職務著作制度と著作権契約法制の再検討―フランス法からの示唆
Project/Area Number |
23K01207
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
長塚 真琴 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (10281875)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | フランス著作権法 / 著作者人格権と公序 / 著作者人格権と契約 / 同一性保持権 / 氏名表示権 / フリーランスと著作権 / AIと著作権 / 著作隣接権 / 著作権法 / フランス / 所有権 / 職務著作 / 契約 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、フランス法の知見を参考に、創作をしていない者を著作者の地位に就ける日本の著作権法15条の解釈論・立法論(廃止論)、著作者の契約の現行法による規律、さらには契約規制の立法論を試みる。 本研究の提唱する解決は、著作権に排他性がなければ成立しない。本研究は、工業所有権法と著作権法とを「知的財産法」として一体的に把握し、著作権の排他性や著作者人格権保護を相対化する見解からは距離を置く。この見解は日仏両国でみられ、フランスでは一学説にすぎないが、日本では有力である。本研究ではこの見解への批判も試みたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1)2023年度序盤は、前年度のサバティカル研修から授業に復帰した。この時期は、2021年度後半から計画していた単著『文学的美術的所有権の発想―フランス著作権法と文化の領域(仮)』の執筆を進めた。また、6月にはALAI(国際著作権法学会)のパリ大会「著作者の権利と著作隣接権と人工知能」に出席し、AIと著作権に関する最先端の議論に接してきた。 (2)中盤は、単著に取り組むのと並行して、7月にはシンポジウム「歴史研究と著作権法―世田谷区史編纂問題から考える―」に登壇し、「著作者人格権と契約―著作権法の立場から問題提起―」という報告をした。また、2022年度のALAIエストリル(ポルトガル)大会「著作権、隣接権と特別な権利―現況と将来展望」の参加報告を、ALAI日本支部の会誌「国際著作権法研究」2号に寄稿すべく、夏休みを中心に執筆を進めた。 (3)終盤は、12月にALAI日本支部研究大会シンポジウム「著作者人格権の不行使特約は可能か」を一橋大学において開催し(司会を担当)、基調報告「著作者人格権の不行使特約は可能か―企画趣旨、検討対象、フランス法からの考察」もおこなった。このシンポジウムのコンセプトはパリで他の日本支部理事と朝食をとりながら固めた。帰国直後から人選を進めた結果、著作権専門の弁護士の他、フリーランス保護法に精通する経済法研究者や、フランス人格権法を専攻する民法研究者に登壇の快諾を得た。夏と秋を費やして綿密に準備をし、シンポジウムは成功裡に終了した。 (4)年度末にかけては、単著の執筆を進めつつ、上記シンポジウムの質疑応答部分を「国際著作権法研究」3号に寄稿すべく、自らに寄せられた質問、それへの回答、そして司会について、録音を起こしたものの加筆修正をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
(1)サバティカルが明け、2年ぶりの授業はどれも、法改正や教材改訂への対応が必要となり、準備に例年以上の時間がかかった。また、学部ゼミナールも、足かけ3年にわたって、先輩から後輩への引き継ぎが途絶えた状態になったため、指導に手間がかかった。さらに、11月下旬の学園祭で、学部ゼミ主催行事として、ジュネーヴ在住のWIPO職員のオンライン講演会を開催した。大学院においては、11月上旬に単位修得退学した日本人院生の博士論文審査をし、下旬には一橋大学に交換留学経験のあるフランス人院生の博士論文審査をリモートでおこなった。 (2)校務負担は、委員会の数こそ少ないものの、終盤に負担が集中し、ALAI Japanシンポジウム準備や上記博士論文審査、そして学園祭のゼミ行事と時期的に重なり、一時期は多忙を極めた。
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Strategy for Future Research Activity |
単著『文学的美術的所有権の発想―フランス著作権法と文化の領域(仮)』を2024年度内に刊行することを目指す。そこで明らかにされるのは、長い時間をかけて形成された「文学的美術的所有権」としての著作権が、文化のために用いられる資金と、創作者を尊重する社会的合意の源泉となっていることである。文学的美術的所有権は、一貫した特色ある文化政策と相互補完的に、フランスの高い文化水準を支えている。 同書は、歴史・文化政策・EU法の近年の動きと関わりが深いいくつかの論点について書いた過去の業績をアップデートしつつ、1冊にまとめるものである。 論点の1つ1つは、「街頭撮影に関する著作権の制限」「図書館内コピーやスマートフォンによる写真撮影の著作権法上の位置付け」「DSM指令を受けたプレス隣接権の創設」など、個別具体的なものである。しかし、それらをいくつも積み重ねることで、フランス著作権法の基本的な発想を明らかになるように、同書全体を構成した。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)