Analysis of photoresponses and transport phenomena by microscopic nonlinear response theory
Project/Area Number |
23K03274
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小形 正男 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (60185501)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 非線形応答 / 輸送現象 / 光応答 |
Outline of Research at the Start |
線形応答理論は、微視的な理論手法としてさまざまな局面で研究を支えてきた。これに対して最近は光応答や電気伝導、熱電応答などにおいて高次の非線形応答について、トポロジカルな物理量であるベリー位相の寄与とともに活発に議論されて重要性が増している。このため本研究では、グリーン関数を用いた微視的な非線形応答という統一的な視点から以下の3点について研究を行う。 ① 光誘起電圧の非線形応答としての一般論の開拓とモデルハミルトニアンへの応用 ② キラル物質における非線形電気伝導の解析 ③ 磁場および温度勾配に比例した熱電応答におけるベリー曲率の寄与の解明
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Outline of Annual Research Achievements |
近年のレーザー技術の著しい発展に触発され、我々は光照射下のα-(BEDT-TTF)_2I_3の振舞いをフロケ理論等を用いて解析した。直線偏光照射下でのバルク光起電力について、まず摂動論を用いてα-(BEDT-TTF)_2I_3のシフト電流と光の振動数との関係を明らかにした。さらに、光電場の非線形効果を明らかにするためにフロケ理論を用いた解析を行い、実現可能な強度のレーザーであっても非線形効果が光起電力に大きな影響を与えることを明らかにした。 円偏光ガルバニック効果とは、物質に右または左周りの円偏光を照射すると、その回転方向に依存した電流が生じる現象であり、外部電場を必要としない光電流発生法として注目を集めている。我々は有機導体に円偏光を照射したときの光電流の理論研究を行った。まず、摂動論を用いた解析により、この物質では電荷秩序に起因して振動数が小さいときに大きな光電流が流れることを明らかにした。さらに、光電場の非線形の影響を明らかにするためにフロケ理論を用いた解析を行い、非摂動効果により流れる光電流が強く抑制されることを示した。 また、キラリティ誘起スピン選択性(CISS)と呼ばれる現象のメカニズムの解明を目的に研究を行った。CISSとは、キラル物質を通過した電子が物質のキラリティに依存したスピン偏極を受ける現象のことであり、キラル物質を通過させるだけで簡単にスピン偏極が得られることで注目を集めている。本研究ではキラル物質特有のスピン磁化の発現に必要なホッピングおよびスピン軌道相互作用を特定するために、特定の強束縛模型のスピン磁化を多極子を用いて微視的に解析した。その結果、スピン磁化の出現には、キラル特有の多極子であるG_0をもつスピン軌道相互作用が必要であることに加え、波数空間における並進とスピン反転操作による対称性を破るホッピングが必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いくつかの研究課題について順調に進んでいる。バルク光起電力については、まずは摂動論とフロケ理論による解析を行った。また派生した研究として円偏光ガルバニック効果についても同様の手法を用いて研究した。久保公式を拡張した形での定式化は進んでいるが、いくつか未解決の問題が残されており、まだ論文の形になっていない。 キラル物質におけるキラリティ誘起スピン選択性(CISS)については、多極子という観点から有用な情報が得られることが分かった。またスピン磁化の出現のためには、ある種の対称性を破るホッピングが必要であることが明らかとなった。 磁場および温度勾配に比例した熱電応答におけるベリー曲率の寄与等の解明については、かなり一般論が整備されベリー曲率や軌道磁化の寄与が明らかになった。現在論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
各課題について、それぞれ順調に進んでいるので引き続き研究を推進する。久保公式を拡張することについてはいくつかの問題を解決する必要がある。また磁場および温度勾配に比例した熱電応答については論文を執筆中であるが、さらにディラック電子系やノーダルライン半金属等いくつかの具体的な物質について調べ、非線形特有の物性を探求する。
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Report
(1 results)
Research Products
(10 results)