Project/Area Number |
23K03221
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
兼子 裕大 関東学院大学, 理工学部, 講師 (40773916)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2027: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 多安定反応拡散系 / 自由境界問題 / テラス型進行波 / 伝播現象 / ディリクレ境界条件 / 漸近挙動 |
Outline of Research at the Start |
自然界における種々の現象は,非線形偏微分方程式の連立系である反応拡散系によって表すことができる.反応拡散系は様々な時空間パターンを生成するが,その様相は多様なため未解明な点が多い.そこで,時空間パターンの一種である伝播現象に着目し,その仕組みについて詳しく研究する.本研究の目的は,多安定項を伴う反応拡散系(多安定反応拡散系)に対して,解の漸近挙動やテラス型進行波の生成メカニズムについて明らかにすることである.研究成果は,反応拡散系に現れる時空間パターンの解明や生物種の伝播現象の理解に役立てることができる.
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は多安定反応拡散方程式の自由境界問題に対して, 1次元区間の端点にディリクレ境界条件を課した場合の未解決問題について研究した。 特に, 正値双安定型の反応項を仮定したとき, (a)1次元区間の片側が自由境界となる問題と, (b)両側ともに自由境界となる問題について取り組んだ。この問題は, 生物種の侵入現象を表す数理モデルであり, 1次元区間が生物種の生息領域を表し, 自由境界は侵入前線を表す。このとき, 研究結果は時間無限大で生息領域がどこまで広がり, 生物種がどのように伝播するのかという問題に対応する。 (a)については, 解の漸近挙動に対して従来よりも詳細な分類が可能であることを示した。特にtransitionと呼ばれるボーダーラインにおいて, 解の極大点が1点のみであり, そのピークが時間とともに一定方向に伝播するような挙動が存在することを示した。また, テラス型進行波については, 定常解と進行波とsemi-waveによって構成されることを示した。証明には, 動く領域上で精密な比較関数を構成することや, 進行波とsemi-waveに関するリュービル型の結果を用いた。以上の結果について, 論文原稿を作成した。(b)については, 解の漸近挙動の分類について考察した。また, テラス型進行波について, 左右両側に現れる場合, 片側に現れる場合, どちらにも現れない場合について検討した。 (a)の研究成果について, RIMS Conference(京都), 第21回明治非線型数理セミナー(東京), Turing Symposium on Morphogenesis 2024(仙台)にて発表した。また, 2023 Korea-Japan Workshop on Nonlinear PDEs and Its Applications(釜山)においても成果の一部を紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目標は, [1]多安定反応拡散方程式の自由境界問題に対して, Spreading挙動とテラス型進行波の仕組みを解明すること, [2]2次元以上の領域における自由境界問題に現れる伝播現象を明らかにすること, [3]グラフ上で定義された多安定反応拡散系を解析し, 伝播形態の違いについて検討することである。初年度のそれぞれの達成度は, [1] 20%, [2] 0%, [3] 10%である。 [1]については, 概要(a)で述べたようにディリクレ境界条件下でテラス型進行波が, 定常解と進行波とsemi-waveの組み合わせで表現できることが分かった。[3]については, 概要(b)で述べたように分岐点のない直線を一種のグラフと見立てることで, 分岐点のあるグラフ上で多安定反応拡散系を研究する足掛かりとなった。一方で, [1]に関して反応項が3つ以上の安定平衡点を持つ場合や, [2]についてはまだ考察できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は, まず概要(a)で述べた論文原稿について投稿し, 論文の掲載を目指す。また, 概要(b)で述べた分岐点のないグラフ上の自由境界問題に取り組み, 解の漸近挙動の分類とテラス型進行波の特徴付けを行い, 論文を作成する。さらに, 3つ以上の安定平衡点を持つ反応項を伴う自由境界問題や, 分岐点のあるグラフ上における多安定反応拡散系を解析するために文献調査を行う。
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