Project/Area Number |
23K01024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
友永 雄吾 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (60622058)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 先住民族の遺骨に関する国際返還 / オーストラリア先住民の遺骨返還 / アイヌ民族の遺骨返還 / 琉球人の遺骨返還 / 先住民族研究と倫理規定 / オーストラリア先住民族 / 遺骨と副葬品の返還 / 遺骨と副葬品の再埋葬 / 遺骨と副葬品の再埋葬のための倫理 / 先住民族と非先住民族との共同研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、オーストラリア先住民族の遺骨と副葬品の返還を求める運動に注目し、欧米の研究者を中心に収集された遺骨や副葬品に関するデータの先住民族による活用方法について体系的に明らかにする。こうした西欧の「近代知」を活用することで過去と対話し、先住民族の「伝統的な知識」を現在に再解釈して次世代へと継承する、そうした継承のメカニズムの解明により、既存の先住民族研究に新たな知見をもたらす。
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Outline of Annual Research Achievements |
2024年2月に、昨年から投稿していた琉球王国の遺骨返還訴訟にみる先住民族認定をめぐる議論を扱った論文Dispute over the Recognition of Indigenous Peoples in the Lawsuit Calling for the Return of the Ryukyuan Remainsが、Routledge Tayer & Francisの国際ジャーナルInternational Journal of Human Rightsに受理され、掲載された。さらに同年3月、20年度から取り組んできた翻訳作業により、オーストラリアの難民政策に関する書籍"No Friend But the Mountains: Writing from Manus Prison"を、『山よりほかに友はなし―マヌス監獄を生きたあるクルド難民の物語』として明石書店から出版した。この本については、5月に芥川賞作家である池澤夏樹氏による書評が毎日新聞に掲載される予定である。その他2023年9月にはTBS系列のテレビ番組『世界遺産 THE WORLD HERITAGE』のオーストラリア南東部のバジ・ビム遺跡の先住民族によるウナギ養殖を扱った『バジ・ビムの文化的景観』を監修し、全国ネット番組で放送された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2026年3月から所属機関から1年間の長期海外研究員としてメルボルン大学を拠点に先住民族の遺骨返還に関する研究を実施するための許可を得た。このため23年8月に5年ぶりにメルボルンを訪問し、2010年から信頼関係を深めているメルボルン大学の先住民研究者T氏と会合し、1年間の長期海外研究員として受け入れてもらう許可を得た。加えて、本テーマに関するインタビューを実施した。さらに、①メルボルン大学、モナッシュ大学、ディーキン大学、ビクトリア大学を中心に活躍する知己の先住民研究者とも5年ぶりに再会し、上述の2026年からオーストラリアにて実施する研究テーマを共有した。加えて、②長年、遺骨返還問題に取り組んでこられたJ氏に、現在のオーストラリアにおける遺骨返還の状況、23年5月8日にメルボルン博物館からアイヌ民族へ返還されたアイヌ民族の遺骨返還に関してインタビューをする予定が、当日に氏が体調を崩されたため代わりに氏と共同で研究を進めアイヌ民族への遺骨返還の際に、中心的な役割を担たS氏へインタビューを実施した。また、昨年まで大英博物館にて学芸員をすすめ現在ディーキン大学の教授を務める先住民研究者T氏にオーストラリア先住民の大英博物館所蔵コレクションと遺骨返還についてインタビューをした。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は次の5点に注目して研究を展開する。第1に、2023年2月に国際ジャーナルJapan Forumに投稿した論文Repatriation of Indigenous Ancestors in Australia and Japan: Transformation from National Issue to Global Issueが2回目の査読を受けており、本論文が掲載できるよう尽力する。第2に、8月25日から9月8日までメルボルンに滞在することになっており、その際に23年度に実施できなかった遺骨返還問題に詳しい先住民および非先住民研究者および博物館の学芸員さらには先住民当事者に可能な限りインタビューをする。3点目は、2026年度に長期海外研究員として1年間オーストラリアにて研究に従事するが、その年にキャンベラにて国家慰霊施設が完成する予定である。また、海外の身元が判明していない先住民の遺骨は、キャンベラのオーストラリア国立博物館にて保存されている。このため、キャンベラにも赴き国家レベルでの国際遺骨返還にかかわる行政職員にもインタビューを実施する。そこではとりわけ倫理規定と、国際遺骨返還の現状について資料の渉猟とインタビューを実施する。4点目は、24年度に北海道大学の石原真衣准教授が代表を務める「先住民および人種的他者をめぐる日本型レイシズムの人類学的検討」が基盤研究Bに採択され、その研究分担者として石原氏から依頼を受けた。このため、アイヌ民族とオーストラリア先住民の遺骨返還に関する比較調査を実施する。最後に、12月にアデレードの南オーストラリア博物館にて開催されるオーストラリア文化人類学会にてこれまでの研究成果の一部、ことに先住民族の国際遺骨返還の状況に注目した発表を予定している。
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