Project/Area Number |
23K00926
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
森川 実 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 室長 (30393375)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
降幡 順子 独立行政法人国立文化財機構京都国立博物館, 学芸部保存科学室, 室長 (60372182)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 『延喜式』の陶器調納規定 / 器名考証 / 須恵器の産地推定 / 蛍光X線分析 / 古代の土器・陶器調納制 / 器名考証研究 / 『延喜式』 / 蛍光X線分析 |
Outline of Research at the Start |
本研究「令制施行時の土器・陶器調納制と都城・宮都出土土器の基礎的研究」は、飛鳥地域および藤原宮・平城宮出土土器(7世紀後半から8世紀)を対象とし、『延喜式』主計式上の土器・陶器貢納規定に見える各器種が、実物のどの土器にあたるかを検討し、須恵器にかんしては胎土分析によって産地構成を明らかにするものである。令和5年度から3か年の計画で、飛鳥地域および藤原宮、平城宮・京出土土器の器名考証と産地推定を実施し、主計式上の土器・陶器調納規定の成立時期と、『延喜式』践祚大嘗祭式などに見える須恵器貢納国(和泉・尾張・三河・備前)が律令制成立時に遡るという説の正否を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、令和6年度以降に分析を実施する試料の選定をおこなった。 7世紀に古代宮都があった飛鳥・藤原地域(奈良県明日香村・橿原市)に搬入された須恵器には、これまで尾張・三河産のものが一定量含まれていることがすでに判明している。これに対し、播磨産・備前産須恵器は、播磨国・備前国が『延喜式』主計式の陶器調納規定に見えている須恵器生産地であるにもかかわらず、その全容がなお明らかでない。そこで、石神遺跡(奈良県明日香村)の諸遺構や、藤原宮(奈良県橿原市)東内濠SD2300出土の須恵器の中から、播磨産・備前産の候補となりうる個体を選定し、今後の分析に供することとした。具体的には、播磨国・備前国の産品の可能性があり、脚短坏(あしひきつき)、深坏(ふかつき)、筥坏(はこつき)などの候補となる須恵器食器のうち、これまで尾張国産・三河国産と推定された個体や、和泉陶邑窯産でないものを選定した。 上述の陶器調納規定によれば、脚短坏や筥坏は、おもに播磨国や備前国の産品である。現在のところ、これら2種類の須恵器が、出土土器のどれに当たるかは未確定だが、前者は台付の杯に、後者はおもに深形椀を指すと考えた。当面はこの見通しに基づき、播磨産・備前産須恵器の特定を進めてゆく。このほか、別の陶器調納国である讃岐産須恵器の研究動向についても知見を深め、それらが飛鳥・藤原地域等にもたらされた可能性についても具体的な検討を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は試料の選定と、その根拠となる古代器種の考定作業に多くを費やし、実際の分析作業にはいたらなかったが、『延喜式』主計式に見えている、国別に調納された須恵器の器種を整理し、いくつかの器種について重点的に分析を実施するべきという指針が得られた。 今後はこの方針に基づき、試料の選定と分析を順次進めてゆく。また、畿内・都城へともたらされた須恵器を調納国別に整理し、それぞれを考古学的に、どのように区別するかを具体的に考えられるようになりつつあることから、研究自体はおおむね順調であると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究実績に基づき、選定した試料(飛鳥・藤原地域出土須恵器)の分析を進めるとともに、平城宮・京出土須恵器の試料選定を進める。また、播磨産・備前産須恵器の実見をおこない、生産地のほうでも分析試料の選定をおこない、比較検討ができるようにする。具体的には、兵庫県白沢窯出土須恵器や、岡山県寒風窯出土須恵器などが分析試料の選定候補となる。また、分析試料の考古学的な資料化も並行して実施する。
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