Project/Area Number |
23K03601
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 18020:Manufacturing and production engineering-related
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青野 祐子 東京工業大学, 工学院, 准教授 (20610033)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | レーザピーニング / 超硬合金 / 工具 / レーザ / ピーニング / セラミック |
Outline of Research at the Start |
切削工具や金型材料として需要の高い,超硬合金やサーメット材料等の硬質焼結セラミック材料の耐摩耗性を向上する,工業応用を念頭に置いた新しいレーザ表面改質法の実現を目指す.セラミックの脆性延性遷移温度以上で短パルスレーザによりピーニング処理することで,セラミック相にもピーニング効果が得られ,母材として耐欠損性に優れた素材を採用しながら表面の耐摩耗性の向上を可能にすることが期待できる.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,超硬合金へのLP時のプロセス温度の影響を検討することを目的とし,WC-Co10%超硬合金と原理確認のためのバインダレスWCを対象に高温LPを実施した.WCの脆性延性遷移温度は600~800℃以上であるため,全体を均質加熱し安定した高温LPによる原理確認を目的に赤外線加熱炉を用いドライLPを実施した.ドライ化するため,プラズマ閉じ込め媒体は水の代わりに合成石英を用いた.また,レーザ照射時に発生する溶融層の発生を防ぐため石英と試料表面の間に犠牲層を挿入した.LP時のプロセス温度は室温,800℃,1000℃とした. まず,WC相への高温LPが有効か検証するためバインダレスWCにLPを行った.その結果,室温時では試料にレーザ照射痕が確認されず,LPの効果も得られなかった.一方,1000 ℃では150 HV程度の硬さの向上と200 MPa程度の圧縮残留応力の付与が確認された.この結果より,高温LPによるWCの機械特性向上が可能であることが実証された.次にWC-Coに対してLPを行った結果,室温でのLP時のほうがWC相に対して200~600MPaほどのより大きい圧縮残留応力が確認された.これは加熱時に,金属相で再結晶や粒成長などが起こり,残留応力が緩和されたためと考えられる. WC-Coに対しては比較的低い衝撃波圧力ではCo相に対してその影響が支配的であり,プロセス温度が高いとき結晶粒の回復等がより促進されると考えられる.今後,高温LPが有効にはたらく適切なCo濃度範囲の検討およびレーザ加熱による局所・急速加熱に変更することで,粒成長が抑制されることを確認する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超硬合金に実際に高温LPを実施することを可能とする光学系を構築し,実験,評価を実施した.その結果,バインダレスWCに対し,脆性延性遷移温度以上でのLPが効果を発揮することを実証し,提案手法の実現可能性が示された.一方で,Co濃度が高いWC-Co超硬合金ではCoの影響により十分な改質ができないという課題が明らかになった.これを解決する方法として,Co濃度の調整や加熱法の検討の準備を進めており,次年度の研究実施に向けておおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
WCに対して,提案手法の実現可能性が示された一方で,Coの添加により改質効果に大きな影響があることが明らかになっている.そこで,当初の予定を変更し,本手法が適切に改質を達成する材料の条件範囲(Co濃度や粒径)について検討を進める.また,同時に本研究テーマの主要なテーマでもある,ダブルビームによる加熱の検討も進める.これは,本来は全体加熱よりもスループットが高く,熱影響も小さいことを期待しての提案であったが,本年度の成果によれば,局所・急熱を可能にすることで,金属バインダーの粒成長や再結晶を抑制し,Co濃度の許容範囲を広げる効果も期待できる.この点にも着目して研究を推進する.
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