Project/Area Number |
23K03224
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
和田 和幸 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (80780197)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 量子ウォーク / 散乱理論 / 固有ベクトル / 指数減衰性 / スペクトル・散乱理論 / 弱収束定理 |
Outline of Research at the Start |
量子ウォークは情報学や工学などを始めとする諸分野への応用が期待されている数理モデルである.諸分野への応用に繋げるために,量子ウォークの基本性質を明らかにする事が重要である.本研究では,量子ウォークのダイナミクスから得られる弱収束分布に着目し,多次元量子ウォークの弱収束分布を明らかにする事を目指す.弱収束分布の導出にあたり,スペクトル・散乱理論の方法を発展・応用させる方向で推し進める.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題のテーマである多次元量子ウォークの散乱理論を展開するためには,波動作用素の構成および漸近完全性を証明する事が重要である.これらの事項を達成するための準備として,今年度は最小速度評価の導出に取り組んだ.シュレディンガー作用素の場合と異なり,作用素の非有界性を避けるために必要な切断関数の導入が不要となるため,簡潔な形での導出が期待された.一方で,量子ウォーク特有の「時間の離散性」が問題を本質的に難しくしている事が判明した.現在の所,完全な証明を与える所までには至っていないが,もう少しこの問題に取り組み続ければ,証明が完了する目処を立てる事はできている. 1次元量子ウォークに固有値が存在した場合,その固有ベクトルの形は陽に表す事ができる.ここから,無限遠方に行くに従い,存在確率がどの程度の割合で減衰していくかを知る事ができる.特に,指数関数的に減衰する事が分かっている.一方で2次元以上の量子ウォークでは,固有値の存在がわかっている結果はあるものの,固有ベクトルの性質について明らかにした結果はほとんどない.1次元の結果の類推から,多次元の場合でも固有ベクトルは指数関数的な減衰をする事が予想される.そこで,抽象的な設定の下で固有ベクトルが指数関数的に減衰する十分条件を求め,これを多次元量子ウォークに応用する事で解決をした.この結果はコンピューター上でシミュレーションを行った際に,存在確率の分布から局在化現象が起こっているか否かを判定する際に応用される事が期待される点で意義があると考える.得られた結果は論文として国際雑誌に投稿し,現在査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最小速度評価の導出に予想よりも時間を掛けてしまってはいるものの,証明の目処は立っている.また,この問題とは別に量子ウォークの固有ベクトルに関する性質について明らかにする事ができたので,おおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,最小速度評価の導出を試みる.同時に具体的なモデル(2次元2状態量子ウォークや2次元4状態量子ウォーク)を扱い,ムールの評価式を得るためのConjugate作用素の構成を試みる.
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