伝統美術・工芸における<美意識><人との親和性>を視点としたESDカリキュラム
Project/Area Number |
23K02411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
竹内 晋平 奈良教育大学, 美術教育講座, 教授 (10552804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 祐 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10290537)
隅 敦 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (30515929)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 伝統美術・工芸 / 日本の美意識 / 人との親和性 / 持続可能な開発のための教育 / 図画工作科 / 美術科 / 図画工作・美術科 / ESD |
Outline of Research at the Start |
本研究においては、伝統美術・工芸における特質を図画工作・美術科学習に導入する方法や、カリキュラムを開発するための、小中学校における授業を対象とした研究を進める。そのために下記のステップで研究を進める。 ① 国内外の伝統美術・工芸に関する基本調査を行い、それらに含まれる特質についての言語化を行うとともに、<日本の美意識>および<人との親和性>を図画工作・美術科学習で扱うための基本的な枠組みを構築する。 ② 伝統美術・工芸の特質を導入した授業実践を対象として、カリキュラムに組み込むことを目指した予備調査および本調査を行う。 ③ 上記①②によって得られた知見を総括し、教員研修のためのコンテンツ開発を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、長年にわたって継承されてきた伝統文化の特質を<日本の美意識>及び<人との親和性>という視点から捉え、これらを持続可能な開発のための教育(Education for Sustainable Development、以下「ESD」と記述)に導入することは効果が高いとする立場をとる。具体的には、伝統美術・工芸における<日本の美意識>及び<人との親和性>等の特質を活用した教育活動が、ESDの考え方に通底するという基礎的枠組みに基づき、下記の3点を明らかにすることを研究目的としている。 ① 日本全国に受け継がれている伝統美術や伝統工芸とその制作・使用等のプロセスには、それぞれ<日本の美意識>及び<人との親和性>に関連してどのような特質等が内包されているのか。 ② 上記①で明らかにした特質等を図画工作・美術科学習に導入するための題材例には、どのようなものがあるのか。 ③ 伝統美術・工芸の特質等を導入した効果的なESDカリキュラムとはどのようなもので、その効果的な運用方法とはどのようなものか。 現在まで(令和5年度末まで)の研究実績としては上記①に関連するものが中心であり、具体的には教科書に掲載された日本美術作品を対象とした調査を行うことができた。「7.」において後述する研究成果によって、<日本の美意識>を図画工作・美術科学習で扱うための基本的な枠組みの構築が可能になったと考えている。本研究を推進することによって、日本固有の美術・工芸文化の活用に基づいて「人間らしさ」を育むことを重視した学校教育を実現することを企図している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
伝統美術・工芸における特質等を効果的に図画工作・美術科学習に導入するための方法を解明するとともに、それに対応したカリキュラムおよび運用方法を開発することが本研究の目的であるが、令和5年度においては特に「日本に受け継がれている伝統美術に内包される<日本の美意識>に関連する特質の解明」というタスクに取り組むことができた。具体的に明らかにすることができたのは下記の3点である。 ・美意識の多義性を踏まえ日本文化に見られる美のカテゴリーを示す概念としての美意識のニュアンスが定着したのは昭和 30~40 年代であることを推定した上で、これらの概念を美的範疇に関するものと造形要素に関するものに整理して提示した。 ・昭和40年代から平成20年代にかけて使用された図画工作科教科書の調査を行い、掲載された日本美術作品の状況を明らかにした。 ・掲載された作品と日本美の概念との結びつきに関する指摘にはどのようなものがあるのかについて明らかにした。 (上記3点の研究成果は、日本基礎造形学会が刊行する論文集『基礎造形』第32号において研究代表者が発表した雑誌論文(査読付)より引用)。 一方で、上記のタスクにエフォートの多くを充てたことから、令和5年度中に着手できなかった研究活動として「全国に現存する伝統工芸に関する基本調査による特質等についての言語化、および<人との親和性>を図画工作・美術科学習で扱うための基本的な枠組みの構築」があげられる。このため、現在まで(令和5年度末まで)の本研究の進捗状況は「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後(令和6年度)は、前年度に着手予定であった伝統工芸に関する基本調査を実施する計画である。 上記基本調査の方針としては、「伝統工芸と人との親和性」に着目する。近年の人工知能やICT 機器等の急速なデジタル技術の発展に伴い、実生活において五感や感性を駆使したフィジカルな活動が減少していることから、人が直接的に体験したり活動したりすることの意味にも変化が生じていると考えられる。そこで本研究では伝統工芸と人との親和性に着目し、図画工作・美術科学習において活用することで「人間らしさ」を育み、五感や感性を働かせる意義を解明したいと考えた。 このため、具体的には工芸作家・工芸研究者・工芸品販売者等に対する聞き取り調査を行い、伝統工芸と人との親和性に関する言語化を試みる。収集した音声データは、質的データ分析ソフトを使用して定性的コーディングを実施する予定である。このような手続きによって得られた伝統工芸と人との親和性に関する基本的な枠組みを図画工作・美術科の題材開発のベースとして活用する。現在、想定している質的分析のためのコードは、以下のとおりである。 「手仕事がもたらす安らぎ・温かみ・優しさ」、「自然素材を使用することによる安らぎ・温かみ・優しさ」、「使い込むこと(経年)による風合いの変化と趣深さ」、「日常生活にうるおいをもたらす形・色・質感の美しさ」、「衣食住を通した審美における五感の活用」(ほか検討中)
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)