Project/Area Number |
23K01105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
愛敬 浩二 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (10293490)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | イギリス憲法 / 比較憲法 / 司法権 / 政治的憲法論 / 憲法論議 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、「憲法論議」に関する比較憲法的研究の意義と課題を、「イギリス公法学における司法権批判」という具体的な問題を検討材料として、日本の憲法改正論議との比較を意識しつつ、分析・検討することにある。現在の保守派による司法権批判を従来の左派による司法権批判と関連付けることにより、イギリス憲法論議の固有な性格を明らかにした上で、イギリスの公法学説に関する日本公法学の従来の理解・評価の問題点についても批判的検討を行う。 以上の分析・検討を通じて、各国憲法の制度・運用に依存するところの大きい「憲法論議」に関する比較憲法的研究の意義と課題を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究計画調書にあるとおり、2023年度は「従来の主に左派による司法権批判(機能主義公法学・政治的憲法論)の主張内容を歴史的文脈(政治史・学説史)において理解・評価するための調査・分析」を主な研究課題として、文献研究と現地調査を行った。具体的には、Martin Loughinロンドン政治経済学院教授の著書・論文を出発点として関係文献を収集し、Harold Laski、Ivor Jennings、JAG Griffith等の憲法学説を再読した。また、近年の保守派の政治的憲法論(Juducial Power Project)との比較検討を通じて、左派による司法権批判の歴史的意味と現在の課題を明らかにした。その成果の一部を「イギリスにおける司法権批判の系譜と現在」として公表した。また、Loughin教授が2024年1月に来日して慶応義塾大学でセミナーを開催したので、同セミナーに参加して本研究に関連する質疑を行った。 2023年9月にイギリスに出張して、Keith Ewingロンドン大学キングズ・カレッジ教授やAlan Boggブリストル大学教授等と面会し、従来の左派による司法権批判と戦後イギリスの労働運動・労働法学の関係でついて質疑を行う機会を得た。その成果の一部を「現代イギリスにおける憲法学と労働法学の対話」として公表した。 2024年3月にイギリス憲法研究会がMichael Gordonリバプール大学教授とChirs McCorkindaleストラスクライド大学準教授を招聘して開催した国際セミナーにおいて研究報告を行い、本研究の成果の一部を披露した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたとおり、2023年度の研究課題であった「従来の主に左派による司法権批判(機能主義公法学・政治的憲法論)の主張内容を歴史的文脈(政治史・学説史)において理解・評価するための調査・分析」については、一定の文献調査・研究を踏まえた本研究の総論的位置付けとなる論文を公表することができた。また、2023年9月のイギリス調査において、本研究に関わる問題意識について現地の研究者と時間をかけて議論する機会も得た。なお、Alan Bogg教授との質疑を踏まえて、「現代イギリスにおける憲法学と労働法学の対話」というテーマを深める論文の執筆を現在計画中である。この論文を公表すれば、「機能主義公法学・政治的憲法論」による司法権批判の意義や課題に関して、一定の体系性をもって私見を示すことが可能になるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画調書にあるとおり、2024年度の研究課題は、「現在の主に保守派による司法権批判の主張内容を歴史的文脈において理解・評価するための調査・分析」を行うことにある。年度前半は文献調査と分析を集中的に行い、その研究成果やそこから生じた問題意識を携えて渡英し、現地の研究者と質疑を行う計画である。その際は、公表した関係論文や未公表の研究ノートを英訳して事前に先方に送っておくなど、効率的に現地調査ができるように工夫する予定である。また、研究成果の一部は所属大学の紀要その他の媒体を通じて、積極的に公表していく予定である。
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