Project/Area Number |
23K01804
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 08010:Sociology-related
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Research Institution | Kyoto Seika University |
Principal Investigator |
鈴木 赳生 京都精華大学, 国際文化学部, 講師 (50974185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 昇平 東洋大学, 国際学部, 助教 (60913275)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 日常エスニシティ / 認知 / 感覚 / 社会運動 / 日常多文化研究 / 日常エスニシティ研究 / コロニアリティ / 日常レイシズム |
Outline of Research at the Start |
本研究は、「日常」の視点から民族研究を再構築し、現代の民族的対立状況に応じる新しいアプローチを提示する。ヘイト・スピーチや排外主義のような対立が人種・民族にもとづく排除として社会問題化されるとき、それが連綿とつづく日常生活の中で生じる問題だということはしばしば忘れられてしまう。だが対立が顕在化する局面だけでなく、それが人々のどのような生活経験や日常的感覚から生じているのかを解明しなければ、現代の民族的対立状況を根底から理解し解きほぐすことはできない。本研究は、「民族」の日常経験に光を当ててきた研究蓄積の統合と事例研究によって、日常民族研究のアプローチを確立し現代的課題の解決へ寄与する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「日常的感覚」の視点から民族研究を再構築し、現代の民族的対立状況に応じる新しいアプローチを提示することを目的としている。つまりは、「民族」をマクロな政治社会的状況に応じた現象とみるだけでなく、それが人々の日常生活においてどのように感じとられ、意識されることで具体化していくのかを捉える。「民族」をつくられた虚構とみる視点は人類学・社会学で発展してきたが、ではその虚構がどのようにリアルな実体感をもって人々を突き動かす力をもつのか、となると、そのメカニズムを解明する分析枠組や理論的な道具立ては限られたままである。本研究は「民族」がどのような場面で、どのように感じられるのかを具体的に描きださない限りこの問いには応えられないという発想から、「日常的感覚」を軸として民族論を総合・刷新しようという試みである。 具体的にはこの目的のため、一方でカナダの先住民運動とインドネシアの伝統武術の事例研究、他方で「日常」をキー・ワードとした多文化/エスニシティ/ナショナリズム論の蓄積を整理し理論的に検討・評価する。 初年度である2023年度は、社会学者ロジャース・ブルーベイカーを中心とする日常エスニシティ論の意義と限界を共同検討し、その中途成果を関西社会学会で報告した。この報告をもとに、成果論文の作成を始めている。調査面では、カナダ、インドネシア両地域をそれぞれ再訪調査することができた。カナダに関しては、この新しい調査結果を組みこんだ学会報告とワーキング・ペイパー発表をおこなった。インドネシアに関しては、「日常的感覚」の視点を組みこんだ民族論の導入を、初学者向けの学術書の1章として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度からカナダ、インドネシア両地域での再訪調査をおこなえた点で、調査面の滑りだしとしては順調と言える。両地域に関するそれぞれの研究成果についても公開することができており、この点でも進展があった。共同研究の核である日常論の理論的検討については、レビューは十分に進められ、成果報告もおこなっている。だが論文完成には至っていない点で、この面での進捗はいま一歩遅れていると言える。同作業を進めることが喫緊の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は引きつづき現地調査を進めるとともに、上記日常エスニシティ論の論文を完成させて投稿すること、新たに日常ナショナリズム論のレビュー作業に着手することを目標とする。
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