Project/Area Number |
23K02248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Teikyo Junior College |
Principal Investigator |
永井 理恵子 帝京短期大学, 帝京短期大学, 教授 (80345967)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ESD,SDGs / 園庭・園舎 / 設計プロセス・コンセプト / 教育関係者 / 建築デザイナー、園庭プランナー / 自然観察法 |
Outline of Research at the Start |
戦後日本(昭和四十年代から今日まで)における幼児教育実践のための物的環境である園庭・園舎の形態の変遷を、ESD(Education for Sustainable Development)の観点から分析することをとおして、持続可能な社会を創造するために環境教育に寄与する園庭・園舎デザインの諸相について明らかにする。 本研究では園庭・園舎を総合し、自然と子どもとの出会いの場としてとらえ、自然の諸要素を子どもが生活や遊びのなかで日常的に感じることができる園舎・園庭の様相について考察する。考察の手法は撮影記録、行動観察法、写真投影法による取材に加え、教育関係者・設計関係者への聞き取りを実施する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は3年研究計画の1年目で、各研究対象園に対して研究の目的、概要、調査の実施内容と方法について説明し研究協力許可を得るところから開始した。研究計画・申請の段階では10園を予定していたが、依頼の結果1園からは承諾を得ることができず、現段階では9園を対象に調査を実施することとなっている。うち2園の承諾に時間が掛かり、最終的な許可を得たのが23年11月および24年3月と大きく遅れたため、当該2園については24年度の5月と7月が初回調査となっている。 この2園を除く7園については、おおむね23年4月から6月に訪問し園長面談をおこなって研究協力許可を得、第一回実地調査には9月から11月に着手した。第一回調査においては凡そ幼児の登園時間から降園時間まで滞在し、園舎・園庭における自然環境と幼児との関わりの様子を自然観察法にて写真撮影をおこなった。 この写真データを分析し、考察の視点を定めて、24年2月から3月に第一回ききとり調査をおこなった。ききとり調査においては園長もしくは主任教諭などの責任者と面会し、写真を見ながら現場関係者の視点を聞き取った。この際には、園に保存されている史資料を拝見して情報を得たりもした。この時期は、ききとり調査と並行して、園舎・園庭設計者の理念や設計当時の建築界の傾向を知るべく文献を蒐集し購読を進めて、対象事例園舎・園庭に対する基礎的理解を深めた。 研究を遂行する過程において、各園舎・園庭の様相、園長の設計意図などが大変に個性的であることが明らかとなってきた。研究に着手した段階では、一つの分析スケールを作成し、それを用いて全対象事例を一律に分析していくことを計画していたが、それが難しいことがわかってきた。そのため、複数の研究者に助言を求めたうえで、一つの分析スケールを用いて考究する方法を止め、各事例の実態に応じたナラティヴ型研究に切り替えて進めることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この調査研究は研究対象園の許可と協力が必須だが、申請の段階で既に研究協力の内諾を取れていた園は概ね半数であり、残り半数のなかにはゼロベースからのスタートの園もあった。そのため、23年度が開始した直後に連絡し研究説明に出向いたものの最終的に凡その園から許可を得て調査に着手できたのは9月以降となった。9月以降の実地調査、24年2月から3月のききとり調査は各園の協力を得てスムーズに進行し、文献蒐集も期待どおりの史資料が得られて、順調な滑り出しを得ることができた。 調査研究の許可を待つのに大幅な時間が掛かった2園があるが、幸いにも許可を得ることができ、協力を得られることとなった。スタートは遅れたものの、回復できるものと見込んでいる。 本調査研究は先方の予定との調整も必要であり、必ずしも希望どおりのペースで進行するものでもないため、早めの計画と着実な遂行が不可欠である。しかし現在のところ、承諾を得た対象園はいずれも大変に協力的で研究に前向きであり、着々と進めることにより一定の成果を達成するところまでは到達できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行ペースは概ね当初の予定どおりに進行しているが、研究をおこなう過程において課題となり、方策の転換が必要となった点がある。 第一には、上記「研究実績の概要」にも記載したが、当初の計画では、第一回実地調査およびききとり調査の結果によって分析スケールを作成し、それに則って一律の基準で対象事例を分析することを計画していた。しかし、これは困難であるとわかった。各園で取材した写真の分析、および園長等へのききとり調査を進めるなかで、いずれも極めて個性的であり、一律基準で分析することが極めて難しいことが確認された。よって研究方法を転換し、分析スケールで全事例を同一基準で分析するのではなく、各事例ごとに文章で精緻に分析していく方法に切り替えることとする。これに伴い、当初は図面を作成して機械的に分析することを計画していたが、これを取りやめ、ナラティヴ・アプローチによって、各園の文脈に沿ったかたちで分析する方法に転換する。 第二には、当初は全事例を同一回数で調査して研究のバランスを図りたいと考えていたが、実地調査を進めることをとおして、必ずしもその方法は効果的ではないことが理解されてきた。現段階では明言はできないが、その理由として、設計者や施主のプランにより実現した形態が異なるため、分析に多くの時間を必要とするものと、そうでないものとがあることが考えられる。この事実を含めて、各事例において効果的で必然的な回数を調査に当てることとする。1年間の調査を終えた現段階で、既に各事例によって調査回数に違いが生まれているが、研究上の必然として発生している違いである。単に調査回数を揃えるのではなく、研究上の必要に応じて実地調査回数を調整していく方針である。
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