A Study of Non-Financial Evaluation Schemes for ESG Investment Trusts in Japan, the United Kingdom, and the United States
Project/Area Number |
23K01614
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 07080:Business administration-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
長谷川 直哉 法政大学, 人間環境学部, 教授 (50432159)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ESG投資 / 非財務情報の評価方法 / 運用担当者のスキルと教育 / ESG投信のパフォーマンス / 投資家への情報開示 / 非財務情報の評価 / 統合報告書 / 運用人材のスキル / 運用機関のガバナンス |
Outline of Research at the Start |
ESGマネー(投資・融資・保険)の影響力が急速に高まっている。その背景には、気候変動対策をはじめとする持続可能な社会の構築に向けた企業戦略のシフトがある。本研究では日本・英国・米国のESG投資信託の比較を通じて、①企業価値に影響を与えるESG要素の特定、②ESG評価スキーム、③ESG評価を担う専門人材の育成と運用体制、④運用方針・投資スキームの情報開示、⑤運用会社のコーポレートガバナンスの実態を明らかにする。具体的には日本・英国・米国を対象地域とし、投資会社、ESG評価機関、企業に関する文献調査とヒアリングを併用し、ESG要素の評価スキームとそれを担う人材と組織について分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は日本・英国・米国のESG投資信託(以下、ESG投信)の比較を通じて、①企業価値に影響を与えるESG要素の特定、②ESG評価スキーム、③ESG評価を担う専門人材の育成と運用体制、④運用方針・投資スキームの情報開示、⑤運用会社のコーポレートガバナンスの実態を明らかにすることである。 研究の初年度である2023年度は日本国内の運用機関が提供しているESG投信を対象とし、次の項目について調査・分析を行った。 ①ESG投信では企業価値に影響を与えるESG要素をどのように特定しているのか。②ESG投信におけるESG要素の評価スキームはどのようになっているのか。③ESG評価に必要な専門人材の育成と運用体制はどのようになっているのか。④顧客に対して運用方針や投資スキームに関する情報開示をどのように行っているか。⑤ESG投信と一般的な投資信託の運用担当者の情報共有あるいはファイアウォールはどのように設定されているのか。⑥運用会社の独立性および中立性はどのように担保されているのか。⑦ESG投信のパフォーマンス比較 調査方法は運用会社が発行しているESG投信の投資目論見書、運用報告等の基礎文献の調査とESG投信の運用担当者に対するヒアリング調査を中心に行った。2023年10月末時点で国内の資産運用会社37社から225本のESG投信が提供されており、ESG投信の投資目論見書等の基礎文献から、投資哲学、投資方針、運用スキーム、運用パフォーマンス等のデータベースを作成し、ESG投信の運用担当者に対して、ESG(非財務情報)の分析に特化したスキルの保有状況や教育体制についてヒアリング調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ESG投信の新規設定本数が過去4年間で急速に増加している。2022年4月に公表された金融庁の資料によると、ESG投信の新規設定本数は2017年時点では6本だった一方、2020年に41本、そして2022年には96本にまで上昇しました。2023年10月末時点では、運用会社37社から225本のESG投信が提供されている。 このように調査対象となるESG投信の本数が急激に増加したため、文献調査によって、①ESG投資評価スキーム、③ESG評価を担う専門人材の属性・スキル、③投資パフォーマンス等の調査に要する時間が事前の予想よりも大きく増えた。また、運用会社のヒアリング調査も対象企業が37社あり、1社について複数回のヒアリングを行う必要があるため、1年間で国内運用会社37社の調査を完了することが出来なかった。こうした状況によって進捗状況がやや遅れていると認識している。ESGの専門人材の調査を行ううえで基礎的な文献調査とヒアリング調査は欠かせないため、着実に調査を進めたいと考えている。 一方、ESG投信を扱う運用会社37社のうち、社内にESG専門の部署またはチームを設置している会社は全37社中26社であった。ESGの専門人材の有無については37社中14社がESG関連の業務を専門で行う人材は社内で0人であると回答している。ヒアリング調査の対象が当初の想定よりも少なくなる見込みであることから、2024年度はESG投信を運用する専門部署の実態や運用担当者のスキル等にフォーカスした調査が予定通り実施できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は英国における主要なESG投信の開示内容(ESG要素の特定、ESG評価手法、専門人材、組織体制)を調査・分析する。2023年度に実施した国内ESG投信の分析結果を活用して、日英のESG投信の実態について比較分析を行う。比較検討の具体的な手順は次のように予定している。①ESG(非財務情報)の評価、②ポートフォリオの構築方法、③運用プロセスの透明性、④運用プロセスの情報開示、⑤ステークホルダーへの影響。 英国のESG投信は持続可能な投資への関心の高まりにより成長しており、投資家は環境、社会、ガバナンスの考慮を通じて長期的な価値の創出やリスク管理を重視している。 こうした背景から、英国の金融規制当局や政府は、ESG投資の促進を支援するための法規制やガイダンスを強化している。英国のESG投信は厳格なESG基準を採用し、責任ある投資を強調しており、単なる財務リターンだけでなく、社会的および環境的な影響にも焦点を当てている。日本においてもESG投信の本数は拡大しているが、ESG投信の促進を支援するための法規制やガイダンスは英国に比べて遅れている。日英のESG投信の運用環境の比較を通じて、政策動向や運用担当者の人材育成について比較検討を行っていきたい。 一方、米国では一部の組織や個人がESG投資やESG指標に対して批判的な立場を取る「反ESG運動」が存在している。 反ESG運動の一部は、ESG指標や要因を取り入れることが市場の効率性に悪影響を及ぼす可能性があると主張しており、ESG要因が投資判断に過度に影響を与え、市場の価格設定メカニズムを歪めるおそれがあると主張している。こうした反ESG運動が英国の投資家や運用会社に及ぼす影響についても調査したい。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)