クヌッセン力を用いたマイクロ・ナノ空間における熱エネルギー変換システムの構築
Project/Area Number |
23K03666
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
米村 茂 中部大学, 工学部, 教授 (00282004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 浩樹 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50432240)
杵淵 郁也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30456165)
オティック クリント・ジョン・コーテス 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (50978939)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 分子流体力学 / クヌッセン力 |
Outline of Research at the Start |
マイクロ・ナノスケールの空間で気体温度場に不均一がある場合、気体分子によって固体表面にもたらされる運動量にアンバランスが生じ、クヌッセン力と呼ばれる力が固体に働く。本研究では、二つの物体に異なる温度を与え、その一方、あるいは両方の物体の表面の微細構造を工夫して、両物体を気体分子の平均自由行程程度まで近接させることにより、意図した方向にクヌッセン力を働かせ、熱から仕事を取り出すエネルギー変換システムを構築することを目的とする。これまでに得られた知見や理論予測から、クヌッセン力で物体を駆動できる状況を検討し、数値解析によって、その有効性を確認する。そして、マイクロデバイスを作成し実証実験を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
気体分子の平均自由行程程度の空間スケールで温度場に不均一がある場合、気体分子によって物体表面にもたらされる運動量にアンバランスが生じ、クヌッセン力と呼ばれる力が物体に働く。本研究では、クヌッセン力を利用して熱から運動を得るエネルギー変換システムを構築することを目的とする。 研究代表者らはこれまでにノコギリ歯形状のラチェット表面構造を持つ基板と平板に温度差を与え、表面構造に対して決まった方向の作用・反作用力が両物体に働くことを数値シミュレーションで示し、そのメカニズムを明らかにし、理論的に裏付けた。しかし、現実には数値計算や理論で考慮されなかった要因により思い通りの力が得られない可能性がある。この現象を実証するためにクヌッセン力を再現し計測する実験を行った。その実験では、真空装置を用いて減圧し、平均自由行程が長くなる環境下でサブミリサイズのラチェット表面構造をもつデバイスを用いて実験を行い、クヌッセン力の生成を調べた。表面構造の向きを変化させて比較し、多数回の計測を行うことにより、統計処理を通して定性的に評価することに成功した。 また、平均自由行程が非常に短い大気環境下でのクヌッセン力を評価するため、サブミクロンスケールの非対称構造を持つ表面の加工法を検討した。対向する2つの傾斜アルミブロックの一方にレジストがパターニングされたシリコン基板を固定し、反応性イオンエッチングを行うことで、ノコギリ歯状の構造が作成できた。得られた構造を走査電子顕微鏡を用いて評価した。 そして、数値解析において、物体に働くクヌッセン力を調べたところ、予期していなかった圧力の働き方が確認された。その圧力の働き方を詳しく分析し、ある程度の説明ができるようになったが、さらに詳細な理論的解析が必要である。今後、この圧力を利用してクヌッセン力を有効に働かせられないか検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クヌッセン力の再現・計測のための実験で、クヌッセン力の生成を定性的に評価することに成功し、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
クヌッセン力の再現・計測のための実験においては、計測装置に関して全体の構成は変更せずに相対的な位置関係をより精度よく決定できるように改良する。そして、解析方法も改良することにより、定量的なクヌッセン力の計測を目指す。また、サブミクロンデバイスの作成においては、エッチングプロセスの条件を最適化し、構造の均一性向上と大面積化を目指す。そして、数値解析おいては、新たに確認された圧力の働き方のメカニズムを解明し、それをうまく利用する方法を検討する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)