鋼溶接部における放射光X線応力測定方法に特有な残留応力場の要因解明と信頼性向上法
Project/Area Number |
23K03591
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18010:Mechanics of materials and materials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡野 成威 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00467531)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 溶接残留応力 / X線応力測定 / 溶接金属 / 金属組織 / 構造用鋼 / X線的弾性定数 |
Outline of Research at the Start |
本申請課題では,現在も困難とされている溶接材に対する放射光X線応力測定の高精度・高信頼性化に取り組む.これまで,放射光X線によるin-situ計測と統合溶接モデルによる高精度計算力学手法による溶接過渡応力挙動の可視化を達成しており,溶接後の残留応力が一致しない原因として冷却過程で相変態に伴って両者が乖離する現象の可能性を見出している.そこで,この乖離現象を溶接材ミクロ/マクロ組織の弾性異方性に着目して明らかにすることを試みる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来から困難とされている溶接材に対するX線応力測定の高精度化・高信頼性化に向けて、以下の検討項目を実施することを予定している。 1)溶接残留応力評価に見られる乖離現象の発生条件(支配因子)の解明 2)精度信頼性向上のためのX線的弾性定数の実測と溶接材ミクロ組織依存性の実験的調査 3)精度信頼性向上のためのマクロ弾性異方性の実測と相変態影響の有無の実験的調査 以上の検討項目を通して、マクロ連続体力学とミクロ回折線力学における総合的解釈に展開していくことを想定している。 2023年度(初年度)ではまず、1)溶接残留応力評価に見られる乖離現象の発生条件の解明に取り組んだ。相変態を生じた溶接金属部におけるX線応力測定結果で等二軸引張応力状態が見られる溶接構造用圧延鋼SM490YBの溶接材に対してX線応力測定を行った。その際、板幅方向応力を大きくさせ得る要因として、溶接角変形と相変態に伴う金属組織変化に着目し、それらを支配する溶接条件因子を意図的に変化させて溶接材を作製し、X線応力測定に供した。その結果、X線応力測定特有に見られる等二軸引張残留応力状態を支配する要因が金属組織であることを明らかにした。続いて、相変態に伴う金属組織変化が異なるように溶接入熱条件を種々に変化させた溶接材を作製し、X線応力測定法で溶接残留応力を測定した。その結果、溶接入熱条件によって等二軸引張残留応力状態が消失することはなく、相変態挙動の違いで等二軸引張残留応力状態の発現が決まるわけではないことが示唆された。この点については、当初の想定と異なるが、次年度以降により詳細に検討を進め、その原因を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、1つ目の検討項目を完了し、等二軸応力状態の発現を支配する要因が金属組織であることを明らかにできた。加えて、相変態挙動を種々に変化させるために溶接入熱条件を変化させた溶接材を作製し、等二軸応力状態の発現に及ぼす影響を検討することができた。その結果、相変態挙動の違いに応じて等二軸応力状態の発現の有無が変化することはなかったため、相変態挙動に加えて、溶接金属部組織の配向性なども別の要因として考えることができると思われる。おおむね当初の計画通り順調に進んでいるが、当初想定していなかった結果が得られている点もあることを前向きに捉え、新たな知見も得るべく次年度も計画的に研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、 2)精度信頼性向上のためのX線的弾性定数の実測と溶接材ミクロ組織依存性の実験的調査 として、溶接材から薄板試験片を切り出し、4点曲げ試験によってX線弾性定数の実測を行い、溶接金属部組織や溶接入熱条件との関係などについて実験的に調査を行う予定である。なお、初年度において相変態挙動が異なる溶接材で等二軸応力状態の発現の有無に変化がなかったことから、今後は相変態だけではく金属組織の配向性にも着目して検討を進めていく必要があると考えている。実測されたX線的弾性定数が、従来用いられているモデルから算出されるものと異なる場合は、実測されたX線的弾性定数を用いた残留応力測定結果を改めて取得し、等二軸応力状態の発現に対する影響について検討する。従来から知られている一般的な溶接残留応力分布の特徴との対応などについても評価していく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)