Project/Area Number |
23K01323
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07020:Economic doctrines and economic thought-related
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Research Institution | Shobi University |
Principal Investigator |
田中 啓太 尚美学園大学, 総合政策学部, 准教授(移行) (50648095)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | P. H. Wicksteed / L. Robbins / 経済学史 / 合理性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、P. H. ウィックスティード(P. H.Wicksteed, 1844-1927)の経済学体系を方法論的に整理し、経済学史におけるウィックスティードの意義を明らかにする。ウィックスティードの経済学には、個人の非合理的な行動や、主観主義と客観主義を並列させるような観点、土地国有化を支持する主張も見られるが、従来の研究ではあまり注目されておらず、こうしたウィックスティードの経済学の全体像について、1930年代のロビンズやLSEの自由主義としての経済学との関係性を検討する必要がある。このために一次草稿資料の調査を行いながら、ウィックスティードの経済学者像を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、C. H. Herfordによるウィックスティードの伝記 Philip Henry Wicksteed -his life and work-(1931)を参照しながら、P. H. Wicksteedの主著であるThe Common Sense of Political Economy (1910/1933)に展開された選択理論としての個人行動と社会とのつながりについて検討した。この中でウィックスティードは、純粋な個人行動とはある程度区別される段階として集団や共同体における価値評価尺度を論じており、彼の経済学は厳格な意味での方法論的個人主義ではないことが分かった。上記を踏まえ、これまでのように1930年代LSEのロビンズが展開した主観主義の経済学とウィックスティードの経済学とを連続的に捉える理解に対し、ロビンズとウィックスティードに方法的な隔たりがあることについて検討を進めた。この検討によると、ロビンズによるウィックスティードの継承は部分的なものに留まることが考えられる。 また上記に関連して、ウィックスティードの費用理論では、限界概念を基にする主観的な価値尺度と同時に、共同体や社会に共通する客観的な価値尺度が論じられていることが明らかになった。この費用理論の部分については本研究で得られた知見を踏まえてDiscussion Paper(共著)を執筆し、国際雑誌向けに引き続き修正を行っている。 また2024年2月にロンドン・LSE Archivesの所蔵されているウィックスティードの草稿調査を行い1910年代当時のウィックスティードの主著の社会的な評価について確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ウィックスティードの経済学方法論にみられる非合理性や利他性に着目しながら主流派経済学の合理的行動との相違を明確化しつつ、彼の社会主義の思想とを総合的に体系化することにある。今年度の研究によって個人と共同体では異なる価値評価体系が生じる点を明らかにすることができた。このことは選択行為に関わる個人的な自由とウィックスティードの土地国有化論に代表される社会主義思想とを接続する概念になりうると考えられる。また予定していた渡航調査も行うことができ、本研究計画は全体として概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿ってウィックスティードの関連文献の研究を進める。ここまでの研究成果の発表については2024年6月の学会報告を予定しており、その後に論文としてまとめる。 追加的な検討項目として、新たにオーストリア学派との比較を行いウィックスティードとロビンズやミーゼスとの相違点を明確化する。 年度末には引き続きLSEへの渡航調査を実施し、草稿資料の収集を計画している。
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