戦間期イギリス外交当局は戦争の違法化を如何に考えていたのかー国際関係史による検討
Project/Area Number |
23K01272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 春美 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00282492)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,940,000 (Direct Cost: ¥3,800,000、Indirect Cost: ¥1,140,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 不戦条約 / イギリス外交 / 非公式帝国 / 戦間期イギリス外交 / 紛争の平和的解決 / 武力行使の禁止 |
Outline of Research at the Start |
第一次世界大戦を契機として、戦争についての考え方に転換が起こった。それまで戦争は外交交渉で解決できない国際紛争の正当な処理手段と考えられていたが、大戦後には部分的に、さらに第二次世界大戦を経ると一般的に禁止されることとなった。21世紀に入ると、アメリカ合衆国を対象として「戦争の違法化(outlawry of war)」に関する研究が進展した。しかし、現実の外交においては、思想や国際法における大転換であっても反映が困難な場合もあるだろう。戦間期イギリスの外交当局は、戦争についての考え方の転換をどのように認識し、対応していたのだろうか。本研究は、イギリスの外交史料などを用いてこの問題を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年4月から8月にかけては、国際法分野の先行研究を熟読するとともに、British Documents on Foreign Affairs, Documents on British Foreign Policy など刊行されたイギリス外交史料集の該当部分に目を通し、情報を整理することに努めた。1927年から1928年にかけて、フランスによる仏米2国間条約の提案から不戦条約調印までのイギリスの議論についてはかなり理解できた。 9月11日から22日にかけてはイギリスに赴き、イギリス公文書館、ロンドン大学図書館、大英図書館、オクスフォード大学ウェストン図書館などで一次史料の収集を行った。短期間の滞在ではあったが、8月までにかなり準備をして臨むことができたので充実した史料収集であった。帰国後年度末までは、イギリスで収集した史料を整理し、関連研究を読んで理解を深めることに努めた。 不戦条約そのものに関しては、イギリスの保守党内閣、野党労働党の間で意見に相違のあったこと、非公式帝国が問題であったことなどが理解できた。今後はとくに後者に焦点を当てて考えるつもりであるが、前後のかなり長い期間を視野に入れて検討したほうが良いことにも気づいた。 また、不戦条約が締結されたのと同じ時期のイギリスでは、常設国際司法裁判所(PCIJ)の応訴義務を受諾するか否かも検討されていた。この問題に関し、Lorna Lloyd, Peace through Law を読んだところ交戦権(belligerent rights)という単語が頻出していた。これについても第一次世界大戦中の封鎖、中立国の貿易に関し英米間には意見の対立のあったことが理解できた。 関連する研究を含めると豊富な蓄積がある一方、様々な問題が必ずしも結びつけて理解されていないので、包括的な理解を目指したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のテーマには、『岩波講座世界歴史』20巻に、20世紀前半に関する「展望」を書かせていただいたことから興味を持った。後藤にとっては新しいテーマだったのだが、先行研究の蓄積が厚く、読み応えのあるものばかりであったので、非常に助けになった。また、2023年度Sセメスターはサバティカルをいただくことができ、イギリスに赴くまでに十分な準備ができた。さらに、国際法分野ではなく、イギリス外交という視点からの接近はそれほど多くないので、非公式帝国に注目することで成果を出していくことが可能と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
不戦条約の締結後、エチオピア戦争、第二次世界大戦期について検討していきたい。一次史料収集はもちろん重要であるが、むしろ広い範囲の先行研究に目を通すことで、通史的な理解をしていきたいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)