「社会的対話」を基軸にした集団的交渉の法理構築-労働組合システムを超えて
Project/Area Number |
23K01131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05040:Social law-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野田 進 九州大学, 法学研究院, 特任研究員 (90144419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 敬晴 大分大学, 経済学部, 准教授 (00633455)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 社会的対話 / フランス / 団体交渉 / 労働組合 / 社会経済委員会 / EU / ILO / 企業協定 / 労働組合システム / 社会鉄器パートナー / フリーランス / 集団的交渉 |
Outline of Research at the Start |
わが国では、経済の「失われた30年」からの復帰のカギとして、実質賃金の上昇が課題となっている。そのためには、健全な労使交渉による賃上げを活性化することが考えられるが、実際には、労組の推定組織率は16.5%、特に労働者の72%が属する100人未満の中小企業では0.8%にすぎず、労働組合の交渉システムは期待しがたい。 そこで、こうした労働組合システムを超えて、より広範囲の就業者を社会的パートナーとして巻き込み、有益で多角的な課題を話し合うための、労使関係上の新たなフォーラムが必要であり、こうした発想から、「社会的対話」に着眼して、団体交渉に代わる交渉システムの法理を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、わが国で労働組合を通じた労使交渉という「労働組合システム」が機能低下する状況の中で、団体交渉のオルタナティブとして、「社会的対話に基づく集団交渉」という方式を構想し、その法理を明らかにすることを目的としている。 研究期間の1年目である2013年度には、その基礎研究の主要な取り組みとして、「社会的対話」を法概念の基礎とすることに先鞭をつけている、フランス法の基本文献を購読することに、注力した。具体的に、その文献の中心となるのは、Frederic Gea et Anne Stevenot, Le dialogue social, L'avenement d'une modele ?(2021)(全700頁)の所収文献(39論文)のほとんどを、研究分担者である小山敬晴氏その他の参加者と共に、分担して購読し、その内容を論じるという研究会を、5回にわたり実施し、フランスにおける最先端の理論状況を把握し、理解を深めた。 併せて、フランスの法律雑誌に掲載された、「社会的対話」に関する文献を入手し、同じく研究会で購読し、検討した。 その成果の一部を述べると、第1に、フランスにおける社会的対話という政策または法概念の発展経緯と比較法的位置づけが明らかになった。第2に、同じくフランスにおける社会的対話の含意が、体系的に明らかにされており、その一部は日本に応用可能であることが確認された。第3に、社会的対話について、主体論、目的論からの整理が有益であることが明らかになって。第4ニ、特に企業レベルにおいては団体交渉(企業交渉)や従業員代表システムとの競合関係という微妙な問題が明らかになり、この問題は日本でもセンシティブな問題として予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「社会的対話」論がもっとも成功を収めている、フランスにおける最先端の理論状況を把握できたことは、研究計画の立ち上げと初期段階の進捗としては有利な展開となった。それにより、日本の法理へに対する比較法的考察の準備も可能となった。これらにより、研究の論点がより明確になったと考えている。 ただ、このテーマについて、フランスの現地調査(文献調査、研究者インタビュー等)を十分に行っていない点では、完璧な進展とは自己評価できず、2年目にはこの点を補う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目では、本研究の基礎的研究を通じて、研究課題の明確化・先鋭化を図ることができた。これにより、理論をいわばブレイクダウンして具体化することが可能となり、って、日本法との比較考察の準備が整ったといいうる。 そこで、これらの研究成果を通じて、2年目である2024年度は、フランスの問題状況について、調査と議論を通じてさらに検討をとりまとめ、その成果を雑誌論文として公表することを予定しており、直近で6月には各自論文の構成と内容について報告することも予定している。 これらのフランスでの問題状況の把握を踏まえて、2025年度には、日本における社会的対話の法理の可能性について、法理論として具体化したレベルまで掘り下げて検討し、その成果を公表することを予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)