Project/Area Number |
23K02845
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
|
Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
品田 瑞穂 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (70578757)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
|
Keywords | メタステレオタイプ / 集団間関係 / ステレオタイプ / 相互協調的自己観 / 集団間態度 / 文化的自己観 / 共感 / 視点取得 |
Outline of Research at the Start |
本研究は集団間の感情・認知において、文化的に共有された自己観と視点取得が果たす役割について検討する。視点取得とは他者の心的状態(感情や思考)を理解する共感の認知的側面であり、視点取得を行うことでステレオタイプや偏見が低減することが期待されてきた。ただし、敵対的な集団間関係において視点取得が行われると、集団間の偏見や敵対的感情が増幅する可能性が指摘されている。本研究は、集団間のネガティブなメタステレオタイプの活性化に影響する要因として、文化的に共有された人間観である相互協調的自己観に着目し、集団間の対立や偏見を生み出すプロセスについて検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
R5年度は,メタステレオタイプ(自身の所属する集団が,他の集団からどのようなステレオタイプを持たれているかに関する信念)に関する文献調査を行い,成人を対象とした予備調査を実施した。本研究では,メタステレオタイプを活性化する要因として相互協調的自己観に着目し、メタステレオタイプの活性化が視点取得を通して集団間の偏見や敵対的感情を助長するプロセスを明らかにしようとしている。そのため初年度には,まず相互協調的自己観およびメタステレオタイプに関する文献調査を行った。文献調査に基づき,相互協調的自己観を拡張した集団間に拡張した集団相互依存観を測定する尺度を作成し,尺度の信頼性・妥当性の検討を行った。予備調査では,本研究の理論モデルの主要な変数である相互協調的自己観,メタステレオタイプ,集団間態度(外集団に対する態度)の関連に関する基礎的な知見を得るため,これらの変数を含めて調査票を作成した。予備調査の結果,まず,作成した集団相互依存観尺度全体には一定の信頼性・妥当性が確認された。ただし,想定していた協調性の2つの領域(評価懸念と調和の重視)が抽出されず,尺度の検討に課題が残る結果となった。一方で,予測と一貫して,1)相互協調的自己観はネガティブなメタステレオタイプと関連していること,2)集団相互依存観はネガティブなメタステレオタイプと関連している一方で,外集団への好意的態度にも関連することも示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の調査により,相互協調的自己観,集団相互依存観,メタステレオタイプ,集団間態度の間の基礎的な関係についての知見が得られた。ただし,上述のように集団相互依存観尺度の因子構造には課題が残っており,尺度の再検討が必要である。予備調査において得られた知見のうち,相互協調的自己観とメタステレオタイプの関連に関しては,相互協調的自己観がネガティブなメタステレオタイプを活性化させるという本研究の理論モデルと一貫する。また,ネガティブなメタステレオタイプとポジティブなメタステレオタイプは,外集団への好意的態度に影響力を持っていたことから,相互協調的自己観-メタステレオタイプ―集団間態度という経路が示唆される。また,集団相互依存観,つまり集団間の関係を良好に保とうとする信念が強い場合,ネガティブなメタステレオタイプを持たれていると感じていると,その悪印象を覆そうと外集団に好意的になると解釈できる。この結果はメタステレオタイプと集団間態度に関する先行研究とも一貫している。ただし,先行研究と異なり,予備調査では「集団間相互依存観がメタステレオタイプと外集団への態度関係を調整する」という関係(集団間相互依存観が強いと,メタステレオタイプと外集団への態度の結びつきが強くなる)はみられなかった。この違いは,予備調査ではメタステレオタイプを個人特性として測定したのに対し,先行研究では実験的に操作していること,外集団態度として抽象的な外集団成員に対する好意を尋ねたことなどが考えられる。次年度の本調査においてはこれらの点をふまえ,先行研究との関係が明確になるよう測定項目を設定する。
|
Strategy for Future Research Activity |
R6年度は,プライミング課題によって自己観を操作し,メタステレオタイプと集団間態度に及ぼす影響を検討する実験室実験を実施する。R5年度の予備調査の結果から,相互協調的自己観の強さは,ポジティブなステレオタイプよりもネガティブなステレオタイプと強く関連することが示された。さらに相互協調的自己観の2領域のうち,評価懸念領域と,他者との親和・順応領域では,評価懸念領域の方がネガティブなメタステレオタイプと強く関連することも確認された。ただし,集団間態度と関連していたのは集団相互依存観のみであり,相互協調的自己観は直接の関連を持たなかった。このことから,相互協調的自己観の操作は,メタステレオタイプを活性化させるものの,集団間態度には影響しない可能性も考えられる。このため,集団相互依存観の操作を含めた実験デザインを検討する。
|