実地調査は年度末であるため、それまでの期間においてベルリンとケルン、ドレスデンの情報収集とその解析を進め、現地で事前調査不足とならないように十分な用意を行う。本来は最初に手掛ける予定であった、フランスのアミアンやランス、シャルトルについては、3年目以降に進めることとするが、主に文献史料の収集を中心に、十分な準備を行う。同時に、日本国内における学際的な「都市景観」の議論の深まりについて、本研究計画で生かすことができる成果を集めて分析する。
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Report
(1 results)
Research Products
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