固体酸化物電解質膜内の粒界及びナノ結晶構造による酸素イオン伝導特性の制御
Project/Area Number |
23K03696
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
永島 浩樹 琉球大学, 工学部, 助教 (00759144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (10312662)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / 酸素イオン伝導 / 粒界 / 分子動力学計算 / 第一原理計算 / 動的モンテカルロ法 / イオン伝導 / ナノスケール |
Outline of Research at the Start |
本研究は、固体酸化物形燃料電池に使用されている固体酸化物電解質膜の酸素イオン伝導特性向上のために、固体酸化物電解質膜内の粒界構造及びナノ結晶構造によるイオン伝導特性の制御指針を示し、高い酸素イオン伝導特性を示す固体酸化物電解質膜を提案することを目的としている。研究は、まず電子状態からボトムアップ的に酸素イオン伝導特性を評価する手法を構築する。次に、構築した手法を用いて粒界とナノ結晶構造による酸素イオン伝導メカニズムを解明する。この解明したメカニズムに基づいて高イオン伝導性を示す固体酸化物電解質膜構造を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell: SOFC)に使用されている固体酸化物(Solid Oxide: SO)電解質膜の酸素イオン伝導特性向上のために、SO電解質膜内の粒界構造及びナノ結晶構造によるイオン伝導特性の制御指針を示し、高い酸素イオン伝導特性を示すSO電解質膜を提案することである。この目的を達成するために、電子状態からボトムアップ的に酸素イオン伝導特性を評価する手法を構築する。また、構築した手法を用いて粒界とナノ結晶構造による酸素イオン伝導メカニズムを解明する。最終的に、解明したメカニズムに基づいて高イオン伝導性を示すSO電解質膜構造を提案する。昨年度は、まず、本研究の核となる動的モンテカルロ(KMC)法の計算コード構築を行なった。また、KMC法に必要な情報を得るために、第一原理計算及び分子動力学(MD)計算を行なった。構築したKMC法の計算コードで酸素イオンの拡散計算を算出し、MD計算の結果と比較を行い、計算コードの検証を行なった。また、MD計算は、同一構造(Single-Phase)のSO電解質膜と異なる構造(Dual-Phase)を組み合わせたSO電解質膜で行い、酸素イオンの拡散係数を算出した。さらに粒界近傍における酸素イオン拡散が低下する原因を調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は、KMC法の計算コード構築、第一原理計算及びMD計算を行なった。KMC法の計算コードでは、MD計算で求めた拡散係数からアレニウスの式を参考に算出した活性化エネルギーと頻度因子を用いた。構築したKMC法を用いて酸素イオンの拡散計算を算出し、MD計算より算出した拡散係数と比較を行なった結果、良い一致を示すことがわかった。この結果より構築したKMC法の計算コードが想定通り実行されていることを確認した。また、ペロブスカイト構造とフルオライト構造を組み合わせたDual-Phase SO電解質膜を対象としたMD計算を行い、結晶サイズを変更させた時の酸素イオンの拡散係数の変化を調べた。また、計算領域を分割し粒界近傍で酸素イオンの拡散性が低下する原因についても解析を行なった。第一原理計算は、DM計算と同様に、ペロブスカイト構造とフルオライト構造を組み合わせたDual-Phase SO電解質膜を対象とした計算系を作成し、粒界近傍の酸素イオン伝導経路とエネルギー障壁についての計算を行なっている。 進捗状況としては、やや遅れている状況である。理由は二つあり、一つ目が、KMC法の計算コード構築に予定より時間を要したこと。二目が、異なる構造間の粒界における伝導経路を特定するための第一原理計算に予想以上に時間がかかり、イオン伝導経路及びエネルギー障壁の情報を十分に取得できていないためである。これらの理由により、動的モンテカルロ法による解析が計画通りに進んでない。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、第一原理計算により粒界近傍における原子の電子状態に基づいた解析を行い、粒界近傍における酸素イオンのイオン伝導経路やエネルギー障壁を明らかにする。この計算は複数のDual-Phase SO電解質膜を対象として行う。対象とするDual-Phase SO電解質膜は、ペロブスカイト構造のLa0.9Sr0.1MnO3-δやLa0.6Sr0.4CoO3-δ、フルオライト構造のCe0.9Gd0.1O2-δやZr0.92Y0.08O1.96とする。またこれらの、Dual-Phase SO電解質膜のMD計算も実行し、結晶サイズの依存性や、粒界近傍の酸素イオン拡散特性、拡散頻度などを算出する。これらの情報を構築したKMC法の計算コードに導入し、Dual-Phase SO電解質膜の計算を行う。これらのKMC計算おいて、複数の粒界を含んだ計算モデルを作成し、実際のDual-Phase SO電解質膜に近い時間・空間スケールの解析を行う。また共同研究先のシラキュース大学の研究室にてDual-Phase SO電解質膜を作製し、酸素イオン伝特性の測定実験を行う。さらに作製したDual-Phase SO電解質膜の粒界構造や空間的分布の調査を行うことで,その特徴をKMC計算モデルに実装する。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)