Project/Area Number |
23K03332
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
芳賀 芳範 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (90354901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 達磨 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (30370472)
酒井 宏典 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (80370401)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ウラン化合物 / 核比熱 / 重い電子系 / 超伝導 |
Outline of Research at the Start |
ウラン同位体の核比熱を測定することにより、超微細相互作用を通じて5f電子状態の検出を試みる。これにより、磁性体、エキゾチック超伝導や隠れた秩序など、ウラン化合物の未解明の秩序状態が各位置に作る内場を検出し、その基底状態決定への重要な手がかりとする。ここで結果は、学会や論文などの形で公表する。
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Outline of Annual Research Achievements |
ウラン金属間化合物の物性は、主としてウランの5f電子により支配されている。ウランなどの重元素の電子状態においては、強い原子核ポテンシャルに起因する相対論効果が無視できず、その波動関数は空間的な拡がりが大きい。このことは、ウランの周囲の外場や化学的環境が電子状態に大きな影響を及ぼし、多様な物性を示す。本研究では、そのようなウランの電子状態を探る新たなプローブとして、235Uの核比熱測定を提案する。 2023年度は、対象とするウラン化合物の選定を行い、まずは天然ウランによる試料育成条件の探索、及び、比熱測定装置の調整を行って、放射性物質を測定するための条件設定を行うこととした。 対象物質として、2018年に発見されたウラン化合物超伝導体UTe2を検討し、さらに天然ウランを用いて実験を行い、結晶育成条件を検討した。申請者らは、すでにUTe2作成の際に、ウランが欠損しやすいことを見出しており、それを防ぐための溶融塩フラックス法を開発しているが、貴重な原料である濃縮ウランを有効に使用するために、実験1回あたりの使用量を削減した上で、結晶育成条件の決定を行った。育成した結晶については、単結晶構造解析による結晶構造の決定と組成分析によるキャラクタリザーション、及び電気抵抗、磁化、比熱測定による超伝導特性の測定を行い、試料評価を行った。 測定環境としては、既存の緩和法比熱測定セルの調整を行ったほか、新たに利用可能となった3He冷凍機の立ち上げを行い、比熱測定環境の構築を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
天然ウランを用いた結晶育成は順調に進展しており、UTe2については磁化、比熱、電気抵抗測定による超伝導転移の確認を行った。一方比熱測定については、緩和法による小型装置の製作改良を進めたほか、新たに利用可能となった3He装置の整備を行って、0.35Kまでの測定が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
固体物性研究において電子状態に関する情報を得るための微視的プローブは重要な役割を果たす。ウランでは、核スピンを有する同位体は天然に1%未満しか存在しない上、重元素特有の速い緩和のため、過去にNMR測定例がわずかに存在するのみであった。本研究ではこの状況を打開するために、極低温の比熱測定を意図した。比熱測定については、天然ウランを用いた測定で調整を行っている。また、試料調整については、濃縮ウラン使用に向けて実験環境の整備を進めるとともに、限られた原料を有効に活用できるよう、実験条件の検討を引き続き進める。
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