Formation of thin liquid film and manipulation of convection using active control of surface tension
Project/Area Number |
23K03690
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
西野 耕一 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (90192690)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 表面張力 / 表面張力流 / 液膜 / 対流 / 制御 |
Outline of Research at the Start |
薄液膜は、フィルム・コーティング・塗装・洗浄に関わる分野から、沸騰・凝縮・環状流・マイクロ流れに関わる分野まで、多分野に見られる基本的な形態である。本研究課題は、薄液膜の形成と対流に支配的な影響を与える表面張力とその温度依存性に着目し、局所加熱・冷却を手段とする表面張力の動的制御を施すことによって、薄液膜の形成と対流を操作する方法論の確立を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自由表面を有する薄液膜を対象として、その表面に非定常で動的な局所加熱・冷却を施すことによって、表面張力の温度依存性を通じて、薄液膜の形成と対流を操作することである。本年度(令和5年度)の具体的な研究成果は次の通りである。 ① 薄液膜の局所加熱・局所冷却による温度差表面張力流の特性評価:出力10Wの炭酸ガスレーザとXYトラバース装置に搭載された光学系を用いて、シリコーンオイル(5cSt、10cSt)の薄液膜(厚さ2~4mm)の表面を局所加熱するとともに、直径8mmの先端を封じた冷却銅パイプを用いて局所冷却した。速度場をPIVを用いて測定し、液膜条件や加熱・冷却条件による速度場の変化を明らかにした。加熱・冷却を適切に行うことによって対流場をセル化できる(区画化できる)ことを示した。 ② 薄液膜の動的局所加熱技術の構築と流下液膜の対流制御:出力10Wの加工用炭酸ガスレーザを搭載した加工装置を本研究費で導入し、傾斜面を流下する薄液膜表面を動的に局所加熱するための技術を構築した。レーザ照射点を自在に制御するためのソフトウェアを作成し、線形運動や円運動などの動的加熱を可能とした。線形運動による動的加熱を施すことによって、流下液膜の表面流速を顕著に制御できることを可視化実験によって明らかにした。 ③ 薄液膜の静的・動的な局所加熱による温度差表面張力流の数値解析:市販の数値解析ソフトウェアを用いて、薄液膜の局所加熱が生起する温度差表面張力流の数値解析を行った。ステップ加熱の初期において、表面流速の局所ピークが生じ、それが自発的に広がる現象を発見した。この現象が、表面温度分布の時間的な広がりが、表面張力の変化を通じて、局所的な表面流速のピークを生むという速度場と温度場の連成現象(Hydrothermal現象)であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の最終目的を達成するために設定した3年間の個別目的は次の五つである。(ⅰ)薄液膜の局所加熱・冷却技術の開発、(ⅱ)表面張力の動的制御による対流制御、(ⅲ)動的制御による表面張力流の時間発展の定式化と数値解析、(ⅳ)動的制御による薄液膜の形成と対流の操作技術の開発、(ⅴ)薄液膜操作の数値解析と現象理解。 上記の【研究実績の概要】に記述した通り、本年度(初年度)の進捗状況は次の通りである。(ⅰ)について連続発振タイプの炭酸ガスレーザを用いた局所加熱の技術を開発し、時間的に自在な液膜加熱(即ち、定常加熱、ステップ加熱、正弦波加熱など)を行うことができるようになった。冷却技術については、冷却銅パイプによるふく射冷却を行ったが、冷却量が十分に大きくないため、改善を進める。(ⅱ)について加工用炭酸ガスレーザを搭載した加工装置を導入し、空間的・時間的な動的加熱が行える準備が整った。今後、制御ソフトウェアの完成度を上げ、所望の動的加熱が行えるようにする。(ⅲ)については、市販の数値解析ソフトウェアを用い、加熱・冷却の動的制御を模擬した数値解析が行えるようになった。薄液膜表面の局所を様々な時間パターンで加熱した場合の数値解析を実施し、表面流速の局所ピークの伝播というHydrothermal現象を発見するなど、進捗した。今後、加熱位置・冷却位置を動的に移動させた数値解析のアプローチを進める。(ⅳ)については、作動流体としてシリコーンオイルを用い、傾斜面を所定流量で流下する液膜を形成し、(ⅱ)で準備した動的加熱が行えるようになった。予備的な実験によって、動的加熱によって液膜表面流速を顕著に変化させることが確認できた。(ⅴ)については、(ⅲ)で準備した数値解析のアプローチを発展させ、並行して取得を進めている実験結果との検証を通じて、信頼性の高い数値解析結果を得る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の【現在までの進捗状況】に記載の個別目的について、次年度(令和6年度)以降の推進方策は次の通りである。(ⅰ)について、局所加熱技術の開発は概ね完成したが、局所冷却技術について冷却量を増大させるための工夫が必要であり、薄液膜を気液界面側から冷却するのでなく、液膜底面から冷却ブロックを用いて接触冷却する方法を検討する。(ⅱ)について、空間的・時間的な動的加熱が行える準備が整ったので、炭酸ガスレーザの照射点を移動させるための制御ソフトウェアの改善を図り、所望の動的加熱が行えるようにするとともに、レーザ出力や移動速度を幅広く変化させた動的加熱を行い、温度差駆動表面張力流の発生や、それによる液膜厚さの変化などに関する基本的な知見を蓄積する。(ⅲ)について、加熱点を移動させず、加熱の時間パターンを変化させた数値解析については幅広いパラメータについて結果が得られており、研究成果の公表を進める。一方、加熱点を移動させる条件の数値解析については、計算時間の増大がネックになっており、移動パターンを単純化するなどによって、計算効率の効率化を図る。(ⅳ)については、傾斜面を流下する薄液膜の動的加熱が行えるようになったため、様々な動的加熱パターンを適用することによって、液膜表面速度および流下パターンの制御を目指した実験を蓄積する。(ⅴ)については最終年度(令和7年度)の達成を計画しているが、次年度の(ⅲ)の進捗結果がスムーズに適用できるよう、数値解析手法の構築を工夫する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)