初期農耕導入期における社会構造変化の復元に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
23K00936
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 03050:Archaeology-related
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
中沢 道彦 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (40626032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 芳郎 明治大学, 文学部, 専任教授 (10221730)
米田 穣 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30280712)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 縄文時代後晩期 / 安定同位体分析 / レプリカ法 / 縄文人骨 / 年代測定 / 抜歯 / 阿弥陀堂式 / 保地遺跡 / 縄文時代晩期 / 初期農耕 / 縄文社会 |
Outline of Research at the Start |
初期農耕導入期前後の縄文時代晩期~弥生時代中期初頭における生業変化とそれに伴う社会構造変化を解明するため、以下の方向性で研究をすすめる。①中部高地を中心に該期の墓址遺跡出土人骨の年代測定を行い、墓址形成過程、抜歯様式と年代との相関性等を検討し、社会構造復元に向けた基礎データを提示する。 ②遺跡出土人骨や土器付着炭の安定同位体分析及び出土土器の種実圧痕のレプリカ法分析を行うとともに、出土動植物遺存体の同定を行い、生業と古食性変化の復元を行う。③古い調査遺跡の整理作業を進め、①②の分析とともに遺跡の構造復元を行う。④上記分析を踏まえ、初期農耕導入期の集団や社会組織の仮説モデルを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
中部高地を中心に汎日本列島において、初期農耕導入期前後の縄文時代晩期~弥生時代中期初頭の生業変化に伴う社会構造変化解明を目指すため、①墓址遺跡出土人骨の年代測定を行い、墓址形成や抜歯様式との相関性を分析②出土人骨や土器付着炭化物の安定同位体分析による生業復元③分析遺跡の再整理を行い、研究分担者の阿部芳郎、米田穣や研究協力者の納屋内高史、丑野毅とともに基礎的研究を進めた。 2023年度は長野県保地遺跡、同県宮崎遺跡出土縄文後晩期人骨の年代測定と埋葬過程の復元、抜歯様式との相関性の検証、宮崎遺跡出土人骨や長野県エリ穴遺跡、新潟県青田遺跡、奥の城西峯遺跡出土縄文後晩期土器付着炭化物の安定同位体体分析、宮崎遺跡出土動物遺存体の同定、土器の種実圧痕のレプリカ法分析により古食性や生業活動の復元研究を行った。かつ、サメ類装身具装着人骨の古食性を分析した。また、中部高地の縄文後晩期土偶を集成、型式学的検討を行い、生業変化との相関性の検証作業を手掛けた。更に、宮崎遺跡、保地遺跡、長野県宮遺跡については人骨の年代値からこれまで不明であった遺構の型式レベルの推定時期を明らかにしたことで、遺跡全体の構造復元を手掛けた。更に縄文農耕論の今日的評価を行った。加えて、考古学の時間軸の編年整備のため、阿弥陀堂式を中心に飛騨の縄文時代晩期後葉~弥生時代前期の土器編年研究を進めた。 新たな課題として内陸部における淡水漁撈の復元を志向するため、分担者、協力者、有識者を招聘して7月に千曲川・信濃川における縄文時代のサケ・マス漁をテーマとして、第1回千曲川・信濃川資源利用史研究会を開催した。千曲川・信濃川の通史的な講演、学史的な山内清男のサケ・マス論、北米の民族学的研究、モデルとして宮崎遺跡サケ・マス利用の可能性、新潟や東北の民俗学的研究、縄文人骨の安定同位体分析から利用復元などの研究発表が行われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
縄文後晩期人骨の年代測定については、長野県保地遺跡、同県宮崎遺跡出土人骨の年代値が得られ、公表もしくは報告内容は受理済みである。宮崎遺跡出土人骨の安定同位体分析では内陸部遺跡にも拘らず、海産資源利用の可能性が高い値が得られ、サケ・マス利用の可能性を第1回千曲川・信濃川資源利用史研究会で議論した。人骨の様式については、縄文後期後葉~晩期前葉の特定様式が千曲川流域の特性の可能性を指摘している。長野県エリ穴遺跡、新潟県奥の城西峯遺跡の安定同位体分析から精製土器、粗製土器の使い分けの変化についてはシンポジウム「縄文土器の用途解明に関する学際的研究」、サメ製装身具装着人骨の古食性の復元については、シンポジウム「装身具となったサメ類とその背景」、中部高地の縄文時代後晩期土偶の型式学研究の成果の一部はシンポジウム「土偶研究の新展開」で発表している。宮崎遺跡出土動物遺存体の同定やレプリカ法分析は研究協力者とともに進めている。中部高地に隣接する飛騨については土器編年で不明な部分があるため新たな課題となり、阿弥陀堂式を対象とした論文を公表した。また、古食性復元について内陸部の淡水漁撈や遡上性のサケ・マス利用の復元が課題となり、第1回千曲川・信濃川資源利用史研究会を開催し、研究を深めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は長野県七五三遺跡(未調査分)、長野県月明沢遺跡、富山県大境洞穴遺跡出土人骨の年代測定、安定同位体分析を進める。また、既に行った七五三掛遺跡人骨の年代測定結果も踏まえ、抜歯様式と年代測定値との相関関係を分析する。また古食性の復元をめざし、長野県宮崎遺跡、富山県大境洞穴遺跡、吉岡遺跡出土縄文晩期土器付着炭化物の安定同位体分析や、大陸系穀物導入の時期を明確にするために新潟県大塚遺跡出土弥生前期土器のレプリカ法分析を進める。比較資料として韓国松菊里遺跡出土資料の調査を行う。 また今後の飛騨における安定同位体分析やレプリカ法分析を進める前提の基礎作業として、考古学の時間軸構築に向けた阿弥陀堂式を中心とした土器編年研究も併せて進める。構築後に飛騨の安定同位体分析を進める。また、縄文時代生業の根本にかかわる縄文農耕論に関する議論の定点を整理する。また、昨年に引き続き、第2回千曲川・信濃川資源利用史研究会を開催し、先史時代におけるサケ・マス漁をはじめとする淡水漁撈についての議論を深める。 中部高地の縄文弥生移行期のモデル構築を目指し、重要遺跡として長野県庄ノ畑遺跡の未整理資料の図化作業を行う。生業変化に伴う社会変化を復元するための作業として中部高地における縄文後晩期土偶の集成と型式学的検討を行い、生業変化との相関性を検討する。また、引き続きサメ類装身具と装着人骨、墓址の分析から装身具装着の意義を追究する。 2025年度は岡山県彦崎遺跡出土人骨の年代測定及び安定同位体分析を行うとともに、全体研究会では韓国から先史・青銅器時代の研究者をゲストスピーカーとして招聘し、環日本海の視点で比較検討する。特に2025年度は月明沢遺跡の分析、公表に主眼を置く。2026年度は最終年度としてシンポジウムを開催し、研究成果を広く世に公開する。
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Report
(1 results)
Research Products
(13 results)
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[Journal Article] 中部高地の晩期の様相2023
Author(s)
中沢道彦・米田穣・蒲生侑佳
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Journal Title
資源利用史研究クラスター成果公開シンポジウム 縄文土器の用途解明に関する学際的研究~特定資源の利用強化と縄文土器の用途~
Volume: ー
Pages: 16-23
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