過渡乱流場の乱流熱流束モデル開発に向けた脈動乱流場の熱・運動量輸送の解明
Project/Area Number |
23K03700
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小田 豊 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50403150)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 脈動乱流 / 直接数値計算 / 乱流熱伝達 / 感温塗料 / 非平衡乱流 / 脈動流 / 乱流伝熱 |
Outline of Research at the Start |
強い加減速を伴う流れである脈動乱流場の熱伝達現象は,自動車エンジン等に見られる重要かつ基礎的な現象である。本研究では,感温塗料を塗布した金属箔ヒータを用いて壁面温度の瞬時・時系列画像計測を行い,高い時空間分解能で広範囲の脈動条件(平均速度,振幅,周波数)における熱伝達率の非定常計測を実現する。また,実験を模したシミュレーションの結果と併せて脈動乱流場における運動量および熱輸送のメカニズムを解明する。加えて,脈動乱流のように過渡的な乱流に適用可能な乱流モデル・乱流熱流束モデルの構築に向けて,脈動乱流場の実験・DNSデータベースを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本課題が研究対象とする「強い加減速を伴う脈動乱流場の熱伝達現象」は,自動車エンジン等に見られる重要かつ基礎的な現象である。本研究では,感温塗料を塗布した金属箔ヒーターを用いて壁面温度の瞬時・時系列画像計測を行い,高い時空間分解能で広範囲の脈動条件(平均速度,振幅,周波数)における熱伝達率の非定常計測の実現を目指している。また,実験を模したシミュレーションの結果と併せて脈動乱流場における運動量および熱輸送のメカニズムを解明する。 初年度は,上記の実験計測を実現するための準備として脈動生成機構を有する脈動風洞の改良,および試験部の設計と製作を行ったほか,脈動流を計測する際に問題となる金属箔ヒーターの揺れを低減できる新たな計測技術を考案した。この計測手法の妥当性を確認するため,まずは流量一定の定常乱流下における熱伝達実験を行い,乱流場に特有な温度ストリークの検出に成功し,その技術的な成立性を確認した。この測定技術は本課題の目的である脈動乱流場にも適用可能であり,従来よりも高い精度で熱伝達率の周期変動を測定できると考えている。 実験と並行して実施する数値シミュレーションについては,実験系を忠実に模擬するために,厚さ数マイクロメートルの金属箔ヒーターの熱容量を考慮できる新たな理論的枠組みの構築と直接数値シミュレーションにおける実装手法の開発を行った。これにより,実験結果の妥当性をより正確に検証することが可能となったほか,金属箔ヒーターを用いることによる壁面の熱的境界条件の変化が,僅かではあるが熱伝達率の評価に影響することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乱流場における局所熱伝達率の時空間変動を測定するためには,熱容量が極めて小さな極薄の金属箔ヒーターを使用する必要があり,従来の方法ではヒーター裏側に断熱空気層を設ける必要があった。しかしながら,本課題が対象とする脈動乱流場においては,速度振幅が大きく,脈動周波数が高い条件において主流に大きな圧力変動が生じる。これは断熱空気層と主流のあいだに圧力差の変動をもたらし,その結果として金属箔ヒーターの揺れが生じるため,高速カメラと感温塗料を用いたヒーター表面温度の光学的な時系列計測に支障が生じていた。これは本課題を進める上で大きな障害となる可能性があったが,ヒーター裏側の断熱方法に工夫を加えることで,この問題を解決できる見込みを得ており,今後は様々な脈動条件(流速,速度振幅,周波数)における熱伝達率の評価が順調に進むと思われる。また,金属箔ヒーターの熱容量を考慮した直接数値シミュレーションの解析手法を新たに構築したことにより,実験と数値シミュレーションの相乗効果が期待でき,脈動乱流場における熱伝達現象のより詳細な解析を進めることが可能になったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
脈動乱流場における熱伝達実験において問題となっていた金属箔ヒーターの揺れを大幅に軽減可能な測定手法の開発に成功しているが,実験装置試験部への設置・固定方法についていくつか改善の余地があるため,初年度の実験経験を元に装置の改良を進めながら,本課題の目標である「高い時空間分解能で広範囲の脈動条件(平均速度,振幅,周波数)における熱伝達率の非定常計測」の実現を目指す。また,数値シミュレーションについても,様々な脈動条件における直接数値シミュレーションを継続して実施することで,主流の加減速に伴って生じる壁面近傍の乱流構造の変化が熱伝達率の瞬時分布や位相平均量,時間平均量に及ぼす影響について考察を進めていく。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)