Project/Area Number |
23K03730
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 20010:Mechanics and mechatronics-related
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
坂本 眞一 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (40449509)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 熱音響 / 発電 / 廃熱 / エネルギー変換 |
Outline of Research at the Start |
①熱音響発電専用の発電デバイスのプロトタイプ開発 ②熱音響プライムムーバーへの発電デバイス検討 ③熱音響発電システムのプロトタイプ開発 ①音・電気エネルギー変換を行う発電デバイスの開発を行う.熱音響現象に特化した発電デバイスの開発を行う.②直管型熱音響プライムムーバー用いて,測定を行う.熱音響プライムムーバーとはスタックと熱交換器(電気ヒーターなど)で構成された熱音響自励振動(熱・音変換)を発生させるデバイスである.③直管型熱音響プライムムーバーを熱・音変換が高効率であるループ管型熱音響システムに変更し,測定を行う.熱音響プライムムーバーに熱を入力したときの,システム内の音場を詳細に検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、未利用の低温度廃熱を活用するために、熱音響現象を基にした画期的な発電システムの開発に取り組んでいます。このシステムは、廃熱を音エネルギーに変換し、その後、音エネルギーを電気エネルギーに転換する二段階のエネルギー変換プロセスを経ています。これまで熱から音、そして音から電気への変換は個別に研究されていましたが、本研究ではこれらのプロセスを統合して、効率的な熱音響発電システムの設計と実現を目指しています。このシステムが実用化されれば、大規模な工場から家庭用の小型電子機器まで、幅広いアプリケーションでの利用が可能になると期待されます。
音から電気エネルギーへの変換を担う発電デバイスの開発です。デバイスの開発では二つの異なるアプローチが採用されています。一つは市販の音響ドライバーを改造する方法で、既存技術を活用しつつ、熱音響システムに必要な特性に合わせた調整を施しています。この方法での主な課題は、改造した音響ドライバーと熱音響システムとの共振周波数の不一致であり、これがシステムの安定動作を阻害しています。この問題を解決するために、発振温度と発振周波数の設計に関する安定性解析を行い、適切な調整条件を探る研究が続けられています。また、これまでに実績のあったPA(フェーズアジャスター:位相調整器)についても検討し、可能性が示唆され、継続的に検討をしていく予定である。もう一つのアプローチである、自作の音響ドライバーは巻線から製作され、熱音響システムに最適化された設計で試作している。試作品は、制限された条件下での発振に成功しており、その成果は期待できると考えている。今後も安定性解析やPAなどの最適化を図り、より効率的で安定した熱音響発電システムの実現に努めていく計画です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、音と電気のエネルギー変換を行う発電デバイスの開発に特に注力しました。このデバイスは、熱音響現象に特化して設計されており、発電デバイスの性能向上を目指して2つの異なる方式での開発を進めました。一つは市販の音響ドライバーを改造する方法、もう一つは完全に自作する方法です。市販の音響ドライバーを改造するアプローチでは、既存の技術を活用しつつ、熱音響システムに必要な特性に合わせて調整を行います。しかし、この方式で遭遇した主な課題は、熱音響システムと改造した音響ドライバーとの共振周波数が大きく異なり、それが原因で熱音響システムの安定動作が得られていません。この問題を解決するために、発振温度と発振周波数の設計における安定性解析を行い、適切な調整条件を見つけ出すための研究を継続しています。また、これまでに実績のあったPA(フェーズアジャスター:位相調整器)についても検討し、可能性が示唆された。一方で、自作の音響ドライバーを使用した方式では、音響ドライバーを巻線から一から製作し、熱音響システムに最適化した設計を試みています。この自作ドライバーを用いた試作品は、制限された条件下での発振には成功しており、その成果は期待できるものです。ただし、このシステムでも発振が限定的な条件に依存しているため、更なる安定性向上のために継続的な解析と改善が必要です。今後も安定性解析を活用して、発振条件の最適化を図り、より効率的で安定した熱音響発電システムの実現を目指します。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究開発方針として、既に成功を収めている熱音響発電デバイスの運用データと実績を基に、さらにその性能を向上させるための詳細な検討を進めることを計画しています。これまでの成果を踏まえつつ、熱音響システムの構成要素である、デバイスの形状や材質などの物理的条件も柔軟に再評価し、最適な条件を模索していくことで、システム全体の効率と実用性を高めることを目指します。特に、熱音響発電デバイスのみならず、熱音響システム全体の設計においても、その機能と効率性を総合的に改善するための条件探索を積極的に進めていく予定です。さらに、市場に流通している様々な音響ドライバーを用いた実験を継続的に行い、これらの標準部品をどのようにして我々のシステムに適用できるかについても詳細な検証を進めます。これにより、よりコスト効率の良い、かつ技術的にもアクセスしやすいシステムの開発が可能となることを期待しています。また、可能性が示唆されたPA(フェーズアジャスター:位相調整器)についても検討を継続する。 また、プランBとして、万が一の技術的な障害や予想外の問題に直面した際の代替案として、圧電デバイスを用いた熱音響発電の構想も同時に進めています。この圧電デバイスを利用したシステムは、特定の状況下での利用を想定しており、これによってさらなる研究の幅と深みを確保することが可能となります。このように多角的なアプローチを通じて、熱音響発電技術の発展と応用範囲の拡大を図ることを計画しています。
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