Project/Area Number |
23K03105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
國川 慶太 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 講師 (10813165)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 平均曲率流 / リッチフロー / 熱方程式 / 優リッチフロー / Liouville的性質 |
Outline of Research at the Start |
リーマン多様体が時間発展している場合,その上で熱方程式の解がどのように振る舞うかはまだあまり知られていない.本研究では非負リッチ曲率リーマン多様体の自然な時間依存的拡張として優リッチフローを考え,それに沿った熱方程式に関して幾何解析を展開する.例えば,熱方程式の解空間の大きさを,曲率や解の増大度と結び付けて明らかにすることが本研究課題の目標のひとつである.この問題は,Colding-Minicozziらによって解決された「調和関数の空間に関するYau予想(=Liouville的性質)」の時間依存版とみなすことができる.
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は時間発展するリーマン多様体に関連した研究として、平均曲率流の特異点モデルであるself-shrinkerの安定性に関する研究を行った。Self-shrinkerの変分問題的な意味での安定性(もしくは不安定性)を調べることは、それらの特異点モデルとしての現れやすさを調べることに他ならず、平均曲率流の分野においては重要なテーマである。余次元が1の場合にはColding-Minicozzi(2012)らの研究をはじめ、すでに多くのことが分かっているが、余次元の高い場合には未解明のことも多い。令和5年度の研究成果としては、余次元の高いself-shrinkerの不安定さ(モース指数)を、多様体の位相不変量である第1ベッチ数を用いて評価したことが挙げられる。同様の先行研究は、余次元が1の場合にはImpera-Rimoldi-Savo(2019)らにより行われていたが、本研究では彼らの結果を余次元が高い場合へと拡張することに成功した。この研究成果は現在、投稿用論文として原稿執筆中である。
また、本年度は、super Ricci flowの研究も行い、almost splittingおよびquantitative stratificationに関する結果を得た。この結果は、BamlerがRicci flowで行った研究のsuper Ricci flowへの拡張であり、super Ricci flowの特異点や極限の構造を理解する際に役立つものと期待している。こちらはすでに論文執筆は終え、学術誌に投稿済みである。
以上の研究成果はすべて、埼玉大学の櫻井陽平氏との共同研究で得られたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、Ricci flowに沿った熱方程式の解に関するLiouville性を調べる予定であった。この研究自体は、従来の手法がうまく適用できないことが判明し、現在は壁にぶつかっている。しかし、その研究過程で平均曲率流やsuper Ricci flowに関する知見が多く得られ、その結果として、研究実績で述べたような成果を上げることができた。また、Ricci flowではなく、Cartan-Hadamard多様体内での平均曲率流であれば、工夫次第ではLiouville性を示すことができそうだという突破口が見え、現在その研究を進めている。以上の意味で、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、Cartan-Hadamard多様体内の平均曲率流に対して、Liouville性を調べる予定である。ここでいうLiouville性とは、平均曲率流に沿った熱方程式の解空間が有限次元であるという意味である。ユークリッド空間内の平均曲率流に関しては、Colding-Minicozziらが、エントロピーを用いてLiouville性を示しているが、その際に使用された重要なツールがエントロピーの単調性と熱方程式に関する平均値不等式である。Cartan-Hadamard多様体内の平均曲率流であれば、Bernsteinの近年の研究により、エントロピーの単調性はすでに得られている。また、Cartan-Hadamard多様体で適切に比較定理を利用すれば、ある程度望ましい形で平均値不等式が得られそうだということも、最近の櫻井氏との共同研究でわかってきた。ただし、ユークリッド空間の場合のColding-Minicozziらと同様の議論を直接的に行うことはできないため、もう少し工夫が必要である。今後は、Cartan-Hadamard多様体内の平均曲率流に沿った熱方程式の平均値不等式をさらに深く調べ、Liouville性にアプローチしたい。そして、そこで得られた知見を、最終的にはRicci flowの下でのLiouville性の考察に利用したいと考えている。
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