Project/Area Number |
23K01358
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07040:Economic policy-related
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
顧 濤 大東文化大学, 経済学部, 准教授 (80734756)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 戸籍制度 / 金融摩擦 / 経済成長 / 中国経済 / 経済格差 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、不完全な金融市場の下で中国社会独自制度の一つである戸籍制度(戸口・Hukou)と経済成長との関係について明らかにすることである。具体的に戸籍制度要因が資本蓄積、消費貯蓄行動、全要素生産性(TFP)及び産業構造などマクロ経済への影響について理論と実証両面より解明する。本研究の研究結果は、中国経済成長に対してより深い理解に寄与するだけでなく、今後の成長経路の予見や、効率的な成長パターンを導くための有益な政策提言なども期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、不完全な金融市場の下で中国独自の社会制度である戸籍制度(Hukou)と経済成長との関連性を理論的および実証的に分析することである。まず、異質性を考慮した確率動学一般均衡モデルを用いて理論分析を行い、次に各種統計年鑑からデータを収集し回帰分析を実施する。 本年度の研究では、モデルの数値計算を通じて、戸籍制度が資本蓄積、全要素生産性(TFP)、及び産業構造にどのように影響するかを検討した。不完全な金融市場では、私営企業が融資制限を受けながらも、低い労働コストで出稼ぎ労働者を雇用することにより存続と成長が可能となる。この低労働コストは企業新規参入のハードルを下げ、生産性の低い企業家も起業しやすくなる一方で、マクロレベルではTFPの低下を招く可能性がある。また、低労働コストを背景に、借入制約を抱える私営企業が労働集約的な産業構造を形成しやすくなる。この分析から、中国の戸籍制度が不完全な金融市場下での資本蓄積、TFP、および産業構造の形成にどのように影響を及ぼしているかをマクロ経済学の観点から明らかにすることができる。 実証分析では、中国の各種統計年鑑から地域レベルのデータを収集し、パネルデータを構築する。特に注目するのは、都市戸籍を持たない出稼ぎ労働者が地域の経済成長、固定資本投資、TFP、産業構造形成、消費および貯蓄の行動パターンにどのような影響を与えるかである。本年度は主にデータの収集、先行研究のレビュー、及び推定方法の検討に注力した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論モデルの数値計算には予想以上の時間がかかっている。特に、出稼ぎ労働者の初期保有資本量について、より現実に近い値に設定を見直し、再計算を進めている。戸籍制度の改革を考慮したシナリオでは、計算に特に時間が必要であり、複数のケースを想定しているため、計算の負担が大きくなっている。この遅れにより、家計の消費と貯蓄の経路分析において、都市戸籍の有無による違いの確認作業にも遅れが生じている。 実証分析においては、出稼ぎ労働者数やその賃金水準に関する適切な代理変数の収集に苦労している。この問題は、省レベルのパネルデータの構築に影響を与えており、結果として推定作業の進捗に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の理論モデル研究では、まず都市戸籍の有無を考慮した家計部門の消費と貯蓄行動に関する数値計算を終了させる。その後、論文の修正と改訂作業に着手し、年度内に学術誌への投稿を目指す。 実証研究については、引き続き出稼ぎ労働者数や出稼ぎ労働者賃金水準に関する代理変数の収集作業に取り組む。パネルデータベースを構築した後に戸籍制度と経済成長の関係についてマクロ経済学の観点から分析し、回帰分析に着手する。暫定的推定結果を取りまとめた上で、研究会などでの研究報告を行い、受けたコメントやフィードバックを踏まえて、研究作業を改善していく。
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