Lifetime-based Imaging Measurement of Pressure Distribution in Environments with Large Temperature Width
Project/Area Number |
23K03661
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 英男 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70362275)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 感圧塗料 / 感圧・感温複合塗料 / 実験流体力学 / 無機測温燐光体 / 寿命法 |
Outline of Research at the Start |
感圧塗料 (PSP) と感温塗料 (TSP) の両技術を複合させ,圧力・温度場の同時計測を通じてPSPの有する温度感度の補正を行う手法である複層PSP/TSP (DL-PTSP) について,DL-PTSP を構成するPSP層とTSP層の温度差を低減するとともに,両層の温度差の影響を内包した温度補正手法を提案することで,PSPの温度補正の高精度化を通じた圧力計測精度の向上を実現する.さらに,特に温度変動の幅が大きくこれまでPSPの適用が困難であった条件下へのPSPの適用可能性を拡大するため,低温度感度PSPの実現および本手法のDL-PTSP手法との複合化に取り組む.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題で目的とする,温度の変化幅が大きく感圧塗料 (PSP) の適用が非常に厳しい条件において適用可能な,高精度な圧力場計測を実現するための方策である,PSPと感温塗料 (TSP) の併用技術である複層PSP/TSP (DL-PTSP) において,PSP層とTSP層の温度差,特に非定常流れ場への適用における,下層にあるTSP層の温度追従遅れが,TSP層を用いたPSP層の温度依存性の補正に誤差をもたらす課題点への対策として,DL-PTSPの膜厚低減,特にPSP層とTSP層を隔てる中間層の膜厚低減を試みた.中間層の膜厚低減は,塗布作業時におけるPSP層とTSP層の混合による相互干渉をもたらし,PSPとTSP双方の計測精度低下の要因となるため,PSP層とTSP層の混合を防ぐ観点から,TSP層のバインダー,および中間層の組成変更に着手した.結果として,TSP層のバインダーに水溶性ポリマーを使用することで,疎水性ポリマーを使用するPSP層との混合の影響を低減させ,PSPとTSP双方の計測精度低下を防ぎつつDL-PTSPの薄膜化に成功した.さらにこの膜厚低減により,TSP層を用いたPSP層の温度依存性の補正の精度向上につながることを示した.本研究の成果は,令和6年7月開催の第52回可視化情報シンポジウム,ならびに同年11月開催のPSFVIP-14 において発表予定である. あわせて,TSP技術の適用条件を拡げる取組として,有機TSPの適用が不可能な150℃以上の高温条件下で適用可能な温度場計測手法である,無機測温燐光体を無機系バインダーと組み合わせた無機感温塗料技術について,温度感度および高温条件下の耐久性,劣化特性の検証を行い,約250℃前後の条件下における温度計測への適用の観点から有用性を検証した.本研究の成果は,令和6年2月に開催されたCPEEE2024で発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前述の通り,PSPとTSP双方の計測精度低下を防ぎつつDL-PTSPの薄膜化に成功し,その結果として,TSP層を用いたPSP層の温度依存性の補正の精度向上につながることが明らかとなった.薄膜化において,PSP層とTSP層を隔てる中間層の膜厚を低減させたことが,PSP層とTSP層の温度差低減につながり,TSP層を用いたPSP層の温度依存性の補正の精度向上をもたらすことが可能となった.この点については,概ね当初の研究計画における構想が実現したと考えられ,進捗状況としても望ましいものである. 一方,当初の研究計画にあった,低温度感度の色素であるH2TCPPを用いた塗装式PSPの開発にも取り組み,DL-PTSPへの適用も行ったが,DL-PTSPへ適用した場合の低温度感度PSPの温度感度が,PSP単体の場合に比べて増加する課題点が明らかになるなど,現状では未解決の課題点が残っている.この結果については,令和5年8月に開催された第51回可視化情報シンポジウムにて発表を行っている.なおその後,DL-PTSPへの適用時にPSPの温度感度が増大する対策として,ルテニウム錯体に比べて温度感度が比較的低く,温度変化が大きい場において適正な温度計測範囲となるTSP色素として,ローダミンを用いたTSPも試してみたものの,あまり望ましい効果は得られなかった. なお,当初の研究計画に含まれなかったものの,研究目的として述べていた,温度変化の大きな流動場のような極限環境を対象とした実験流体力学 (EFD) 解析への適用として,無機測温燐光体を用いた無機TSPの構築および特性検証にも取り組み,有用性および課題点を明らかにした段階である. 以上の点を勘案したところ,全体的には概ね順調な進展であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の成果として,前述の通り,DL-PTSPの薄膜化による,TSP層を用いたPSP層の温度依存性の補正を通じた圧力計測の精度向上の効果は確認できたものの,現時点における課題点として,薄膜化したDL-PTSPの機械強度が比較的低く,例えば圧縮機を有する配管系のサージ発生時における高温の逆流空気がもたらす流れ場のように,DL-PTSPを塗布した面上に強いせん断応力が作用する際に,塗膜の損壊が生じる問題点が発覚し,極限環境下における流動場計測への応用の観点からは重大な課題点となっている.この機械強度の低さは,DL-PTSPの有する複層構造,すなわち層間の付着強度によるものである可能性が高く,今後,下地層の変更や各層の表面粗さの調整等の方策により,DL-PTSPの機械強度を高める必要がある. また,PSPやTSP自体のノイズ成分を除去し,計測対象の物理現象を抽出する手法として,PODやSVD等の手法を適用するが,特に物理現象とノイズ成分を区別するための普遍的な基準を明らかにする.さらに,PSPやTSPの発光強度もしくは発光寿命より圧力や温度を算出する際に用いる較正試験において,高次の非線形的な特性が強い場合に,非線形的な特性を適切に表しつつ,非線形項の次数を必要以上に高めた際に現れる過剰適合の影響を防ぐため,較正式の次数を適切に選択する手法についても検討を行う.特に,本研究で想定する,温度変化の幅が広い極限環境下における流動場計測への応用においては,温度に対する発光強度ならびに発光寿命の依存性において非線形的な影響が現れやすいため,較正式の適合性向上とロバスト性を両立させる手法は,計測精度向上に必要不可欠な要素であるため,今後の研究推進において,この点についても検討を進める必要がある.
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)