Project/Area Number |
23K01298
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 06020:International relations-related
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
阿曽沼 春菜 広島修道大学, 国際コミュニティ学部, 助教 (50511995)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 第2回ハーグ万国平和会議 / 多国間会議 / 日本 / 戦争国際法 / ハーグ万国平和会議 / 外交史 / 国際関係史 / 国際法史 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、1907年に開催された第二回ハーグ万国平和会議を近代日本の会議外交の始点として位置づけ、同会議における政治過程の分析を通じて日本外交において同会議が有する意義と、多国間会議における日本の課題を明らかにする。1907年ハーグ会議はそのグローバルな性質と、戦争規制の法典化という成果の両面で、第一次世界大戦以前の重要な国際会議であるにも関わらず、日本の準備過程や会議での外交行動についてはわかっていない点が多い。 本研究は、第二回ハーグ平和会議時の日本の政策決定者の国際秩序認識とそれに依拠した政策交渉を明らかにし、各国との交渉・連携過程及び結果を解明することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第二回ハーグ万国平和会議時の日本の政策決定者の国際秩序認識とそれに依拠した会議方針を明らかにし、各国との交渉・連携過程及び結果を解明することである。 初年度にあたる今年は、第二回ハーグ会議に関して検討課題として設定した(1)戦争規制の法典化、(2)非西洋諸国の主権と文明標準の問題のうち、(1)戦争規制の法典化を中心に、二次文献の収集と研究状況の把握、一次史料の調査を進めた。一次史料は、ハーグ会議に関する日本政府の公刊史料、オンラインで公開されている日本政府の未公刊史料、日本代表団関係者の私文書、会議代表を含めた日本人国際法学者が同時代に著した論文や評論、イギリス人会議全権の公刊日記、海外公文書館で収集した公文書を含む。会議開催中の日本の新聞報道についても調査を進めた。 現段階の成果としては、大国化に伴い、国際法遵守に関する日本政府の方針は日露戦争期をピークとして変化が生じていることが確認できた。第二回ハーグ会議に向けた政府内での会議方針作成段階では、新たな戦争法規の制定に対して慎重な態度が見受けられる。さらに、日露戦争時の日本の軍事行動に対する各国からの指摘を意識した条約案の策定が行われた。 会議期間中の日本代表団の行動に関しては、イギリス代表団との意思疎通を頻繁に行っていたことが明らかとなった。他の列強の代表団との連携や事務局における活動については今後調査を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次文献や公刊された外交史料の読解を行い、会議に向けた日本政府の方針と、会議期間中の各国の討議の主要な論点を把握することが出来た。 国内での史料調査は、国立国会図書館憲政資料室で都筑馨六文書、安達峰一郎文書などの調査を行い、さらに会議期間中の新聞報道記事を調査し世論の反応を把握した。日本側の史料ではあまりわからない会議期間中の外交行動については、イギリス全権の日記を利用して補完した。加えて、バンコクのタイ国立公文書館に所蔵されている会議関連の史料の予備調査を研究補助者の協力のもと行った。 また当時の日本の政策関係者の国際秩序認識を分析するために、会議代表団メンバーや国際法学者が著した国際法や日本外交に関する著書、論文、第二回ハーグ会議時の回想録などをリストアップし、収集した。これら史料の調査は、購入や図書館の文献貸借・複写サービスの利用を通じて行ったほか、近年の資料のデジタル化推進の恩恵を受けて、多くの文献をオンラインで閲覧できるようになり、順調に収集作業を進めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、条約案とりまとめに際しての日本と諸外国との外交交渉の展開を明らかにすることを目指すとともに、検討課題として挙げた(2)非西洋諸国と文明標準問題について、二次資料の収集と研究状況の把握に努める。 史料の収集に関しては、英米など主要各国の公刊史料の読解を国内で進めつつ、本年度に予定している海外の資料館での二度の調査を実施し、会議における日本の外交行動の事実を蓄積する。 収集した史料情報は分析をすすめ、研究成果として学会での報告を予定している。さらに学術論文としてまとめ公表することを目指す。
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