特許法の諸相における「技術者の協働」とその成果に関する規律
Project/Area Number |
23K01210
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 05070:New fields of law-related
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西井 志織 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (80637520)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 特許権 / 知的財産 / 特許法 / 知的財産法 / 技術融合 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題の核心をなすのは、高度に発展した技術が複数融合することにより新しい発明がなされることが多くなった現代社会において、同分野・異分野の「技術者の協働」とその成果を、特許権の取得・維持等の諸相においていかに評価し規律すべきかという問いである。 発明者側(権利取得側)の協働と第三者・競業者側の協働の両方を考慮し、さらに協働する主体及び成果物たる客体(に係る権利)という両面からの把握を、実体法・手続法の両方をにらみ総合的に行うことにより、産業の発達という特許法の目的をより諸相整合的に推進する解釈論・制度論を展開することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、特許法における技術者の「協働」の一場面として、英国特許法における「当業者」とその技能・知識についての分析の成果をまとめた論文を公表した(清水節先生古稀記念論文集『多様化する知的財産権訴訟の未来へ』(2023年10月刊行)所収)のに加え、これにドイツ法における当業者を巡る議論も追加する形で、2024年2月、日本弁理士会東海会研修会で報告を行った。日本ではこれまで当業者の「チーム」性はあまり意識されてこなかったが、社会状況として、技術融合(AIを利活用した発明を含む)が一層進展し、また特許庁の審査(体制や運用)もそれをにらんで改良を重ねられつつある現在、技術者の協働を想定する当業者の「チーム」性や、その教育・専門技能レベル、技術常識等をいかに把握するかは、特許の成立性・有効性や侵害成否を判断するうえで重要な問題となり得る。 さらに、特許法以外の知的財産保護法制における主体の「協働」を巡る問題へと関心を広げた。我が国で地理的表示法について訴訟で争われた初めてのケースを取り上げ、複数の生産者団体が同一の地理的表示の登録を申請した事案で顕在化した諸問題(産品の「特性」と「生産地」の認定、生産者団体間の合意形成等)につき検討し、研究会で報告した(2023年12月)。技術を持つ複数団体が当該産品の社会的評価に寄与・貢献したという意味で、客観的に見て「協働」があると評され得る状況における地理的表示法上の課題について、論文の形での公表を予定している(2024年6月刊行の雑誌に掲載予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、特許法における当業者についての研究成果を論文として公表し、報告を行うことができた。また、もともと2023年度に具体的に計画していたことではないが、他の知的財産保護法制における主体の協働にも視野を広げて報告を行い、論文の形での公表へと進展することができたため、上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
技術者の協働を巡る日本法の課題を見据えながら、外国法の現状分析のための基礎的な研究を行う。2023年度は当初具体的に予定していたわけではなかった研究も行ったため、計画に多少の修正は必要であるが、引き続き関連論点にも目を配り、問題意識の深まりに応じて柔軟に対応する。授業期間中には移動の制約もあるが、対面の研究会では可能な限り現地に赴き、実務家や研究者と意見交換を行うことを、研究推進の方策とする。長期休暇を利用して成果をまとめる。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)