変態塑性メカニズムを考慮した弾塑性構成モデルの構築と熱間プレス解析の高度化
Project/Area Number |
23K03571
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大下 賢一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60334471)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 相変態 / 変態塑性 / 構成式 / 変態塑性係数 / 有限要素解析 |
Outline of Research at the Start |
ホットプレスなど高温下で相変態を生じる変形シミュレーションでは,多軸応力状態下での相変態の進行を適切に記述する必要がある.本研究では,高温から急速冷却される炭素鋼について変態膨張や変態誘起塑性変形を実験的に正確に測定し,これら相変態に起因する変形を的確に表現する弾塑性構成モデルを構築する.特に変態時の一般的な塑性や変態前に予め加えられた塑性が変態誘起塑性変形に及ぼす影響について定式化を試みる.
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Outline of Annual Research Achievements |
多軸応力下において,高温状態から冷却した時に生じる固体間の相変態に及ぼす応力の影響,特に変態開始前のオーステナイト域において塑性変形を受けた材料の変態挙動に関する多軸応力下でのデータの収集とこれに基づく熱弾塑性構成モデルを明らかにするために,以下の検討を行った. まず,試験装置の改良を行った.現有の負荷装置では弾性域範囲内の荷重の下での変態塑性挙動の計測を目的としていたため,変形量の測定範囲が小さく塑性変形まで対応していなかった.そこで,本学科の共通設備である大型引張圧縮試験装置に電気炉・変位計測装置を取り付け装置の改良を行った. 従来の試験装置および改良装置に対して動作確認もかねて,種々の温度・保持時間でオーステナイト化した鋼材に対して,相変態挙動に関する基礎的実験を行った.さらに三点曲げ負荷しながらオーステナイト領域から冷却しつつ冷却中の温度を測定することにより,変態前のオーステナイト組織が変態時の変態塑性挙動に与える影響について実験的に検討した.これによると,パーライト変態塑性たわみはオーステナイト化させたときの温度および保持時間とともに顕著に減少することが分かった. 一方,先に得られた実験結果を基に研究代表者らが提案した上記材料の変態塑性挙動に対する静水圧応力依存型構成式の高度化についても検討を行った.この構成式の妥当性を検証するため,これを有限要素解析ソフトAbaqusにコーディングし,得られた実験結果と有限要素法による解析結果を比較・検討することを試みた. ホットプレス現象を高精度にシミュレーションするためには鋼の変態塑性挙動の予塑性ひずみ依存性を考慮した熱・弾塑性構成式の構築が欠かせない.このようにして得られた材料モデルの基づくシミュレーションにより成形不具合の予測精度が向上し,試行錯誤的なものづくりから試行錯誤レス(トライレス)への移行が促進される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初に,微小変形から大変形までの広範囲における変態塑性挙動を精密に測定できるように装置の改良を試みた.本学科の共通設備である大型引張圧縮試験装置に電気炉・変位計測装置を取り付けられるようにした.さらに従来では,高温炉の冷却には水道蛇口からホースを電気炉内配管に直付けすることで行っていたが,この方法では冷却水の流量が安定しないため精密な変位測定を行えないことが分かった.そこで,チラーを新規購入し冷却水を循環することにした.これを用いることにより,大荷重のもと,曲げおよび引張・圧縮荷重が変態塑性挙動に及ぼす影響について実験的に調べることが可能となる. 試験条件について検討するため,従来の試験装置および改良装置に対してS45Cの試験片を850~950 ℃まで加熱した後に,試験片を完全にオーステナイト化するために5~20分間保持する.その後,自然冷却しつつ,変態開始直前に応力を与えつづけパーライト変態をさせ,変態前のオーステナイト組織がパーライト変態時の変態塑性挙動に与える影響について検討した.その結果,S45C鋼のパーライト変態に対して,変態前の組織状態が変態塑性挙動に与える影響は大きいこと,結晶粒寸法で整理することにより1つのパラメータで整理することができ,パーライト変態塑性たわみは結晶粒寸法の減少とともに小さくなることが分かった.次年度は急速冷却についても同様の検証を行った後に,変態開始前の塑性変形が変態塑性挙動に及ぼす影響について考察を行う. さらに本課題の主目的である予塑性変形を考慮した変態塑性構成式の構築を提案した.現在,提案した構成式を汎用有限要素解析ソフトAbaqusにコーディングすることを試みている,コーディングが終了し次第,構成式の妥当性を検討する.これらは次年度以降の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり,2024年度は急速冷却過程における変態塑性挙動に関する実験および予塑性変形下における変態塑性実験から行う必要がある.そこでまずは,急速冷却について変態前の組織状態が変態塑性挙動に与える影響について実験的検討を行った後,S45Cに対してオーステナイト状態下において塑性応力を負荷・除荷後,相変態開始温度直前に弾性応力を与え,高温状態から冷却した時に生じる固体間の相変態に関する各種パラメータを取得する. また構成式の高度化も今後の課題である.構成式を改良しつつ,それを汎用有限要素解析ソフトAbaqusにコーディングし直す必要がある.デバッグ作業に時間がかかることも想定して,実験と同時進行で行う.得られた結果を検討することにより構成式の高度化とともに,ホットプレス過程の変形シミュレーションの確立を目指す.
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)