Project/Area Number |
23K03885
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21030:Measurement engineering-related
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Research Institution | Saitama Institute of Technology |
Principal Investigator |
松浦 宏昭 埼玉工業大学, 工学部, 教授 (50558418)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 分子状水素 / 化学センサ / 自己駆動型 / 生体酸化ストレス / 複合電極材料 / 電気化学センサ |
Outline of Research at the Start |
本研究では、生体酸化ストレスの緩和に寄与する分子状水素を直接電解酸化できる「ヘテロ原子を複数含む炭素電極の創製と、それを検知電極とする自己駆動型の電気量計測にて絶対定量する計測論」を見出す。具体的には、電解法により電極用炭素材料の表面を活性化させ、含窒素官能基群と白金ナノ粒子から成る電極活性サイトを導入した新奇な電極を作製することで分子状水素に対する高い電解酸化活性を実現する。また溶液中濃度が不安定な分子状水素を絶対定量するため、分子状水素と対極活物質との酸化還元電位差を駆動力とする隔膜分離型の電気量計測セルを構築し、検量線不要で高精度かつ迅速なオンサイト絶対定量法を確立する。
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Outline of Annual Research Achievements |
水素分子を直接電解できるフェルト状のカーボン電極を作製する方法論を確立するために、2023年度は研究実施者が考案した電気化学的な表面改質法の適用を試みた。 具体的には、電極基材として含窒素繊維状カーボン材料(含窒素カーボンフェルト)の表面に白金粒子を電析させた、白金電析含窒素カーボンフェルト電極を作製することとした。提案した方法では、電極印加電位や電解時間、電解液の種類などの反応条件が可変対応できるため、水素分子の直接電解に適した電極の作製が見込まれた。実際、適切な実験条件の把握に成功し、当初計画していた電極活性に相当するレベルをほぼ満たす結果を得た。一方で、より高活性に水素分子を電解酸化できる電極を作製する条件を見出すための検討を開始し、現在は電極作製時の制御が比較的簡単な方法を見出すことで、これまでの課題を解決する知見の取得を継続している。 また、水素分子の自己駆動型電量計測法を創案するに当たり、水素分子を検知する電極の対極となる電極反応の選定を検討したところ、複数の電極反応について候補の可能性となる知見を得ることができた。加えて、それら電極反応は、電極反応性(電極電位や電子移動速度など)の面でも比較的良好な結果が得られている。 また、電気量計測時に使用する分析セルの設計を実施し、バッチ式の分析セルを考案した。対極の電極反応の候補の中で、できるだけ簡便なセル構造に対応するものを選択したいとの考えから、その電極反応に適用できる分析セル構造を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究実施計画に対して、以下のような進捗状況である。 1.分子状水素を高い感度で電解酸化できる電極材料の作製 分子状水素に対して高い電解酸化能力を有する材料としては、白金に代表される貴金属が有力な材料として挙げられる。本年度は、繊維状の含窒素カーボン材料の表面に、白金粒子を電析させる方法論の確立を目指すと共に、白金粒子を電析させるための詳しい実験条件として、設定電位や電極を印加する電位、さらに電解液の種類の最適化を実施し、各項目についての概ねの最適条件を確定させた。 2.「1」で作製した電極を検知電極とした分子状水素の自己駆動型電気量計測法の創案 電気量計測時に使用する分析セルの構造設計を行った。具体的には、1滴の試料を滴下するバッチ式の分析セルを基本とした構造とした。これは、溶液中濃度が不安定な分子状水素が含まれた試料を、採取から分析までのタイムラグを極力減らすことを目的としたためである。また、対極反応に相当する電極反応について、複数の電極反応の候補を確定させることができた。この中で、できるだけ簡便なセル構造に対応できるものを選択する必要があるため、特定の対極反応についての精査を行い、分子状水素の直接電解反応と同じように電気化学特性を調査した。その結果、分子状水素の自己駆動型電気量計測の対極反応として適用できる可能性を見出すことができた一方で、電極反応の解析が不十分であり、高活性な対極反応とするための検討が必要であるとの結論に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に取得できた研究成果をベースとして、2024年度は自己駆動型電気量計測を行うための分析セルのプロトタイプを製作する。分析セル製作の過程で、本案に相応しい分析セル構造の修正を行いながら、必要に応じて設計変更を実施しながら最適な分析セルの構造を見出すことを目標とする。 また、分子状水素を直接電解酸化できる電極については、低濃度の溶液中分子状水素の検出を考慮した場合、より高活性な電極を作製する必要があるため、電極作製のコアとなる実験条件を検討し、最終的な電極の作製条件や仕様を確定させることを検討する。その際に、電極活性のパラメーターを定量的に見出す必要性があるため、そうした評価手法についても独自に検討していく。 また、対極反応の候補の中で、現時点で最適と思われる電極反応を分析セルの対極側に適用するためには、対極部位のセル構造を従来の電気量計測とは異なる構造に変更する必要が生じることが想定されている。このため、新たな分析セルの構造設計が必要になるが、研究実施者の他の研究で培った知見を活用することができると判断しており、その知見を活用した分析セルの設計を検討する。 これら研究成果を集約し、最終的には自己駆動型電気量計測をベースとした分子状水素の迅速・簡便かつ高精度な測定法を確立すると共に、実試料測定に対応したセンサ仕様の確立とその展開を進めることで、残りの研究期間で本研究を推進していく。
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