越境的・公共的な私的主体・国際機関の活動に関わる政府活動の統制と多層的立憲主義
Project/Area Number |
23K01091
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齊藤 正彰 北海道大学, 大学院法学研究科, 教授 (60301868)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 憲法 / 国際規律 / 多層的立憲主義 / 越境 / 公私協働 |
Outline of Research at the Start |
今日、国家間や国際組織を通じた協力という枠組みを超える事業・活動が、急速に進展している。公的主体と私的主体による自発的・持続的な連携体に政府が参加・関与し、そこでの合意が国内での政策形成や規範定立に牽連するとすれば、そうした政府の対外的活動の統制が問題となる。また、越境的に活動する私的主体は、政策プログラムや規範の形成・実施に関与するとともに、政府や国際機関による法的統御を超えるポテンシャルを有しており、政府の活動に看過できない影響を及ぼす。本研究は、そうした局面に関わる政府活動に対する憲法的統御の可能性を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グローバルな性質を有し、しかも越境的に活動する機関や私的主体が大きく関与するという事案が増加している現況において、政府もそれらに対応すべく活動していることに注目し、憲法規定と国際規律とが結び合って多層化することを考える必要があることを視野に入れながら、政府の対外的活動の規律と私人間問題の規律の輻輳領域を論じるための憲法的基盤の明確化を図るものである。 そこで、今年度は、①公共的な性質・活動が見られる私的主体に関して公法的規律が及ぶかについて、重要な検討素材となるIOCおよび関連する具体的な紛争や制度をめぐって議論がまとめられつつあるスポーツ法の領域について理解を進めた。②設立文書における合意の範囲を超えて展開される国際機関の活動の受容について、WHOを素材に、従来の国際法・国際機構論の到達点と限界を確認した。③地球規模での規範の形成・実行に際して、国内の立法過程への国際機関の要請や私的主体の参与の受容に関して、「ビジネスと人権」に関する近時の議論を検討した。 これらに関連して、経済活動とその主体に関する憲法的規律をめぐる従来の議論を再検討する論文2本を、所属機関の紀要に発表した。また、憲法と国際規律とが結び合う多層的立憲主義の観点から、憲法秩序と国際人権条約について学会の企画に寄稿した論稿を補完する論文を所属機関の紀要に発表し、関連する学説についての書評を依頼されて執筆した。さらに、政府の対外的活動の規律の観点から、憲法の平和主義についての論文を法律雑誌に寄稿し、同時に、学会に招かれて報告した。そして、これらの基盤をなす憲法の理解について、入門書の体裁ではあるが、1冊にまとめて学界に問うた。 なお、本研究の検討内容の的確性を担保するために、国際法の研究者とWEB上での意見交換を随時行って、研究の方向性を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究が着目する3つの主要論点について、関連領域における最新の議論状況を確認するという本年度の研究計画については、文献の調査とともに、学外の研究者との意見交換を出張の機会やオンラインを通じて積極的に行うようにした。それによって、当初計画以上とまではいえないが、おおむね順調に進展していると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、当初の研究計画に従い、中核的課題である①公共的活動を行う私的主体に関する公法的規律の可能性について検討し、具体的な帰結・射程の相違を明確化する作業を行うとともに、③地球規模での規範の形成・実行をめぐる注目例である「ビジネスと人権」の問題について理解を深め、憲法理論との接続可能性の検証を行う。その際には、これらの論点についての研究の第一人者からの情報や助言を参考に、調査・検討の内容・方向性等を検証するなどして、研究計画全体の進捗状況や状況の変化に応じた合理的な調整を行いながら研究の推進を図る。
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Report
(1 results)
Research Products
(11 results)