Project/Area Number |
23K02692
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09070:Educational technology-related
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
齋藤 知子 帝京平成大学, 人文社会学部, 准教授 (10460289)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 児童虐待 / 裁判記録 / 育成プログラム / オンライン研修 |
Outline of Research at the Start |
本研究は児童虐待に関わる児童相談所、児童家庭支援センター、市町村担当者等の専門職に対して、早期に発見し適切な対応ができる人材を育成するための研修プログラムの開発を行う。研修で用いる資料は児童虐待死亡事例の裁判記録を用いる。そのことで加害親が虐待事件に至るまでの過程をよりリアルに分析することができる。また児童相談所や市町村の子ども家庭総合支援拠点等の多忙な専門職が、業務と両立しながら研修を受講できるように、オンライン授業やeラーニングなどを用いて、アセスメントのポイント、介入の方法や時期、関係機関との連携方法など、実践的に受講することができるような研修のプログラム開発を行うものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、児童虐待に関わる児童相談所、児童家庭支援センター、市町村担当者などの専門職が、子どもの虐待を早期に発見し、適切な対応をすることができる人材となるように、育成するための研修プログラムの開発を目的としている。また、研修プログラムで使用する教材は、当該事例についての裁判記録を事例研究に適用できるようにするためのフォーマットや表現方法を開拓し、従来の検証報告と比較し独自の分析を示す。 2023年度の計画は、1)児童虐待死事件のうち、各機関から検証報告が出されている事例を収集し、2)当事例について、各検察庁に閲覧申請を実施し、許可後に裁判記録閲覧を実施する計画では、新たに3事例を実施した。特にそのうちの1事例は社会的に大きな話題となった事例であり、複写が許可されず閲覧のみであったため、検察庁に10数回の出向となった。3)国内で実施されている専門職養成研修の内容について、実情を把握する。第一線の専門的援助者を養成し、高度専門情報を集約・発信する拠点として設立された「子どもの虹情報研修センター」で実施されている専門職研修の内容と効果測定状況の調査の実施の計画については、実情を把握するに至っていない。今年度は数都道府県の児童福祉司の任用前研修について、講師として研究成果を用いて講義する機会があった。4)海外調査では、①2016年度ハワイ、2019年度ネバタ州でのインタビュー調査の整理と新規調査、②イギリス、ドイツでの児童虐待対応の方法とその人材育成についての調査、の予定であったが、いずれも計画通りにいかなかった。しかしながら、新たにイタリアにおいて警察の福祉分野担当部署と子どもの権利擁護センターのソーシャルワーカーにインタビュー調査を実施することができた。 また、研究成果を日本社会福祉学会で研究発表することができ、いくつかの質問も受け、さらに内容を深める機会となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗状況はおおむね順調に進展している。コロナ禍で調査や事例研究会の開催などの中断が心配されたが、今年度については、当初に予定していた 1)児童虐待死事件のうち、各機関から検証報告が出されている事例を収集する計画については、児童虐待による死亡事例のうち、行政機関からの検証報告からすでに保護者の刑事事件の裁判が確定しているものを探し、収集整理を行った。 2)当事例について、各検察庁に閲覧申請を実施し、許可後に裁判記録閲覧を実施する計画では、3事例3都道府県について行政が報告している児童虐待死亡事例検証報告に基づいて、3地方検察庁に対して確定裁判記録閲覧申請を行い許可されたものについて閲覧または複写を行った。新たに3事例を実施し、特にそのうちの1事例は社会的に大きな話題となった事例であり、複写が許可されず閲覧のみであったため、検察庁に10数回の出向となった。 3)国内で実施されている専門職養成研修の内容について、実情を把握する計画については、千葉県より要請があり、児童相談所の児童福祉司任用前研修の講師となり専門職養成の実際のテキストなどを確認することができた。また、収集した裁判記録をもとに学会で企画分科会や自主シンポジウムを企画し、事例研究会を開催した。 4)その他、イタリア・フイレンツエ市で開催された欧州犯罪学会に参加し、国際的に家族間の暴力による犯罪の状況について新たな示唆を得るとともに、イタリアの児童虐待への対応について警察組織と子どもの権利擁護センターへのインタビュー調査を実施することができ、日本の対応とは大きく違い、疑わしい場合は保護が基本となっているため、死亡事例が数件のみだということが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、2024年度計画では、以下1)から4)の計画を立てている。1)児童虐待死事件のうち、各機関から検証報告が出されている事例で、すでに裁判が結審しているものについて、所轄検察庁に閲覧申請手続きを行って裁判記録等を収集し、記録の分析と考察を実施する。この点については、今までのものを整理分析したのちに、新たな事例について収集する。 2)収集した行政による検証報告書と裁判記録等やヒアリング等から得たデータを合わせて分析した結果を、筆者独自のフォーマットや表現方法で作図し、事例研究資料を作成する。 3)2)で作成した資料を使用して、児童虐待対応専門職等による事例研究会を定期的に実施する。事例研究会については、インシデントプロセス方式に基づき、適切な支援策の検討を行ない、児童虐待死に行った経緯について分析を行い、事例研究資料の精査をする。 4)事例研究会をタブレットを用いたオンラインで参加した専門職について、質の向上の効果の有無を「カークパトリックの 4 段階評価モデル」を用いて、測定を実施する。 5)新たな計画として、今年度のイタリアに引き続き、海外の児童虐待への対応について、1か国の調査を実施していく予定である。実施国については学会開催地などで検討する予定である。
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