Project/Area Number |
23K03302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
藤 秀樹 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60295467)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | UNi4B / トロイダル磁気構造 / トライフォース磁気構造 / NMR / スピン格子緩和率 / トライフォース秩序 / 電流誘起磁化 |
Outline of Research at the Start |
UNi4Bは反強磁性体で、Uサイトのうち2/3のU磁気モーメントが渦状に秩序し,渦中心にある1/3のU磁気モーメントが常磁性状態にあると言われているが、最近の理論研究から磁気構造は磁気秩序と四極子秩序が同時に起きるトリプルQトライフォース秩序の可能性も指摘されている。これらの磁気構造のとき、電流印加すると特定方向で電気磁気効果が発現しうるが、現時点で磁気構造が確定されておらず、また、観測された電流誘起磁化の異方性も理論と整合せず未解決のままである。本研究では、磁気秩序状態での角度分解NMR実験を行い、UNi4Bの磁気構造と電気四極子自由度、電気磁気効果(電流誘起磁化)を実験的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
特異な磁気構造を示すUNi4Bについて、精密角度分解NMR実験を行った。この物質は磁気モーメントが渦状に配列したトロイダル磁気構造をとると実験的に指摘されている。一方で、理論的にはトライフォース磁気構造である可能性が示唆されている。これまで磁気秩序状態でのNMRスペクトルが測定されておらず、磁気構造については議論の余地が残っている。 実験では当初1テスラの低磁場での実験を実施したが、十分な精度で信号を検出することができなかったた。このため、高磁場6テスラでの測定を試みた。6テスラの磁場下において直方晶a軸、b軸,c軸方向のNMR信号の検出に成功しスペクトル解析を行った。常磁性状態で磁場をa軸にかけた場合、四重極相互作用により500kHz分裂した明瞭なスペクトルが観測されたが、c軸方向に磁場を印加した場合、四重極相互作用により400kHzに分裂し双極子磁場を受けてブロードニングを起こしたスペクトルが観測された。これら常磁性状態の温度変化から、超微細結合定数の決定した。 また、磁気転移温度以下でのNMRスペクトルについてもa軸およびc軸で成功した。磁場をa軸に印加した場合、NMRスペクトルは内部磁場を受けて1MHzにわたって拡がりを持ったスペクトルが観測されたが、磁場をc軸に印加した場合、約5.5MHzにわたって拡がりを持った複数の信号が観測された。 これらの結果から、UNi4Bの磁気構造は磁気モーメントがほぼbc面内に横たわった反強磁性構造であることがわかった。また、磁場をc軸に印加した場合のスペクトル線幅から、磁気モーメントの大きさが約1muB/Uであることもわかった。現在、スペクトル構造解析とさらに低磁場でのスペクトル測定を行っており、トロイダル磁気構造もしくはトライフォース磁気構造について検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本物質は多結晶試料にたいして常磁性状態でのスペクトル測定と緩和率測定が行われているが、定量的なスペクトル解析の報告例はない。また、磁気秩序状態でのスペクトルの報告はなく、微視的にどのような磁気秩序状態が実現しているのか長年未解明であった。R5年度は、磁気秩序状態のスペクトル測定に初めて成功し、特に磁場をc軸に印加した際にスペクトル分裂幅が約5.5MHzまで拡がった明瞭な複数の信号を検出することができたため、bc面内に磁気モーメントが横たわったような磁気構造であることが明らかとなった。これらのスペクトル情報は、今後トロイダル秩序かトライフォース秩序かを明らかにする上で極めて重要な進展である。よって当初計画通りに進展しているとした。一方、老朽化したNMRプローブが故障したため、修理に1ヶ月ほど要した。2024年3月~4月の実験でほぼ、遅れは挽回している。
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Strategy for Future Research Activity |
・R6年度は、R5年度の結果を利用し、更に低磁場での常磁性状態および秩序状態でのNMRスペクトル測定を行い、磁気構造についての知見を得る。測定磁場としては3テスラで行うことを考えている。 ・6テスラ以下の磁場で、核スピンスピン緩和率および核スピン格子緩和率の温度依存性を測定し、磁気励起に関する情報を得る。 ・高磁場磁気相の存在が指摘されていることから、8テスラの磁場下でのスペクトル測定も実施する。
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