Project/Area Number |
23K03169
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12020:Mathematical analysis-related
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
杉山 裕介 滋賀県立大学, 地域・ひと・モノ未来情報研究センター, 准教授 (30712161)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 準線形波動方程式 / 解の爆発 / 適切性 / 退化型波動方程式 / 衝撃波 / Cauchy問題 / 退化型方程式 |
Outline of Research at the Start |
圧縮性流体や重力波の挙動は、準線形波動方程式と呼ばれる、伝播速度が解自身に依存する波動方程式で記述することができる。解の存在や正則性を調べる既存の理論においては、「非退化」、すなわち伝播速度が0に近づかないものを扱ったものがほとんどであった。この研究においては、これまで研究例が非常に少ない「退化」した準線形波動方程式を取り扱う。特に、解の存在(非存在)と一意性、退化が発生する点付近での解の挙動とその点での解の正則性の関係性などを調べる。それらの理論の上に非退化性の十分条件を構築し、非退化な準線形波動方程式の既存の未解決問題への応用を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
既存の準線形波動方程式の研究では、退化しない方程式を扱ったものがほとんどであった。しかしながらオイラー方程式、弾性波動方程式などに代表される主要部が未知関数に依存する準線形波動方程式においては、未知関数が大きく振動し、方程式の主要部の係数が0へと近づき(方程式が退化し)、波動方程式として構造を崩すことがある。 本年度は、退化する準線形波動方程式、熱弾性方程式、ネマティック液晶に由来する放物波動系に対する時間局所解に焦点を当てて、浙江科学技術大学のYanbo Hu氏と共同研究を行った。初期位置と初期値速度が同じ位置で零点を持つ問題を考え、時間局所解の研究を行った。この研究は、既存の研究で行われていた初期条件に対する正則性の仮定を改善している。さらに退化する点で特異な初期値を選ぶこともできるということがわかってきた。これは、非退化型の波動方程式にはない、退化型方程式特有の性質である。証明方法は、特異な重みを使った特性曲線の方法を基にしている。 熱弾性方程式に対しては、無限遠方での退化する問題を考察した。即ち、方程式としては、各点において非退化だが、空間変数無限大で、方程式の主要部が0へと近づく、という問題である。このような場合でも、非退化型と同様に時間局所解の一意存在が成立し、上の研究と同様に、無限遠方で導関数が発散する初期値を選ぶことができるという結果を証明できた。 ネマティック液晶の方程式においては、変数係数放物方程式のFriedmannの理論を使って、特異な重みに対する有界性評価を導出し、退化型方程式に対する時間局所解の存在定理の研究を行った。 浙江師範大学のLai Ningan氏とLijun Ma氏との共同研究で、変数係数摩擦項付き圧縮性オイラー方程式の解の爆発の問題を取り扱った。摩擦係数が空間方向に、-1乗程度の速さで減衰する、所謂臨界減衰を持つ場合の研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者との円滑なやりとりのおかげで、退化型波動方程式だけでなく、退化型双曲放物系の方程式に対する時間局所適切性の定理を証明することができた。まだ初期条件に対する仮定が強いものの、関連する問題も含めて発展性のある問題を見つけることができたという理由で、概ね順調に進展していると考えている。 摩擦項付き圧縮性オイラーについても爆発に関する新しい結果を得られたことも大きな進展の一つと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究実績を踏まえ、次年度の研究計画を以下のように立案する。次年度も退化型準線形波動方程式の研究を継続し、より深い理解と新たな発見を目指す。 まず、退化型準線形波動方程式の時間局所解の研究をさらに進める。今年度の研究で得られた知見を基に、初期条件の特異性が解の挙動に与える影響を詳細に解析する。特に、初期位置と初期速度が同じ位置で零点を持つ問題について、より一般的な設定での一意存在性と正則性の証明を行う予定である。また、退化する点で特異な初期値に対する解の挙動を定量的に評価し、退化型方程式の特異な性質を明らかにする。 次に、熱弾性方程式に関する研究を拡張する。今年度の研究で示された無限遠方での退化問題に加えて、異なる形式の退化条件を持つ方程式に対する時間局所解の存在と一意性を解析する。特に、空間変数が有限の範囲で急激に変化する場合や、時空間変数が相互に影響を与える複雑な設定において、解の挙動を調査する。この研究は、熱弾性方程式の応用範囲を広げるとともに、現実の物理現象に対するモデルの精度を向上させることを目指す。 最後に、変数係数摩擦項付き圧縮性オイラー方程式の研究を継続する。今年度の研究で得られた臨界減衰を持つ場合の知見を基に、摩擦項が空間的に不均一な場合や時間依存性を持つ場合に対する解の挙動を解析する。特に、解の爆発現象に関する条件の緩和や、新たな爆発メカニズムの発見を目指す。また、類似の構造を持つ磁気流体波動方程式などの爆発問題の解析にも取り組む。
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