Project/Area Number |
23K00897
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03040:History of Europe and America-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長田 浩彰 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (40228028)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | パレスチナ・ドイツ・ユダヤ人社会 / 言語ポピュリズム / Jedioth Chadashoth / Yedioth Hayom / Orient (Zeitschrift) / Jecke |
Outline of Research at the Start |
イスラエル建国以前のパレスチナは、ドイツ・ユダヤ人多数派にとって、一時的な亡命先でも、シオニズム実現のための父祖の地でもなく、ナチ・ドイツに代わる新たなディアスポラ(離散の地)だったのではないか。つまり、東欧ユダヤ人が多数派を占めるパレスチナ・ユダヤ人社会に完全に吸収されることなく、そこでは、ドイツ語・ドイツ文化の保持による「想像の共同体」=パレスチナ・ドイツ・ユダヤ人社会が形成されていたのではなかろうか。本研究は、英字紙やヘブライ語紙のニュースをドイツ語に翻訳して掲載するダイジェスト日刊紙を主な文字史料として分析し、当時者への戦後のインタビュー資料もまた活用して、上記の仮説を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
周知の通り、定期刊行物等を媒介とした共通の言語領域の形成は、ベネディクト・アンダーソンのいう「想像の共同体」形成の前提条件である。その意味でドイツ語新聞は、バレスチナ・ドイツ・ユダヤ人社会という「想像の共同体」形成の重要な媒体と考え得る。本研究で史料とするJedioth Chadashoth(『最新ニュース』: JC)やYedioth Hayom(『日々のニュース』: YH)は、英字紙やヘブライ語紙のニュースをドイツ語に翻訳して掲載するダイジェスト紙でスタートし、前者は35 年10 月から、後者は36 年12 月から、戦時中の中断を挟みながら日刊で朝夕2 回、テルアビブで発行された。YH は1964 年末に廃刊となるが、JC は1973 年末まで続き、後継紙として、Israel Nachrichten が、2011年までイスラエルでのドイツ語紙として発刊された。これらの記事からは、テルアビブのドイツ・ユダヤ人社会の日常が見えてくる。 初年度は、まずJCの1935年から38年度末の紙面内容の変化を考察の対象とした。当初は、ヨーロッパ情勢を扱う第1面、ドイツを中心に世界のユダヤ人関係の出来事を扱う第2面、そしてパレスチナの状況をまとめる第3面で本紙はスタートした。パレスチナでのアラブ系住民の大規模な反乱が発生する36年4月以降は、現地の状況や委任統治政府・本国英議会、パレスチナ・アラブ人社会代表らの動向が第1面となっていく。加えて紙面内容も充実し、映画や演劇評の文芸欄、スポーツ、連載小説、株式市場動向のほか、ヘブライ語学習面やラジオ番組表も加わった。パレスチナ・ドイツ・ユダヤ人社会の関心が結実した内容と理解できる。 さらに、ハイファとエルサレムで1942年から43年に出された週刊誌Orientに関する、記事分析も開始した。途中経過は、2023年7月の学会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果を、後述のように学術雑誌論文として2023年11月に公表し、雑誌Orientに関しても、2023年7月2日、中国四国歴史学地理学協会2023年度大会・ 西洋史学部会(広島大学)で中間報告を行えたから。
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Strategy for Future Research Activity |
Jedioth Chadashoth(『最新ニュース』: JC)やYedioth Hayom(『日々のニュース』: YH)の、1939年以降の記事内容の分析に着手していきたい。また、雑誌Orientの記事内容について、更に分析を進め、40年代前半のパレスチナにおけるドイツ・ユダヤ人社会の状況について分析する。 さらに、ハンブルク大学現代史研究所のオーラル・ヒストリー・アーカイブ「記憶の工房」では、代表者リンデ・アーペルが、ナチ期以降にパレスチナに移住したドイツ・ユダヤ人18人へのインタビューを2010年4月と5月にイスラエルで実施し、ビデオ資料として保有している(http://www.werkstatt-der-erinnerung.de/ jeckes/jeckes)。ヘブライ大学オーラル・ヒストリー部局が所蔵する200件のドイツ・ユダヤ人移住者へのインタビュー・コレクション(https://portal.ehri-project.eu/institutions/il-002784)についても、ガザ侵攻終結の後に、現地状況が安定化すれば、調査・利用していきたい。
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