Project/Area Number |
23K02761
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09080:Science education-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
杉山 雅俊 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (60806561)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 理科教育 / 教師教育 / 専門職資本 / アイデンティティ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、中学校教師及び教師集団を対象とした4年間の継続的調査によって、理科教師及び教師集団の専門職資本の発達のプロセスを実証的に明らかにする。具体的には、理科教師の力量形成(人的資本の発達)の実相について、同僚性やコミュニティなどの社会や文化の慣習(社会関係資本)と関連付けて明らかにする。また、学校内部の組織、すなわち理科を担当する教師集団や学校としての教師集団だけでなく、学校外部の関係者、主として理科教育を専門とする大学教員の存在にも注目し、その連携構造の分析を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,理科教師及び教師集団の専門職資本の発達のプロセスを実証的に明らかにすることである。専門職資本とは,教師個人の専門的知識やスキルを含む「人的資本」,教師の同僚性や協働の文化などを含む「社会関係資本」,教師が複雑な状況下で意思決定を行う判断を含む「意思決定資本」の3つで構成される。この目的を達成するために,(1)理科教師の人的資本の発達のプロセスの解明,(2)教師集団の社会関係資本と意思決定資本の発達のプロセスの解明,(3)学校内部の組織と学校外部の関係者との連携構造の分析,の3つの検討課題を追究する。 1年次は,研究実施計画に即して,主に国外の研究動向をレビューし,本研究の調査内容・方法・結果を多面的に検討していくための論点や視点を整理した。この整理は,国内の理科教師教育において同僚性やコミュニティの観点から教師の力量形成を扱った研究は十分行われているとは言い難く,この領域の研究の端緒を開くための重要なプロセスであった。検討の結果,教師の専門職資本を豊かにする上で,アイデンティティが鍵概念になることが見出された。また,教師のアイデンティティを捉える近年的な理論的枠組みとして,社会的アイデンティティ・アプローチ(SIA)が注目されていることを捉えた。アイデンティティについては,PISA2025の科学の評価枠組みに科学アイデンティティとして新たに導入されることが決まっている。PISA調査は15歳児を対象としたものであるが,今後,教師がどのようなアイデンティティを持っているのかが問われるようになることは予測に難くない。しかし,国内では理科教師のアイデンティティについて扱った研究は皆無とも言える状況にある。以上の検討から,人的資本の具体としてアイデンティティを見据え,それがどのように形成されるのかについて,SIAの観点から検討していくことを研究課題として導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従って研究を実施できたため,上記のように判断した。本研究は,教師の「語り」を分析するものであり,「ラポール(信頼関係)」を形成することが重要となる。この点について,対象とする教師たちとは,共同研究だけでなく日々の授業改善についての相談も受けており,十分なラポールの形成,すなわち研究基盤の確立がなされたものと考えている。また,人的資本の具体的な視点として,アイデンティティの醸成を捉えることができたことも上記のように判断した理由となる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は,インタビュー調査に着手し,個人のアイデンティティとコミュニティとしてのアイデンティティの関係について分析を行う。インタビューは2回予定しており,1回目(前期)は対象者の令和5年度の教育活動等を振り返り,対象者自身の考え方に影響を与えた出来事や人物などの聞き取りを行う。2回目(後期)は対象者の令和6年度の教育活動等を振り返り,1回目と同様の内容について聞き取りを行う。得られたデータについて,対象者の持つアイデンティティを検討するとともに,それがコミュニティによる影響を受けているのか,受けているのであればどのような様相であるのかについて分析・考察する。
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