Project/Area Number |
23K03260
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 修次 京都大学, 情報学研究科, 講師 (50284170)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
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Keywords | 加振粉体 / イオントラップ / パーシステントホモロジー / パターン形成 / マシュー‐クーロン方程式 / 帯電微粒子 / パウルトラップ / パーシステント図 / 周期外力 / 粉体 / 集団運動 |
Outline of Research at the Start |
周期的な外力で加振した粉体や周期的に変動する電場に捕捉された帯電微粒子は様々な集団運動や特徴的なパターン形成を呈する.パーシステントホモロジーと呼ばれる粉体の配置データの幾何学的な特徴づけやパターン形成の基本機構の解明を目指す.イオントラップは量子コンピュータの基本技術であるが,イオンをミクロンサイズの帯電微粒子に置き換え,古典力学に従った運動を実験により観察すると,周期運動からカオスへの分岐,規則的な格子状捕捉状態,拍動状態,乱流状態などが見られる.これらの現象を数理モデル(運動方程式)により再現し,未知の運動形態を見出すとともに,一部の配置が量子系のイオントラップに応用できないか模索する.
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Outline of Annual Research Achievements |
・振動電場中の帯電微粒子 パウル‐トラップの回転双曲面電極を簡略化した円輪電極によりトラップされる古典帯電微粒子の運動方程式を導出した.円輪の中心付近では近似的にマシュー‐クーロン方程式が得られることを示した.少数粒子の実験で得られた規則的な運動とカオス的な運動が厳密な運動方程式と近似的なマシュー‐クーロン方程式の両方から得られることを確認し,相図の作成中である.粒子数が増えるにつれて,帯電微粒子の運動領域が広がり,マシュー‐クーロン方程式では実験で得られた諸種の運動形態が再現できないであろうことや粒子数が多い場合に外殻部の粒子は円輪電極の電場を電磁遮蔽するのではないかと予想しており,これらの予想の確認中である. ・水平方向に加振した粉体 大小2種の粒径からなる粉体を準備し,鉛直方向に重ならない程度の粒子数を直方体容器に封入し,底面を水平方向に加振すると,縞模様が生じることが知られている.これが再現できることを確認した後,粉体の粒径を大小二つの平均の周りにそれぞれ一様分布させて,改めて数値解析を行ったところ,縞模様のほか,網目模様のパターン形成も確認できた.個々の粉体の中心位置のデータセットに対して,パーシステント図を用いて解析し,一つの網目の平均半径に相当するものがパーシステント図にどのように現れるのかを明らかにした.また,加振方向に対して,直交でも平行でもない角度での縞模様形成やこれまで見出されていないパターンの形成が見いだされた.様々な不規則パターンをパーシステント図により特徴づけ,パターンとパラメータの対応関係(相図)を求めている.「粉体技術」という専門誌から加振粉体に関する解説記事の執筆依頼があり受諾した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・振動電場中の帯電微粒子 パウル‐トラップの回転双曲面電極を簡略化し,回転双曲面とその対称軸と垂直な平面との交わりである円輪を電極による振動電場を厳密に求め,この円輪電極によりトラップされる帯電微粒子の運動方程式を導出した.円輪の中心付近で電位を中心からの距離についての2次の項まで展開すると,先行研究で用いられているマシュー‐クーロン方程式が得られることを示した.パラメータ励振を記述するマシュー方程式にクーロン相互作用項を加えたものがマシュー‐クーロン方程式である.2粒子,3粒子といった少数粒子については,実験でも観察された規則的な運動やカオス的な運動が数値解析により,再現できた.数十粒子の数値解析も行っているが,実験で観測された外殻部の粒子が動径方向に拍動し,中心部の粒子が不規則な運動を行う現象はまだ再現できていない. ・水平方向に加振した粉体 大小2種の粒径からなる粉体を準備し,鉛直方向に重ならない程度の粒子数を直方体容器に封入し,底面を水平方向に加振すると,加振方向と垂直に,または,平行に縞模様が生じることが先行研究により知られている.離散要素法を用いた数値解析により,このような縞模様が再現できることを確認した後,粉体の粒径を大小二つの平均の周りにそれぞれ一様分布させて,改めて数値解析を行ったところ,縞模様のほか,網目模様のパターン形成も確認できた.個々の粉体の中心位置のデータセットに対して,パーシステントホモロジーで用いられるパーシステント図を用いて解析し,一つの網目の平均半径に相当するものがパーシステント図にどのように現れるのかを明らかにした.また,加振方向に対して,直交でも平行でもない角度での縞模様形成やこれまで見出されていないパターンの形成が見いだされた.
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Strategy for Future Research Activity |
・振動電場中の帯電微粒子 前項で触れた円輪電極についての厳密な運動方程式とその近似系であるマシュー‐クーロン方程式において一致させるパラメータを同じ値にして,少数粒子の実験で得られた規則的な運動とカオス的な運動が数値解析が得られることを確認し,相図を作成する.粒子数が増えるにつれて,帯電微粒子の運動領域が広がり,円輪電極に近づく.一方,マシュー‐クーロン方程式は円輪の中心付近の電場を正確に反映しているが,円輪電極近傍の電場は再現できない.このことから,粒子数が大きくなるにつれて,マシュー‐クーロン方程式は実験で得られた諸種の運動形態が再現できないことを予想しており,このことを数値解析により確認する.粒子数が多い場合,外殻部の粒子は円輪電極の電場を電磁遮蔽するのではないかと予想しており,そのことも中心部付近の粒子に作用する電場を数値解析で求めることにより確認する. ・水平方向に加振した粉体 前項で触れた様々な不規則パターンをパーシステント図により特徴づけ,パターンとパラメータの対応関係(相図)を求める.「粉体技術」という専門誌から加振粉体と高校生の進んだ科学研究に関する解説記事の執筆依頼があり受諾した.本研究課題と関連する内容をわかりやすく解説するよう試みる. ・計算機資源 初年度は主にデバッグもかねてパソコンを用いた数値解析となったが,2年目からは京都大学のスーパーコンピュータを利用した数値解析を実施する予定である.
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